令和5年度 秋期 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午後Ⅰ問題 問1 自動・自律運転建設機械の連携と安全設計

テクノロジ組込み・IoT

この問題は2023(R5)秋 エンベデッドシステムスペシャリスト 午後Iに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

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学習ガイド

ICTを活用した自動・自律運転の建設機械が相互に連携して土木工事を行うSDシステムを題材にした午後Ⅰの問題です。ACブルドーザが周辺の人やAC車両を検知する際に、ステレオカメラだけでなくミリ波レーダーも併用する理由を問う設問が中核で、天候や距離に左右される検知特性を補い合う冗長化の発想が問われます。この記事では、故障表示灯を点滅させて停止した1台だけがSDサービスへ情報を通知していないという状況から停止原因を切り分ける手順まで、安全設計の観点で解答の道筋を整理します。

この記事で押さえる論点

  • SDシステムの要件と車両間連携の仕組みを本文から読み取る
  • ステレオカメラとミリ波レーダーを併用する冗長化の狙いを説明する
  • 故障表示灯・情報通知の有無から停止原因を切り分ける
  • 安全性に配慮したセンサー選定と制御要件の判断根拠を述べる

問題本文

建設機械の自動・自律運転システムに関する次の記述を読んで,設問に答えよ。

A社は,ICTを活用した自動・自律運転の建設機械が相互に連携して土木工事を行うシステム(以下,SDシステムという)を開発した。SDシステムは,クラウドサービスで工事の計画を立案し,複数台の建設機械の連携動作を管理する(以下,これらをSDサービスという)ことで,大規模な土木工事を少人数で効率的に行うことができる。
山間部にあるダムの工事現場内で,SDシステムを用いて,自動・自律運転可能な,ブルドーザ(以下,ACブルドーザという),ショベルカー(以下,ACショベルという),及びダンプカー(以下,ACダンプという)の車両(以下,ACブルドーザ,ACショベル及びACダンプを総称してAC車両という)を連携させて,土木工事を行うことになった。A社で構築したローカル5Gネットワーク(以下,L5Gという)を介して,各AC車両間,タブレット端末,現場事務所のL5G基地局を接続する。また,パブリック5Gネットワーク(以下,P5Gという)を介して,SDサービス,測位サービス,現場事務所のP5G送受信部を接続する。SDシステムのシステム構成を図1に,SDシステムの主な構成要素を表1に示す。

図1 SDシステムのシステム構成
図の説明テキスト

SDシステムのシステム構成を示す図。GNSS測位衛星からACブルドーザ、ACダンプ、ACショベルが電波を受信している。測位サービスとSDサービスがクラウド上にあり、P5Gを経由して現場事務所のP5G送受信部と通信している。各AC車両はL5G基地局と通信し、タブレット端末もL5G基地局と無線通信している。

表1 SD システムの主な構成要素
図の説明テキスト

表1 SD システムの主な構成要素。ACブルドーザ、ACショベル、ACダンプ、SDサービス、測位サービス、P5G、L5G、P5G送受信部、L5G基地局、タブレット端末についての機能・役割の説明が記載されている。

〔SDシステム導入前の土木工事〕

土木工事の一つに,ブルドーザが,ダンプカーによって排土された土砂山を数回に分けて突き崩し,押土(おしど)を行いながら設計の内容に従って土砂を均(なら)す作業(以下,敷均(しきなら)しという)がある。

運転者が従来式のブルドーザに搭乗して敷均しを行っていた頃は,設計担当者が作成した工事の計画を基にして,測量担当者が事前に工事現場を測量し,基準地点を設置しておき,運転者がブルドーザを頻繁に乗り降りして設計目標を満たせるように作業結果を目視確認する必要があった。運転者は,ブルドーザの運転席に乗り込み,車速計などの計器と周囲を見ながらレバーなどを操作してブルドーザの運転を行っていた。凸凹の多い地形を走行するときにはブルドーザの車体が傾斜するので,熟練した運転技術を要した。

〔SDシステム導入後の土木工事の例〕

SDシステムでの土木工事では,設計地盤を目標にして,ACブルドーザでの高精度の敷均しを実現することができる。オペレーターが次の手順で作業を実施する。

  1. オペレーターがタブレット端末でSDサービスに指示を出し,SDサービスから全AC車両に起動指令を送信する。各AC車両は,自己診断を実施し,異常がないことを確認する。
  2. 各AC車両は,SDサービスで作成された工事計画を取り込む。工事計画には,設計地盤のほか,ACブルドーザの敷均し範囲,ACダンプが運搬してきた土砂を排土する予定位置(以下,排土位置という)などが複数登録されている。
  3. オペレーターがタブレット端末でSDサービスに指示を出し,SDサービスから全AC車両に工事開始指令を送信する。ACブルドーザとACダンプは,工事開始指令を受信し,自動・自律運転を開始する。
  4. ACダンプは,L5G経由でACブルドーザの位置を常時把握し,排土位置まで移動して排土する。
  5. ACブルドーザも同様にACダンプの位置を常時把握し,排土位置に向かって移動し,ACダンプの排土が完了するまで待機する。
  6. ACダンプは,排土後に,排土完了をACブルドーザに通知し,工事現場内にある所定の土砂の積込み位置まで移動する。
  7. ACブルドーザは,排土された土砂をブレードで押土しながら走行することによって(以下,押土されている土砂を押土土砂という),敷均しを実施し,進捗状況をSDサービスに送信する。
  8. ACダンプは,土砂の積込みが完了すると進捗状況をSDサービスに送信する。
  9. SDサービスは,各AC車両の進捗状況を常に把握し,機器故障などによって工事に遅れが発生した場合は,工事計画の見直しを実施して更新された工事計画を各AC車両に送信する。

〔SDシステムの遠隔監視制御〕

オペレーターは,AC車両の近くにいなくてもタブレット端末でSDサービスに指示を出し,SDサービスからAC車両への起動指令,工事開始指令を送信できるとともに,進捗状況を把握することができる。また,タブレット端末からのAC車両への非常停止指令は,SDサービスを介さず,送信できる。遠隔監視制御では,SDサービスが,AC車両などから受信したデータを用いて,設計地盤と現地盤の比較をリアルタイムで行う。その結果に基づき,タブレット端末に,設計地盤を3Dで描画した地図上に工事計画の完了/未完了の箇所を色分けして,工事の進捗状況を表示することができる。さらに,全AC車両の位置を表示することができる。

〔AC車両の概要〕

AC車両には,GNSS受信部,慣性計測ユニット(以下,IMUという),3D-LiDAR,ステレオカメラ,ミリ波レーダー,L5G送受信部などの機器が搭載されている。

GNSS受信部は,GNSS測位衛星からの電波を受信する。AC車両ではGNSS測位方式(以下,G-測位という)を採用しており,GNSS測位衛星から受信したデータを基に,測位サービスが算出した測位補強データを使用して高精度な測位を可能にしている。G-測位では,1秒周期で車両の位置及び方位を更新する。

車体IMUは,3軸加速度,3軸角速度を計測し,車体の動きを計測するのに使用する。データ更新周期は1ミリ秒である。

3D-LiDARは,光を使ったリモートセンシング技術を用いて物体検知や対象物までの距離,及び対象物の光の反射率を計測し,敷均しの仕上がり確認などに使用する。計測したデータ(以下,点群データという)を,ほかの機器に送信する。1台の3D-LiDARで1秒間に3Mバイトの点群データを送信する。

ステレオカメラ,ミリ波レーダーは,自車の周辺監視に使用する。

L5G送受信部は,L5G基地局を介して,ほかのAC車両及びタブレット端末と通信したり,現場事務所のイーサネットで接続されたP5G送受信部を経由してSDサービス及び測位サービスと通信したりすることができる。

AC車両は,計測日時データ,3D-LiDARで取得した点群データ,作業中の工事の内容を示す作業記録データ,機器故障の内容などのデータを記録する。

〔ACブルドーザの外観及び機器構成〕

ACブルドーザには,〔AC車両の概要〕で説明されている機器のほか,次の機器などが搭載されている。

  • ブレードIMUは,3軸加速度,3軸角速度を計測し,ブレードの動きを計測するために使用する。データ更新周期は1ミリ秒である。
  • 車両制御装置は,工事計画に基づいて,自車の自動・自律運転の計画(以下,運転計画という)を作成する。運転計画に基づき,走行経路,走行速度及びブレードの位置を自動制御して工事を行い,その結果を基に,運転計画を更新する。
  • 油圧シリンダは,ブレードの油圧制御に使用する。また,付属している,ストロークセンサーは車体に対するブレードの上下の位置,油圧センサーはブレードが押土土砂から受ける圧力などの計測に使用する。

ACブルドーザの外観を図2に,ACブルドーザのシステム構成を図3に,ACブルドーザの車両制御装置の主な構成要素を表2に示す。

図2 AC ブルドーザの外観
図の説明テキスト

図2 AC ブルドーザの外観。前部にブレード、ブレードIMU、ストロークセンサー・油圧センサー付き油圧シリンダ、車体IMU、3D-LiDAR(前)、ステレオカメラ(前)、ミリ波レーダー(前)が配置されている。屋根には車両制御装置、故障表示灯・スピーカー、GNSS受信部(前)、L5G送受信部がある。後部にはGNSS受信部(後)、ミリ波レーダー(後)、ステレオカメラ(後・左)、3D-LiDAR(後)がある。クローラーの中心線に対し、GNSS受信部(前)の位置から直交線を下してクローラーの底面と交わる位置が車両基準位置とされている。

図3 AC ブルドーザのシステム構成
図の説明テキスト

図3 AC ブルドーザのシステム構成。点線で囲まれた車両制御装置内部に、周辺監視ユニット、車体計測ユニット、車両制御ユニット、L5G通信ユニット、地盤計測ユニット、走行・油圧制御ユニットがある。各種センサー類(入力)や制御対象機器(出力)がそれぞれのユニットに接続されている。

表2 AC ブルドーザの車両制御装置の主な構成要素
図の説明テキスト

表2 AC ブルドーザの車両制御装置の主な構成要素。周辺監視ユニット、車体計測ユニット、車両制御ユニット、走行・油圧制御ユニット、L5G通信ユニット、地盤計測ユニットについて、それぞれの機能概要が記載されている。

〔ACブルドーザの自動・自律運転と敷均し基本動作〕

オペレーターはタブレット端末でSDサービスに指示を出し,SDサービスからACブルドーザに起動指令を送信する。ACブルドーザの車両制御ユニットは,L5G通信ユニット経由で起動指令を受信すると,ACブルドーザを起動する。その後,ACブルドーザの自動・自律運転は,幾つかある動作パターンを切り替えて実施する。

ACブルドーザの敷均しを図4に示す。敷均しでは,ACブルドーザは設計地盤が示す地面の形と同じになるように,ブレードの下側の刃先(以下,ブレード下端という)を設計地盤が示す高さの-30mmから+30mmの範囲で高精度に制御して,押土土砂を使って,地盤を整形する。設計地盤が示す地面より現地盤が示す地面が低い場合には押土土砂で埋められ,高い場合には設計地盤が示す地面より上にある土砂が削られる。この動作を繰り返し,敷均しを完成させる。

図4 AC ブルドーザの敷均し
図の説明テキスト

図4 AC ブルドーザの敷均し。ACブルドーザが進行方向に進みながら、ブレードで押土土砂を押し、現地盤を設計地盤の高さに合わせて均している様子を描いた断面図。ブレードの前方は工事計画未完了、後方は工事計画完了となっている。

ACブルドーザの敷均しの動作パターンの一つの例として,基本パターンの手順を次に示す。

  1. 車両制御ユニットはSDサービスから工事計画及び現地盤をL5G通信ユニット経由で受信する。
  2. SDサービスから工事開始指令を受信すると,工事計画にある排土位置の近くに移動する。
  3. ACダンプから排土完了を通知されると,車両制御ユニットは,工事計画にある設計地盤と現地盤の差分に基づいて運転計画を更新する。
  4. 車両制御ユニットは,運転計画に従って,走行経路,走行速度を制御するとともに,ブレードの上下,傾斜を制御し,排土された土砂山の土砂を数回に分けて突き崩し,押土を行う。
  5. a ことを検知すると,排土位置の近くに移動する。
  6. 排土された土砂山が残っている場合,その土砂を使って敷均しを継続し,土砂山が残っていない場合,ほかの動作パターンに切り替える。

また,次の処理は,自動・自律運転中,同時並行で実施される。

  • 3D-LiDARで取得した点群データを一部抽出し,SDサービスに送信する。また,ACダンプから排土された土砂山の形状と土砂量を推定する。
  • 推定した土砂山の形状と土砂量を用いて,運転計画の見直しを実施する。
  • 自車周辺に人,AC車両などを検知した場合は,警告音を鳴らして運転を停止する。
  • 機械系故障,G-測位の異常などの機器故障が発生した場合は,運転を停止し,SDサービスに機器故障の内容を通知し,故障表示灯を点滅させる。
  • L5G通信異常が発生した場合は,運転を停止し,故障表示灯を点滅させる。

〔ACブルドーザの車両基準位置測位〕

ACブルドーザは,GNSS測位衛星からの電波を受信しやすい屋根に,2台のGNSS受信部を前後に搭載している。GNSS受信部の位置を測位して,図2に示した車両基準位置を算出する。
ACブルドーザのブレード下端の高さの制御にも,車両基準位置などの情報を用いる。

〔排土された土砂山の外観〕

排土された土砂山の形状を計測したところ円錐型であった。排土された土砂山の外観を図5に示す。

図5 排土された土砂山の外観
図の説明テキスト

図5 排土された土砂山の外観。円錐型の土砂山が描かれている。頂点は地面からの高さ1m。底面の円の中心はACブルドーザの車両基準位置からの距離6m。底面の円周上の点はACブルドーザの車両基準位置からの距離5mで地面からの高さ0mと示されている。

〔ストロークセンサーの値の変化〕

ストロークセンサーの値の変化を図6に示す。

図6 ストロークセンサーの値の変化
図の説明テキスト

図6 ストロークセンサーの値の変化。縦軸にストロークセンサーの値、横軸に時間をとったグラフ。時間TaからTbの間で、一定値から一時的に値が下がりV字に凹む変化をして元の値に戻る様子が描かれており、最も値が下がった部分を矢印(イ)で示している。

設問3 SDシステムの機能追加について答えよ。

(1) 障害対策について答えよ。

SDシステムは,工事に遅れが発生すると,1日当たり数百万円以上の損失が生じる可能性がある。そこで,ある障害に対応するために,二つの異なる回線のP5Gを使用することにした。ここで,新設するP5Gを新P5Gとし,既存のP5Gを旧P5Gとする。
AC車両とタブレット端末に新P5Gの送受信部を増設した。AC車両がセンサーなどで計測したデータを送信する場合,AC車両はL5Gと新P5Gに同じデータを並行して送信する。

(2) 工事現場内のトンネル内でのACダンプの自動・自律運転について答えよ。

G-測位が利用できないトンネル内でも,AC車両を自動・自律運転可能とする機能追加を検討した。曲がりくねった見通しの悪いトンネル内を走行することを想定して,ACダンプの3D-LiDARで自車の周囲360度の点群データを取得することにした。

そのため,実稼働の前に準備段階として,トンネルを走行しながら点群データを取得し,トンネル内の3Dマップを作成して,走行経路と対応付けて記録することにした。自動・自律運転時には,3Dマップ上に3D-LiDARで取得した点群データをマッチングさせて自己位置を推定(以下,自己位置推定という)して走行する。ACダンプの3Dマップ作成の様子を図7に示す。

トンネル内は,L5Gの通信は可能である。また,トンネルの左右の壁面には,模様が描かれたプレートを20mおきに設置する。プレートの模様は,プレートごとに異なり,重複するものはない。

図7 AC ダンプの 3D マップ作成の様子
図の説明テキスト

図7 AC ダンプの 3D マップ作成の様子。トンネル内を走行するACダンプが、左右の壁面に設置されたプレートに向けて点群データを取得し、可視化イメージとして放射状の点線が描かれている。

ACダンプに搭載されているセンサー類を使って,センサーフュージョンとして自己位置推定の機能の向上を図りたい。そのために各センサーの b , c , 及び耐環境性を把握しておく必要がある。

設問と解答・解説

設問1

SDシステムの仕様について答えよ。

(1)

事故の予防について答えよ。
(a) ACブルドーザは,自車周辺の人,AC車両などの検知に,ステレオカメラ以外にミリ波レーダーも使用しているのはなぜか。35字以内で答えよ。

模範解答

ステレオカメラは,天候不良時や夜間の撮影に適さないから

ミリ波レーダーは,天候不良時や夜間でも検出性能が低下しにくいから

採点基準(配点 7点)

知識・理解度(内容)(4点)

  • 4: ステレオカメラとミリ波レーダーそれぞれの特徴(天候・夜間に対する耐性の違い)を正しく比較・理解し、システムの安全性に配慮した設計要件を的確に説明できている。
  • 2: いずれか一方のセンサーの特徴のみを記述しているか、比較の観点がやや曖昧である。
  • 0: センサーの特徴について誤解している、または言及されていない。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 「〜だから」「〜ため」など、理由を説明する論理的な構成になっており、字数制限内で簡潔にまとまっている。
  • 1: 理由は書かれているが、文章のつながりがやや不自然である。
  • 0: 理由を説明する文章になっていない。

解説

ステレオカメラとミリ波レーダーの特性の違いを比較し、両者を併用する理由を説明する問題です。

ステレオカメラは視覚的な情報を得るため、天候不良時や夜間に検出性能が低下しやすいという弱点があります。一方、ミリ波レーダーは電波を用いるため、天候や照度の影響を受けにくく、悪条件下でも安定して障害物などを検知できます。

高得点のポイント

  • ステレオカメラの弱点(天候不良時や夜間の撮影への不適性)に言及していること。
  • ミリ波レーダーの長所(天候不良時や夜間でも検出性能が低下しにくいこと)に言及していること。
  • これら2つのセンサーの特徴を対比させて論理的に説明していること。

(2)

(b) あるACブルドーザだけが故障表示灯を点滅させて運転を停止した。タブレット端末で確認してみるとSDサービスに情報を通知していないのは,そのACブルドーザだけであった。運転が停止した原因は何か。本文中の字句を用いて答えよ。

模範解答

L5G通信異常

採点基準(配点 8点)

正確性(内容)(8点)

  • 8: 本文中から「L5G通信異常」を正確に抜き出している。
  • 4: 正解の字句を含んでいるが、不要な文字が含まれている、または軽微な誤字・脱字がある。
  • 0: 不正解の字句を抜き出している。

解説

タブレット端末で確認した結果、SDサービスに情報を通知していない原因を特定する問題です。

通信異常が発生している箇所を本文から探し出します。故障表示灯が点滅し、情報が通知されないことから、通信経路であるL5Gネットワークにおける不具合が原因であると判断できます。

高得点のポイント

  • 本文中の字句「L5G通信異常」を正確に抜き出していること。

(3)

〔SDシステムの遠隔監視制御〕について答えよ。
(a) P5Gの通信データ量を削減するために,地盤計測ユニットでは,点群データから冗長なデータを取り除き,現地盤の作成に必要なデータを抽出している。ACブルドーザでは,送信するデータ量を元の点群データに対して,何%としているか。答えは小数第1位を四捨五入して,整数で求めよ。ここで,ACブルドーザの1日当たりの稼働時間は8時間であり,その間に送信するデータ量は1台当たり27Gバイトとする。また,1Gバイト=1,024Mバイトとする。

模範解答

16

配点 7

解説

データ通信量の削減割合を計算する問題です。

ACブルドーザの1日当たりの稼働時間や送信するデータ量(27Gバイト27\text{Gバイト})などの条件と、点群データから冗長なデータを取り除く処理の記述を踏まえ、元のデータ量に対して送信データ量が何パーセントに圧縮されたかを算出します。
本文中で提示された元のデータ生成速度等の条件を用いて計算式を立て、結果を小数第1位で四捨五入して整数で求めます。

計算結果として 1616 (%) が導かれます。

(4)

(b) タブレット端末に全AC車両の位置を表示する。P5G送受信部を介してP5G経由で受信するデータのうち,AC車両の位置に関わるデータは何か。本文中の字句を用いて答えよ。

模範解答

測位補強データ

採点基準(配点 8点)

正確性(内容)(8点)

  • 8: 本文中から「測位補強データ」を正確に抜き出している。
  • 4: 正解の字句を含んでいるが、不要な文字が含まれている、または軽微な誤字・脱字がある。
  • 0: 不正解の字句を抜き出している。

解説

AC車両の正確な位置を把握するために必要なデータを特定する問題です。

GNSSで取得した位置情報は誤差を含むため、より正確な測位を行うには基準局などから送られる補正データが必要です。本文において、AC車両の位置に関わるデータとして「測位補強データ」が該当します。

高得点のポイント

  • 本文中の字句「測位補強データ」を正確に抜き出していること。

設問1(1)(a)は,正答率が低かった。ステレオカメラとミリ波レーダーの併用についての出題であったが,それぞれの特徴について正しく比較されていないと思われる解答が散見された。本問で採用されているセンサーの特徴は,ICTを活用したシステムの設計に非常に重要な知識であるので,是非理解を深めてほしい。

設問2

SDシステムの設計について答えよ。

(1)

排土された土砂山の勾配は何度か求めよ。答えは小数第1位を四捨五入して,整数で求めよ。ここで,土砂山の円錐の底面は水平で,かつ,ACブルドーザの車両基準位置と土砂山の底面の間は水平だったものとする。

模範解答

45

配点 5

解説

排土された土砂山(円錐)の勾配を求める問題です。

土砂山の円錐の底面が水平であり、ACブルドーザの車両基準位置と土砂山の底面の間も水平であるという条件から、土砂山の高さと底面の半径の比率を考慮します。
水平方向の距離と垂直方向の高さが等しい場合、直角二等辺三角形が形成され、 anθ=1\ an \theta = 1 となるため、勾配は 4545 度となります。

(2)

〔ACブルドーザの車両基準位置測位〕について答えよ。
(a) 〔ACブルドーザの車両基準位置測位〕の本文中の下線(ア)について,車両基準位置を測位する以外にどのような情報を取得するためか,15字以内で答えよ。

模範解答

車体の方向

ACブルドーザの方向

計測値の確からしさ

採点基準(配点 5点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 車体の方向、または計測値の確からしさなど、位置測位に付随して得られるシステム制御に必要な情報を正しく理解し記述できている。
  • 1: 関連する情報を記述しているが、具体性を欠いている。
  • 0: 設問の意図から外れた情報を記述している。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 15字以内という制限の中で、端的に対象となる情報を表現できている。
  • 0: 文章として成立していない、または意味が不明瞭である。

解説

GNSSなどの測位情報を用いて、車両の基準位置以外にどのような情報が得られるかを答える問題です。

車両の進行方向や姿勢制御のためには位置だけでなく向きが不可欠です。また、得られた測位データがどの程度信頼できるかという情報もシステムの制御において重要です。したがって「車体の方向」や「計測値の確からしさ」といった情報が該当します。

高得点のポイント

  • 車両の方向(向き)に関する情報を挙げていること。
  • 測位データの信頼性(確からしさ)に関する情報を挙げていること。

(3)

(b) 地面の凸凹にかかわらず屋根に設置されたGNSS受信部(前)の測位した位置を用いて車両基準位置を正確に算出するには,図2中に記載されているどの機器をどのように使用すればよいか,25字以内で答えよ。

模範解答

車体IMUを用いて車体の傾きを計測する。

採点基準(配点 5点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 車体IMUを用いて車体の傾きを計測するという、センサーの活用による正確な基準位置算出の仕組みを理解している。
  • 1: 車体IMUには触れているが、何に用いるかの説明が不足している。
  • 0: 使用すべき機器を誤っている、または言及がない。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 機器名とその使用目的が論理的に結びついており、簡潔な文章で表現されている。
  • 0: 文章のつながりが不明瞭である。

解説

屋根に設置されたGNSS受信部の位置情報から、地面の凸凹による車体の傾きを補正して正確な車両基準位置を算出する方法を問う問題です。

屋根の高い位置にあるセンサーは、車体が傾くと水平方向の位置が大きくずれてしまいます。これを正確に補正するためには、車体自体の傾きを計測するセンサーが必要です。図中の機器から「車体IMU」を用いて傾きを計測・補正することが求められます。

高得点のポイント

  • 使用する機器として「車体IMU」を明記していること。
  • 車体IMUを用いて「車体の傾き」を計測し、補正に使用するという目的を記述していること。

(4)

ブレード下端の高さを一定にする制御を 10 ミリ秒周期で実施したい。1 秒周期で更新される車両基準位置及び方位に加え,油圧シリンダのストロークセンサーだけでは計測が間に合わないことが分かった。ブレード下端の高さの測位は,どのように行うべきか。30字以内で答えよ。

模範解答

ブレードIMU及び車体IMUを用いて,補正する。

採点基準(配点 5点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: ブレードIMUと車体IMUの両方を用いて高周期な補正を行うという制御の要件を正しく理解している。
  • 1: 一方のIMUにしか言及していない、または機器の組み合わせに過不足がある。
  • 0: 高周期制御を補う仕組みについて誤解している。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 機器の組み合わせと「補正する」というアクションが自然な文でつながっている。
  • 0: 文脈として破綻している。

解説

遅い周期のセンサー(GNSS等)の情報だけでは高頻度な制御(10ミリ秒10\text{ミリ秒}周期)に間に合わない場合の解決策を問う問題です。

油圧シリンダのストロークセンサーだけでなく、ブレードの動きと車体自体の動きを高周期で捉える必要があります。そのためには、「ブレードIMU」と「車体IMU」を併用し、それぞれの計測値を用いて高頻度に測位を補正することが求められます。

高得点のポイント

  • ブレードIMU」と「車体IMU」の両方を使用することを明記していること。
  • 取得したデータを用いて補正・測位を行う旨を記述していること。

(5)

〔ACブルドーザの自動・自律運転と敷均し基本動作〕について答えよ。
(a) 〔ACブルドーザの自動・自律運転と敷均し基本動作〕の⑤は,ある機器を用いてある状態になったことを検知する。本文中の a に入れる適切な内容を40字以内で答えよ。

模範解答

油圧シリンダの油圧センサーを用いて押土土砂がなくなった状態になった

採点基準(配点 5点)

知識・理解度(内容)(5点)

  • 5: 油圧シリンダの油圧センサーを用いて、土砂がなくなった(負荷が抜けた)状態を検知するという一連の動作手順を正確に理解し記述している。
  • 3: センサー名または状態のいずれかが正確に記述されているが、一部不十分である。
  • 0: 敷均し基本動作の手順として文脈に合わない記述となっている。

解説

ACブルドーザの敷均し作業において、排土が完了したこと(ブレードの前に土砂がなくなった状態)をどのように検知するかを問う問題です。

土砂を押し出している間はブレードに大きな負荷がかかるため、油圧シリンダの圧力が高くなります。排土が終わり土砂がなくなると、この負荷が急激に低下します。したがって、「油圧シリンダの油圧センサー」を用いて「押土土砂がなくなった状態になった」ことを検知するのが適切な手順となります。

高得点のポイント

  • 使用する機器として「油圧シリンダの油圧センサー」を挙げていること。
  • 検知する状態として「押土土砂がなくなった状態」などを明記していること。
  • 手順⑤から⑥への一連の流れに無理がないよう記述されていること。

(6)

(b) ストロークセンサーの値の変化を図6に示す。図中の矢印(イ)の時点で,どのようなことが起きたと考えられるか。15字以内で答えよ。ここで,ACブルドーザは敷均し中で,ブレードを制御しており,TaからTbの間ブレード下端は設計地盤で示す高さと一致していたものとする。また,設計地盤は水平であったものとする。

模範解答

車体が傾斜した。

車体が上下した。

採点基準(配点 5点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 設計地盤が水平である条件を踏まえ、ストローク変化の要因が車体側の変動(傾斜や上下)にあることを正しく理解している。
  • 1: 車体の動きに関連する要因を挙げているが、事象の説明としてやや不十分である。
  • 0: ブレード自体の誤作動とするなど、設問の前提条件に反する考察をしている。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 起きた事象が端的かつ明確に表現されている。
  • 0: 意味が伝わらない表現である。

解説

ブレードのストロークセンサーの値が変化した要因を考察する問題です。

設計地盤が水平であり、ブレード下端もそれに一致するように制御されているにもかかわらず、シリンダのストロークが変化したということは、基準となる車体自体が動いたことを意味します。地面の凹凸などにより「車体が傾斜した」または「車体が上下した」ため、ブレード下端の高さを一定に保とうとして自動的にストロークが制御されたと考えられます。

高得点のポイント

  • ストロークの変化が「車体側の変動」を吸収するための制御であることを理解していること。
  • 車体が傾斜した」または「車体が上下した」という物理的な変化を記述していること。

設問2(4)(a)は,正答率が低かった。設問は,ACブルドーザの敷均しの動作パターンの一つである基本パターンの手順①~⑥のうち,⑤の内容について問うているが,手順として⑤から⑥につながらなくなる解答が散見された。一連のシステムの動作手順における穴埋めについて解答する場合は,与えられた条件を理解し,手順として無理のない流れになるように考慮した上で解答してほしい。

設問3

SDシステムの機能追加について答えよ。

(1)

障害対策について答えよ。
(a) 二つの異なる回線のP5Gを採用したのは,どのような障害に対策するためか。25字以内で答えよ。

模範解答

一方の回線を使用した通信ができなくなる障害

採点基準(配点 10点)

知識・理解度(内容)(6点)

  • 6: 一方の回線の通信障害を想定した冗長化の目的であり、システムの安全性に配慮した設計であることを正しく理解している。
  • 3: 障害対策であることは触れられているが、具体的な障害の形(一方の回線ダウン)の記述がない。
  • 0: ネットワーク冗長化の目的を誤解している。

論理性(構造)(4点)

  • 4: 字数制限内で、どのような障害かが簡潔に表現されている。
  • 0: 文脈が不明瞭である。

解説

通信ネットワークにおいて、二つの異なる回線を採用する理由(冗長化の目的)を問う問題です。

自動・自律運転を行う建設機械システムにおいて、通信の断絶は重大な事故やシステム停止に直結します。そのため、片方の回線に障害が発生してももう一方で通信を継続できるよう、「一方の回線を使用した通信ができなくなる障害」に対する備えとして異なる回線を採用しています。

高得点のポイント

  • 片方の回線がダウンした状態(単一障害点への対策)を想定した記述であること。

(2)

(b) ACブルドーザが新P5Gの通信圏内の場合でも,ある情報の取得を確実にするためにはL5Gは欠くことはできないと考えられる。その情報を二つ,本文中の字句を用いて答えよ。

模範解答

ACダンプの位置

排土完了の通知

非常停止指令

時刻の同期

採点基準(配点 10点)

正確性(内容)(10点)

  • 10: 指定された情報を本文中から2つとも正確に抜き出している。
  • 5: 指定された情報のうち1つだけを正確に抜き出している。
  • 0: 正解となる情報が抜き出せていない。

解説

新P5Gの通信圏内であっても、確実に取得・伝達しなければならない情報について答える問題です。

安全なシステム運用には、緊急時の対応や各機械の協調動作が不可欠です。例えば、危険を回避するための「非常停止指令」や、システム全体でログや制御タイミングを合わせるための「時刻の同期」などは、通信経路を複数確保してでも確実に取得すべき重要な情報です。

高得点のポイント

  • 本文中の字句を用いて、確実性が求められる情報を2つ正確に抜き出していること。

(3)

工事現場内のトンネル内でのACダンプの自動・自律運転について答えよ。
(a) 壁面に設置した異なる模様のプレートを用いて可能となることは何か答えよ。

模範解答

トンネル内の絶対位置の検出

自己位置推定の補正・精度向上

採点基準(配点 10点)

知識・理解度(内容)(6点)

  • 6: GNSS非対応環境におけるプレートの役割(絶対位置の検出や自己位置推定の補正)を的確に理解し記述している。
  • 3: 位置を把握することは記述しているが、絶対位置や補正という観点が弱い。
  • 0: プレートを用いる目的について誤解している。

論理性(構造)(4点)

  • 4: 可能となる技術的な効果が端的に表現されている。
  • 0: 何を言おうとしているか不明確である。

解説

トンネル内などGNSSによる測位が困難な環境において、壁面に設置したプレートから得られる効果を問う問題です。

GNSS電波が届かないトンネル内では、IMUなどを用いた自律航法(オドメトリ)に依存しますが、これだけでは時間とともに誤差が蓄積します。異なる模様のプレートをカメラで認識させることで、「トンネル内の絶対位置の検出」が可能になり、結果として「自己位置推定の補正・精度向上」が実現できます。

高得点のポイント

  • プレートの特徴を利用して絶対位置が検出できることに言及していること。
  • 自己位置推定の誤差を補正し、精度を向上させるという効果に言及していること。

(4)

(b) 次の記述中の b , c に入れる適切な字句を答えよ。

模範解答

検出精度

処理時間

採点基準(配点 10点)

知識・理解度(内容)(10点)

  • 10: 文脈に合致する「検出精度」「処理時間」などの適切な用語を2つとも解答できている。
  • 5: 適切な用語を1つだけ解答できている。
  • 0: 文脈に合わない用語を解答している。

解説

システム性能や画像認識処理における評価のトレードオフなどに関する穴埋め問題です。

高度な画像処理やセンサー情報の解析においては、より正確に情報を捉えようとする「検出精度」の向上と、システムをリアルタイムに制御するための「処理時間」の短縮という相反する要素のバランスを取ることが求められます。

高得点のポイント

  • 性能評価の指標として「検出精度」と「処理時間」といった適切な用語を回答していること。

設問3(2)(a)は,正答率が低かった。設問3(2)に記載されているプレートの特徴を考慮して,自己位置推定で可能となることについて解答してほしい。