令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問題 問2 IPマルチキャストとIGMPv3による河川カメラ映像配信

テクノロジネットワーク

この問題は2023(R5)春 ネットワークスペシャリスト 午後Iに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

本ページの問題文・選択肢は、原本の体裁を Web 表示用に正規化しています(改行・記号・数式・図表参照の調整)。設問の趣旨および正解に影響する変更は加えていません。

学習ガイド

河川監視カメラの映像をIPマルチキャストで配信するネットワーク設計の問題です。IGMPv2とIGMPv3の要求情報の違いから、全カメラに同じグループアドレスを使える理由を確認します。PIM-SM、SSM、FW設定、必要帯域も通信経路に沿って解説します。本文・表・図の根拠を行き来し、用語だけを暗記するのではなく、短い記述にも判断の理由を残して解答する手順を示します。

この記事で押さえる論点

  • ユニキャスト配信と比べてIPマルチキャストがソースの通信量を抑える理由を説明できる
  • IGMPv3の(S, G) JoinからPIM-SMのディストリビューションツリー形成までを図2の(a)〜(e)で追跡する
  • IGMPv2とIGMPv3の違いをグループアドレス設計の観点で整理する
  • PCへの配信追加で設定変更が必要な機器・インタフェース・プロトコルを図1の構成から特定する

問題本文

問2 IPマルチキャストによる映像配信の導入に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。

K市は,人口25万人の中核市である。市内には一級河川があり,近年の異常気象による河川氾濫などの水害が問題となっている。このたびK市では,災害対策強化の一つとして,撮影した映像を H.264 によって符号化して IPv4ネットワークへ送信可能なカメラ(以下,IPカメラという)を河川・沿岸の主要5地点周辺に合計20台新設し,K市庁舎の執務エリアへ高解像度リアルタイム配信を行うことになった。
本件の調査及び設計担当として,情報システム部の N主任が任命された。

〔ネットワーク構成〕

N主任は,IPカメラの導入によって増加する通信量に着目し,通信帯域を効率良く使用するため,IPマルチキャストを用いて配信を行う構成を検討した。IPマルチキャストを用いることによって,映像は次のように配信される。

  • 映像の送信元(以下,ソースという)である IPカメラは,映像を符号化したデータ(以下,映像データという)をマルチキャストパケットとして送信する。
  • ネットワーク機器は,マルチキャストパケットを複製して配信する。
  • 配信先であるレシーバは,マルチキャストパケットの映像データを映像へ復号し,大型モニターへ表示する。

N主任が考えたK市のネットワーク構成を図1に示す。

図1 N主任が考えたK市のネットワーク構成(抜粋)
図の説明テキスト

K市庁舎と河川・沿岸の2エリアからなるネットワーク構成図。
【K市庁舎】
・FW01を中心に、サーバ室、執務エリア1、執務エリア2が接続されている。
・サーバ室: L2SW01がFW01に接続。L2SW01の配下にカメラ管理サーバ(新設)がある。
・執務エリア1: L3SW11がFW01に接続。L3SW11の配下にL2SW11、L2SW12がある。各L2SWの下にはPCと、レシーバ11・13(新設)および大型モニター(新設)が接続されている。
・執務エリア2: L3SW21がFW01に接続。L3SW21の配下にL2SW21、L2SW22がある。各L2SWの下にはPCと、レシーバ21・23(新設)および大型モニター(新設)が接続されている。
【河川・沿岸】
・FW01からL2SW91〜L2SW95が接続されている。
・各L2SWの配下にはそれぞれ複数のIPカメラ(新設)が接続されている(L2SW91にはIPカメラ11〜14、L2SW92にはIPカメラ21〜24など)。

図1の概要を次に示す。

(1) 既設機器

  • FW及び各スイッチ間は,1000BASE-T又は1000BASE-SXで接続している。
  • FWと各L3SW間は,OSPFによる動的ルーティングを行っている。

(2) 新設機器

  • IPカメラは,河川・沿岸に新設するL2SWに接続する。
  • 新設するL2SWは,光ファイバを使用し,1000BASE-LXで接続する。
  • IPカメラは,1台当たり8Mビット/秒で映像データを含むパケットを送信する。
  • カメラ管理サーバは,IPカメラの死活監視,遠隔制御を行い,Webサーバ機能をもつ。PCとはHTTPSで,IPカメラとは独自プロトコルでそれぞれ通信を行う。
  • レシーバ及び大型モニターは,各6台新設する。レシーバは,最大四つの映像データを同時に受信し,大型モニターへ4分割で表示する。
  • IPカメラ,レシーバ及び大型モニターの設置に当たっては,将来的な追加や更新を考慮する。

(3) IPマルチキャスト

  • マルチキャストルーティング用のプロトコルとして,PIM-SM(Protocol Independent Multicast - Sparse Mode)及びPIM-SMの派生型であるSSM(Source-Specific Multicast)を用いる。
  • IPマルチキャストの配信要求プロトコルとして,IGMPv3 (Internet Group Management Protocol, Version 3)を用いる。
  • 映像データを識別する情報の一つとして,グループアドレスを用いる。グループアドレスは,IPカメラが送信するマルチキャストパケットの宛先IPアドレスなどに使用され,使用可能なアドレス範囲は決められている。
  • 既設機器は,PIM-SM, SSM及びIGMPv3に対応している。

(4) IPカメラのアドレス設計

  • 全てのIPカメラに個別のIPアドレス及び同一のグループアドレスを使用する。

〔IPマルチキャストに関する調査及び設計〕

K市のネットワークをIPマルチキャストに対応させるため,N主任が調査した内容を次に示す。

  • IGMPv2 (Internet Group Management Protocol, Version 2)を使用する場合,レシーバはグループアドレスを指定してIPマルチキャストの配信要求を行う。
  • IGMPv3を使用する場合,レシーバはソースのIPアドレス及びグループアドレスを指定してIPマルチキャストの配信要求を行う。
  • L2SWでは,マルチキャストフレームを受信した際,同一セグメント上の受信インタフェース以外の全てのインタフェースへするので,通信帯域を無駄に使用し,接続先のインタフェースへ不必要な負荷を掛けてしまう。この対策機能として,スノーピングがある。L2SWのこの機能は,レシーバから送信されるJoinやLeaveのパケットを監視し,マルチキャストフレームの配信先の決定に必要な情報を収集する。

IPカメラ11からレシーバ11への配信イメージを図2に示す。なお,図2中の(S, G)のS及びGは,それぞれソースのIPアドレス及びグループアドレスを示す。

図2 IP カメラ 11 からレシーバ 11 への配信イメージ(抜粋)
図の説明テキスト

レシーバ11、L3SW11、FW01、IPカメラ11の間の通信フローを示すシーケンス図。
・(a) IPカメラ11からFW01へ「常時送信」(実線矢印)
・(b) L3SW11とFW01間で「PIM hello」(破線両矢印)
・(c) レシーバ11からL3SW11へ「IGMPv3 (S,G) Join」(破線矢印)
・(d) L3SW11からFW01へ「PIM (S,G) Join」(破線矢印)
・(e) FW01からL3SW11、L3SW11からレシーバ11へ「複製及び配信」(実線矢印)
凡例:
・実線矢印: 映像データのマルチキャストパケット
・破線(丸印付き)矢印: IGMPv3 又は PIM のマルチキャストパケット

図2中の(a)〜(e)の説明を次に示す。

(a) IPカメラ11は,映像データを自身のグループアドレス宛てに常時送信する。
(b) PIM-SMが有効化されたインタフェースでは,定期的にPIM helloが送信される。FW01及びL3SW11は,PIM helloを受信することでPIMネイバーの存在を発見する。
(c) レシーバ11は,IGMPv3メンバーシップレポートの(S, G) Joinを作成し,IGMP用に割り当てられたIP アドレス宛てに送信する。
(d) L3SW11は,(S, G) Joinを基に(S, G)エントリを作成し,ユニキャストルーティングテーブルに基づき,ソースの方向であるFW01へPIMの(S, G) Joinを送信する。これによってディストリビューション が作成される。
(e) FW01は,IPカメラ11から受信したマルチキャストパケットを複製し,(S, G)エントリに登録された出力インタフェースへ配信を行う。L3SW11においても同様に,パケットの複製が行われ,レシーバ11へ配信される。

N主任は,調査結果を踏まえ,各機器に次の設定を行うことにした。

  • FW01,L3SW11及びL3SW21では,マルチキャストルーティングを有効化し,全てのインタフェースにおいて を有効化する。
  • L3SW11及びL3SW21では,マルチキャストルーティング用のプロトコルとして を有効化し,レシーバが接続されたL2SWと接続するインタフェースにおいて,IGMPv3を有効化する。
  • K市庁舎の全ての L2SWでは,スヌーピングが有効になっていることを確認する。
  • FW01では,IPカメラに設定したグループアドレスをもつマルチキャストパケットの通過を有効化し,表1に示すユニキャスト通信の許可ルールを有効化する。
表1 ユニキャスト通信の許可ルール
図の説明テキスト
項番 通信経路 送信元 宛先 プロトコル/宛先ポート番号
1 サーバ室→河川・沿岸 IPカメラ (省略)
2 執務エリア1, 2→サーバ室 PC TCP /
注記 FW01 は,ステートフルパケットインスペクション機能をもつ。

〔追加指示への対応〕

調査及び設計の結果について情報システム部長へ説明を行ったところ,PCでも映像を表示するよう指示があった。N主任は次の対応を行うことにした。

  • 既設機器には,IPマルチキャストの設定を追加する。
  • PCには,IGMPv3に対応し,映像データから映像へする機能をもつソフトウェア製品を新たに導入する。

PCに導入するソフトウェア製品は,映像を選択する方式として,デスクトップアプリケーション方式と Webブラウザ方式に対応している。デスクトップアプリケーション方式では,PC上でソフトウェア製品を起動し,ソフトウェア製品に IPカメラを登録すること及び登録済みの IPカメラを選択して映像を表示することができる。Webブラウザ方式では,PCの Webブラウザからカメラ管理サーバの Webページを開き,カメラ管理サーバに登録された IPカメラを選択することによってソフトウェア製品が起動され,映像を表示することができる。

N主任は,デスクトップアプリケーション方式と Webブラウザ方式とを比較して,IPカメラの追加や更新における利点から Webブラウザ方式を採用することにした。

N主任の設計は承認され,IPマルチキャストによる映像配信の導入が決定した。

設問と解答・解説

設問1

本文中の に入れる適切な字句を答えよ。

(1)

本文中の に入れる適切な字句を答えよ。

模範解答

フラッディング

採点基準(配点 2点)

正確性(内容)(2点)

  • 2: 「フラッディング」と完全に一致している。
  • 1: 意味は通じるが、表記ゆれや不要な文字が含まれている。
  • 0: 不正確、または無解答。

解説

解説

IPマルチキャストの通信において、宛先が学習されていない初期状態では、フレームを受信したポート以外のすべてのポートへフレームを転送する動作が行われます。これをフラッディングと呼びます。

高得点のポイント

  • スイッチの基本的な転送動作であるフラッディングという用語を正確に記述できていること。

(2)

本文中の に入れる適切な字句を答えよ。

模範解答

IGMP

採点基準(配点 2点)

正確性(内容)(2点)

  • 2: 「IGMP」と完全に一致している。
  • 1: 意味は通じるが、表記ゆれや不要な文字が含まれている。
  • 0: 不正確、または無解答。

解説

解説

ルータとホスト間でマルチキャストグループへの参加や離脱を管理するためのプロトコルはIGMP (Internet Group Management Protocol) です。マルチキャスト通信を導入する上で必須となる知識です。

高得点のポイント

  • ホストとルータ間のグループ管理プロトコルとしてIGMPを正確に回答できていること。

(3)

本文中の に入れる適切な字句を答えよ。

模範解答

マルチキャスト

採点基準(配点 2点)

正確性(内容)(2点)

  • 2: 「マルチキャスト」と完全に一致している。
  • 1: 意味は通じるが、表記ゆれや不要な文字が含まれている。
  • 0: 不正確、または無解答。

解説

解説

映像配信や株価情報の配信など、特定のグループに属する複数の宛先に同じデータを効率よく送信する技術はマルチキャストです。

高得点のポイント

  • ネットワーク技術の基本用語であるマルチキャストを正確に記述できていること。

(4)

本文中の に入れる適切な字句を答えよ。

模範解答

ツリー

採点基準(配点 2点)

正確性(内容)(2点)

  • 2: 「ツリー」と完全に一致している。
  • 1: 意味は通じるが、表記ゆれや不要な文字が含まれている。
  • 0: 不正確、または無解答。

解説

解説

マルチキャストルーティングにおいて、配信元(ソース)から宛先(レシーバ)までのパケットの転送経路を木構造で表したものをディストリビューションツリー(または単にツリー)と呼びます。IPマルチキャストの重要な概念です。

高得点のポイント

  • マルチキャスト経路の論理構成を示すツリーという用語を適切に導き出せていること。

(5)

本文中の に入れる適切な字句を答えよ。

模範解答

PIM-SM

採点基準(配点 2点)

正確性(内容)(2点)

  • 2: 「PIM-SM」と完全に一致している。
  • 1: 意味は通じるが、大文字小文字の違いなどの表記ゆれがある。
  • 0: 不正確、または無解答。

解説

解説

マルチキャストルーティングプロトコルの中で、ルータ間で明示的に参加要求を送信してツリーを構築するプロトコルはPIM-SM (Protocol Independent Multicast - Sparse Mode) です。

高得点のポイント

  • IPマルチキャストルーティングの代表的なプロトコルであるPIM-SMを正確に回答できていること。

(6)

本文中の に入れる適切な字句を答えよ。

模範解答

SSM

採点基準(配点 2点)

正確性(内容)(2点)

  • 2: 「SSM」と完全に一致している。
  • 1: 意味は通じるが、大文字小文字の違いなどの表記ゆれがある。
  • 0: 不正確、または無解答。

解説

解説

IGMPv3からサポートされた機能で、特定の送信元からのマルチキャストトラフィックのみを受信要求する仕組みはSSM (Source-Specific Multicast) です。

高得点のポイント

  • 送信元を指定したマルチキャスト通信の方式であるSSMを正確に記述できていること。

(7)

本文中の に入れる適切な字句を答えよ。

模範解答

復号

採点基準(配点 2点)

正確性(内容)(2点)

  • 2: 「復号」と完全に一致している。
  • 1: 意味は通じるが、表記ゆれや不要な文字が含まれている。
  • 0: 不正確、または無解答。

解説

解説

エンコーダによって圧縮・符号化された映像データを、レシーバ(デコーダ)側で元の映像に戻す処理を復号(デコード)と呼びます。

高得点のポイント

  • 符号化の対義語としての復号を正しく文脈から読み取れていること。

設問1では,エの正答率が低かった。ディストリビューションツリーは,IPマルチキャストの中で重要な用語である。IPマルチキャストは,映像配信に限らず株価情報の配信など,最新データを多数の宛先へ配信する用途において有用なプロトコルなので,ネットワークの基礎知識の一つとして学習しておいてほしい。

設問2

〔ネットワーク構成〕について答えよ。

(1)

本文中の下線①について,IPマルチキャストを用いずユニキャストで配信を行う場合の欠点を“ソース”と“レシーバ”という字句を用いて35字以内で答えよ。

模範解答

配信先のレシーバの数に応じてソースの通信量が増加する。

採点基準(配点 3点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: レシーバの増加に伴い、ソースの通信量が増加するという仕組みが正確に説明されている。
  • 1: 通信量の増加には言及しているが、レシーバの増加が原因であることの説明が不十分である。
  • 0: ユニキャストの欠点について全く説明できていない。

論理性(構造)(1点)

  • 1: 指定された語句を用いて、文脈が論理的に繋がっている。
  • 0: 文脈が破綻している、または意味が通じない。

解説

解説

ユニキャストは1対1の通信方式です。同じ映像データを複数のレシーバに配信する場合、ユニキャストではソースから各レシーバへ個別にデータを送信する必要があります。そのため、レシーバの数に比例してソース側のネットワーク帯域や処理負荷が増加するという欠点があります。

高得点のポイント

  • レシーバの数に比例してという条件が含まれていること。
  • ソース側の通信量(トラフィック)が増加するという結果が明記されていること。
  • 指定語句の「ソース」と「レシーバ」を正しく用いて論理的に記述できていること。

(2)

本文中の下線②について,L2SW91からFW01へ流入するマルチキャストパケットの伝送レートの理論的な最大値を,Mビット/秒で答えよ。

模範解答

160

配点 3

解説

L2SW91には4台のIPカメラが接続され、各カメラの映像データは40Mビット/秒です。4台が同時に配信すると、L2SW91からFW01へ流れる最大伝送レートは 40 × 4 = 160 Mビット/秒です。

(3)

本文中の下線③について,IGMPv3ではなくIGMPv2を使用するとした場合,考えられるIPカメラのアドレス設計を45字以内で答えよ。

模範解答

全てのIPカメラに個別のIPアドレス及び個別のグループアドレスを使用する。

採点基準(配点 3点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: 個別のIPアドレスと個別のグループアドレスを併用する設計方針が明確に説明されている。
  • 1: アドレス設計に言及しているが、個別化する必要性の説明が不十分である。
  • 0: IGMPv2におけるアドレス制約を理解していない。

論理性(構造)(1点)

  • 1: 45字以内で完結に、かつ論理的に記述されている。
  • 0: 文章の繋がりが不自然である、または要旨が読み取れない。

解説

解説

IGMPv2はAny-Source Multicast (ASM) を前提としており、レシーバ側で配信元(ソース)のIPアドレスを指定することができません。そのため、複数のIPカメラが同じグループアドレスを使用すると、どのカメラの映像を受信しているのか区別がつかなくなります。

これを回避するためには、カメラごとに異なるIPアドレスだけでなく、個別のグループアドレスを割り当てて一意に識別できる設計にする必要があります。

高得点のポイント

  • すべてのIPカメラに対して、個別のIPアドレスを割り当てることに言及していること。
  • 同時に、個別のグループアドレスを割り当てる必要性を明記していること。

設問2では,(3)の正答率が低かった。IPカメラのアドレス設計を本文中のものからどのように変えるべきか,下線部だけを読んで解答するのではなく,IGMPv2とIGMPv3との違いを本文全体からしっかり読み取り,正答を導き出してほしい。

設問3

〔IPマルチキャストに関する調査及び設計〕について答えよ。

(1)

本文中の下線④について,IGMPv2と比較して,IGMPv3がソースのIPアドレスとグループアドレスの二つを用いることによる利点を,“グループアドレス”という字句を用いて25字以内で答えよ。

模範解答

グループアドレスの設計が容易になる。

採点基準(配点 3点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: IGMPv3の導入によりグループアドレスの設計が容易になることが正確に記述されている。
  • 1: 利点について触れているが、表現が曖昧で核心を突いていない。
  • 0: 利点について誤った解釈をしている、または無解答。

論理性(構造)(1点)

  • 1: 指定語句を使用し、簡潔で論理的な文章になっている。
  • 0: 文脈が不自然、または指定語句の使い方が誤っている。

解説

解説

IGMPv3ではSource-Specific Multicast (SSM) が利用可能となり、レシーバは「どのソースIPアドレスから、どのグループアドレス宛のデータか」の組み合わせで通信を識別します。

これにより、仮に異なるソースで同じグループアドレスを使用しても通信が混信しないため、グループアドレスの設計が容易になるという利点があります。

高得点のポイント

  • グループアドレスという指定語句を含めていること。
  • アドレス重複の許容等によって、アドレス設計の負担が軽減されること(設計が容易になること)を明記していること。

(2)

本文中の下線⑤について,配信先の決定に必要な情報を二つ挙げ,本文中の字句で答えよ。(1つ目)

模範解答

グループアドレス

採点基準(配点 3点)

正確性(内容)(3点)

  • 3: 「グループアドレス」と完全に一致している。
  • 1: 意味は通じるが、本文からの正確な抜き出しになっていない(不要な文字を含むなど)。
  • 0: 不正確、または無解答。

解説

解説

マルチキャストルータやL3スイッチが、どのポート(インタフェース)にどのマルチキャストトラフィックを転送するかを決定するためには、転送対象となるグループアドレスと、そのトラフィックを要求しているインタフェースの情報が必要です。

本設問では、本文中から該当する字句を抜き出します。

高得点のポイント

  • 本文の記述に従い、グループアドレスを正確に抜き出していること。

(3)

本文中の下線⑤について,配信先の決定に必要な情報を二つ挙げ,本文中の字句で答えよ。(2つ目)

模範解答

インタフェース

採点基準(配点 3点)

正確性(内容)(3点)

  • 3: 「インタフェース」と完全に一致している。
  • 1: 意味は通じるが、本文からの正確な抜き出しになっていない(不要な文字を含むなど)。
  • 0: 不正確、または無解答。

解説

解説

(1つ目の解答「グループアドレス」とセットで)マルチキャストトラフィックの転送先となる情報を管理するためには、要求を受信した物理的または論理的なインタフェースの特定が必要です。

高得点のポイント

  • 本文の記述に従い、インタフェースを正確に抜き出していること。

(4)

表1中の に入れる適切な字句を答えよ。ここで、図1中の機器名で答えよ。

模範解答

カメラ管理サーバ

採点基準(配点 3点)

正確性(内容)(3点)

  • 3: 「カメラ管理サーバ」と完全に一致している。
  • 1: 意味は通じるが、図1の名称と完全に一致していない。
  • 0: 不正確、または無解答。

解説

解説

表1の通信要件において、IPカメラ等の管理や映像ストリームの制御を担う中心的なサーバを特定する問題です。図1のネットワーク構成図より、該当する機器はカメラ管理サーバであることが読み取れます。

高得点のポイント

  • 図1に記載された名称の通り、カメラ管理サーバと正確に記述できていること。

(5)

表1中の に入れる適切な字句を答えよ。ここで、ウェルノウンポート番号で答えよ。

模範解答

443

配点 3

解説

解説

表1に記載された通信の中で、セキュアなWebアクセス(HTTPSなど)を行う際の宛先ポート番号を問う問題です。HTTPSのウェルノウンポート番号は 443443 です。

※本設問は数値解答のため、選択肢はありません。

設問4

〔追加指示への対応〕について答えよ。

(1)

本文中の下線⑥について,(a)設定を追加する機器名を答えよ。ここで,機器名は図1中の字句で答え,複数該当する場合は全て答えよ。

模範解答

L3SW11,L3SW21

採点基準(配点 3点)

正確性(内容)(3点)

  • 3: 「L3SW11」と「L3SW21」の両方が正確に挙げられている。
  • 1: 片方のみ正答している、または余分な機器名が含まれている。
  • 0: 不正確、または無解答。

解説

解説

追加指示への対応として、マルチキャストトラフィックを中継するための設定変更が必要です。マルチキャストルーティングやIGMP Querierの役割を担うLayer 3スイッチに設定を追加します。図1から該当する機器はL3SW11およびL3SW21となります。

高得点のポイント

  • 対象となる複数のL3スイッチ(L3SW11L3SW21)を漏れなく挙げていること。

(2)

本文中の下線⑥について,(b)設定を追加するインタフェースの接続先機器名を答えよ。ここで,機器名は図1中の字句で答え,複数該当する場合は全て答えよ。

模範解答

L2SW11,L2SW21

採点基準(配点 3点)

正確性(内容)(3点)

  • 3: 「L2SW11」と「L2SW21」の両方が正確に挙げられている。
  • 1: 片方のみ正答している、または余分な機器名が含まれている。
  • 0: 不正確、または無解答。

解説

解説

追加設定が必要なL3スイッチのインタフェースが、どの機器に接続されているかを問う問題です。ネットワーク構成上、L3SWの下位に接続されてマルチキャストトラフィックを分配する役割を持つのはL2SW11およびL2SW21です。

高得点のポイント

  • 設定対象インタフェースの接続先として、L2SW11およびL2SW21を正確に特定できていること。

(3)

本文中の下線⑥について,(c)プロトコル名を答えよ。ここで,プロトコル名は本文中の字句で答え,複数該当する場合は全て答えよ。

模範解答

IGMPv3

採点基準(配点 3点)

正確性(内容)(3点)

  • 3: 「IGMPv3」と完全に一致している。
  • 1: IGMPとは書かれているがバージョンが抜けているなど、不完全な解答。
  • 0: 不正確、または無解答。

解説

解説

本事例で導入されるIPマルチキャスト環境では、SSM (Source-Specific Multicast) を利用するためにIGMPv3を有効にする必要があります。したがって、追加するプロトコル名としてIGMPv3を指定します。

高得点のポイント

  • 本文中の字句通り、IGMPv3と正確に記述していること。

(4)

本文中の下線⑦について,Webブラウザ方式の利点を25字以内で答えよ。

模範解答

Webページを改修するだけで対応完了できる。

採点基準(配点 3点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: サーバ側(Webページ)の改修のみで全端末への対応が完了する利点が正確に説明されている。
  • 1: 利点に触れているが、専用アプリ方式との対比などの説明が不十分である。
  • 0: Webブラウザ方式の利点を理解していない。

論理性(構造)(1点)

  • 1: 25字以内で簡潔かつ論理的にまとまっている。
  • 0: 文章の繋がりが不自然である。

解説

解説

専用アプリケーションを各利用者の端末にインストールする方式と比較して、Webブラウザ方式では、機能追加や改修が発生した際にサーバ側のWebページを更新するだけで全利用者に即座に変更を反映できます。これにより、配布・インストールの運用負荷が大幅に軽減されます。

高得点のポイント

  • アプリケーションの配布や個別アップデートが不要になる点に着目していること。
  • Webページを改修するだけで対応完了できるという利点を25字以内で簡潔にまとめていること。

設問4では,(1)の正答率が低かった。ネットワーク構成と通信プロトコルとの関係を正しく理解し,必要となる変更作業を導き出してほしい。