令和6年度 秋期 システム監査技術者試験 午後II 問2 外部サービス活用の運用プロセス監査(論文)

マネジメントシステム監査調達・契約

この問題は2024(R6)秋 システム監査技術者 午後IIに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

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学習ガイド

情報システムの運用プロセスのうち外部サービスを活用する部分の監査を論じる午後Ⅱの問題です。解答例は公表されていないので、設問文と採点基準から論述の骨格を組み立てます。鍵は委託元と委託先の責任分界で、リスクも対応策も監査手続も、どちらが実施主体かを明示して書くことが求められます。講評が指摘する「外部サービス単体の話に閉じる」誤りを避ける構成法を中心に解説します。

この記事で押さえる論点

  • 運用プロセスにおける外部サービスの位置づけを構造的に説明する
  • 委託元・委託先の責任分界を踏まえたITリスクと対応策を論述する
  • 対応策の実施状況とモニタリングを確かめる監査手続を設定する

問題本文

情報システムの外部サービスを活用した運用プロセスの監査について

ビジネスの複雑化,テクノロジの高度化などに伴って,情報システムの運用プロセスに IaaS,SaaS,AMO(Application Management Outsourcing)などの外部サービスを活用する事例が増えている。これらのサービスを活用することに伴う最終的な責任は委託元にあり,委託元は外部サービスを含めた業務全体の ITリスクを分析,評価し,対応策を適切に策定し,運用する役割と責任がある。

委託元は,外部サービスを活用した運用プロセスにおける ITリスクへの対応策を漏れなく策定できるように委託先との責任分界点を明確にし,委託先が実施する対応策を十分に評価した上で,自らが実施する対応策を講じる必要がある。また,委託元は,外部サービスの業務への影響や ITリスクの大きさに応じて,委託先の責任範囲であっても自らが実施する対応策を講じるかどうか検討する。さらに,委託元は,例えば,定期報告会の開催,現地調査,第三者による評価・検証報告書の活用などによって,委託先での対応策の実施状況を継続的にモニタリングする必要がある。モニタリングの結果,必要であれば委託元の対応策の見直しを行うことが求められる。

システム監査人は,情報システムの外部サービスを活用した運用プロセスにおいて,委託元で ITリスクの分析が行われ,委託元が実施すべき対応策が適切に実施されていることを確かめる必要がある。また,委託先が実施すべき対応策については,委託元による委託先へのモニタリングが適切に実施されていることを確かめることが重要である。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。

設問と解答・解説

設問ア

あなたが関係する情報システムの概要,並びに運用プロセスにおける外部サービスの位置づけ及びその内容について,800字以内で述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準(配点 34点)

知識・理解度(内容)(18点)

  • 18: 情報システムの概要、運用プロセスにおける外部サービスの位置づけ・内容、並びに委託元の役割と責任分界点が漏れなく具体的に記述されている。
  • 14: 求められる項目について記述されているが、委託元の役割や外部サービスの位置づけなどの具体性がやや不足している。
  • 9: 運用プロセス全体ではなく外部サービスに偏った記述となっている、あるいは委託元の役割の記述が不十分である。
  • 4: 求められる項目の一部しか記述されておらず、内容の具体性・妥当性が著しく低い。
  • 0: 題意に沿った記述が全くない。

論理性(構造)(16点)

  • 16: システムの概要と運用プロセス、外部サービスの役割が論理的かつ首尾一貫して整理されており、説得力がある。
  • 12: 論理構成は概ね適切であるが、各項目のつながりに一部不明瞭な点が見られる。
  • 8: 構成にまとまりがなく、システム概要と運用プロセスの関係性がやや理解しづらい。
  • 4: 論理展開に飛躍や矛盾が多く、論旨が不明確である。
  • 0: 論理的な記述として成立していない。

解説

本問は、情報システムの外部サービスを活用した運用プロセスの監査において、対象となるシステムの概要と外部サービスの位置づけを明確にすることを求めています。

高得点のポイント

  • 運用プロセス全体の中での位置づけ:外部サービスのみに偏った記述にならず、情報システム全体の運用プロセスにおける役割を明確に記述できているか。
  • 委託元の役割・責任の明確化:外部サービスを利用するにあたり、責任分界点を踏まえた委託元の役割が十分に記述されているか。
  • 具体性:システム概要とサービス内容が、監査の対象として具体的にイメージできる粒度で記述されているか。

設問アでは,委託元の役割・責任の記述が不十分な解答が散見された。

設問イ

設問アで述べた情報システムの外部サービスを活用した運用プロセスの監査計画において,大きいと判断した ITリスク及びこれに対する委託元と委託先の対応策について,700字以上 1,400字以内で具体的に述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準(配点 33点)

知識・理解度(内容)(18点)

  • 18: 運用プロセスにおけるITリスクが的確に抽出され、委託元及び委託先のそれぞれの対応策が適切かつ具体的に記述されている。
  • 14: リスクと対応策は記述されているが、運用プロセスにおけるリスクとしての焦点がやや曖昧、または委託元・委託先いずれかの対応策の具体性が少し足りない。
  • 9: 外部サービス自体のリスクに終始しており運用プロセスに関するリスクの視点が欠けている、又は委託元と委託先の対応策の区分が不明確である。
  • 4: ITリスクや対応策の内容が極めて表面的であり、題意を大きく外している。
  • 0: 題意に沿った記述が全くない。

論理性(構造)(15点)

  • 15: 設問アの状況設定と完全に整合しており、抽出されたリスクから対応策への論理的なつながりが極めて明確である。
  • 11: 設問アとの整合性は概ね取れており、リスクと対応策の因果関係も理解できる。
  • 7: 設問アとの整合性にやや疑問が残るか、リスクと対応策の対応関係に一部論理的な飛躍がある。
  • 3: 設問アとのつながりが希薄であり、リスクと対応策がちぐはぐになっている。
  • 0: 論理的な記述として成立していない。

解説

本問は、設問アで設定した運用プロセスにおいて、大きいと判断されるITリスクと、それに対する対応策を委託元・委託先の双方の視点で論述することを求めています。

高得点のポイント

  • 運用プロセスにおけるITリスク:単なる外部サービス利用上の一般論としてのリスクではなく、当該システムの「運用プロセス」に焦点を当てた具体的なリスクを記述できているか。
  • 委託元と委託先の対応策の明確な区分:責任分界点に基づいて、委託元が実施すべき対応策と、委託先が実施すべき対応策を漏れなくかつ具体的に分けて記述できているか。
  • 設問アとの整合性:アで述べたシステム概要や役割分担と矛盾のないリスク・対応策となっているか。

設問イでは,外部サービスを活用することによって生じるリスク及び対応策の記述が散見され,設問で求めている運用プロセスにおけるリスクについて記述している解答は少なかった。

設問ウ

設問イで述べた ITリスクへの対応策に漏れがないかどうか,及び委託元において適切に実施又はモニタリングされているかどうかを確かめるための監査手続を,700字以上 1,400字以内で具体的に述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準(配点 33点)

知識・理解度(内容)(18点)

  • 18: 対応策の網羅性を確かめる手続、委託元での実施・モニタリングを確かめる手続の双方が明記され、入手すべき具体的な監査証拠が十分に記述されている。
  • 14: 監査手続と監査証拠は記述されているが、網羅性やモニタリングの確認方法、あるいは監査証拠の具体性がやや不足している。
  • 9: 対応策の網羅性を確かめる手続が欠落しているか、監査証拠の記載が極めて抽象的(例:「関連書類を閲覧する」など)に留まっている。
  • 4: 監査手続の記載が表面的で、具体的な監査証拠が全く提示されていない。
  • 0: 題意に沿った監査手続が全く記述されていない。

論理性(構造)(15点)

  • 15: 設問イで挙げたリスク・対応策と監査手続の対応が完璧に整理されており、監査の実行可能性・論理性が非常に高い。
  • 11: 設問イとの対応は概ね取れており、監査手続の論理構成も適切である。
  • 7: 設問イで挙げた対応策と監査手続の紐付けが弱く、論理展開に一部無理がある。
  • 3: 設問イの内容を踏まえておらず、監査手続が思いつきで羅列されているに過ぎない。
  • 0: 論理的な記述として成立していない。

解説

本問は、設問イで挙げた対応策が適切に策定され、かつ有効に機能しているかを確かめるための具体的な監査手続と、入手すべき監査証拠を論述することを求めています。

高得点のポイント

  • 網羅性の確認手続:対応策に「漏れがないか」を確かめるためのシステム監査人としての具体的な手続が明記されているか。
  • 実施及びモニタリングの確認手続:委託元の対応策が実施されていること、及び委託先を適切にモニタリングしていることを確かめる手続が記述されているか。
  • 具体的な監査証拠の提示:「関連資料を閲覧する」などの抽象的な記述にとどまらず、SLA報告書、アクセスログ、インシデント管理表など、具体的で実効性のある監査証拠を明示できているか。

設問ウでは,対応策の網羅性を確かめるための監査手続を記述していなかったり,入手すべき監査証拠が具体的ではなかったりする解答が散見された。設問で求めている内容を踏まえて,具体的に論述してほしい。