令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問1 CDNとBGP anycastによる広域配信

テクノロジネットワークセキュリティ技術

この問題は2024(R6)春 ネットワークスペシャリスト 午後Iに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

本ページの問題文・選択肢は、原本の体裁を Web 表示用に正規化しています(改行・記号・数式・図表参照の調整)。設問の趣旨および正解に影響する変更は加えていません。

学習ガイド

ゲームファイルの広域配信を題材に、ロードバランサー・BGP・CDN・DDoS対策を横断して問うネットワークスペシャリスト午後Ⅰの問題です。BGP anycastで同一IPアドレスを複数拠点から広告し、利用者を最寄りPOPへ誘導する仕組みを正しく説明できるかが中核で、不正経路のフィルタリングやRTBH方式とFlowspec方式の比較まで発展します。経路制御の視点を一貫させて読み解いていきましょう。

この記事で押さえる論点

  • ロードバランサーの死活監視方式の違い(HTTPとICMP)を説明する
  • BGP anycastによる経路広告と最寄りPOP誘導の仕組みを理解する
  • RTBHやBGP Flowspecなど DDoS対策の方式比較を行う

問題本文

コンテンツ配信ネットワークに関する次の記述を読んで,設問に答えよ。

D社は,ゲームソフトウェア開発会社で三つのゲーム(ゲームα,ゲームβ,ゲームγ)をダウンロード販売している。D社のゲームはいずれも利用者の操作するゲーム端末上で動作し,ゲームの進捗データやスコアはゲーム端末内に暗号化して保存される。D社のゲームは世界中に利用者がおり,ゲーム本体及びゲームのシナリオデータ(以下,両方をゲームファイルという)はインターネット経由で配信されている。

〔現状の配信方式〕

D社は,ゲームファイルの配信のためのデータセンターを所有している。
D社データセンターの構成を図1に示す。

図1 D社データセンターの構成(抜粋)
図の説明テキスト

D社データセンターとインターネットの接続構成を示すネットワーク図。データセンター内にはルータとLB(ロードバランサー)があり、ルータはISPを経由してインターネットと接続されている。LBには3つのL2SWが接続されており、それぞれのL2SWには「α配信サーバ」「β配信サーバ」「γ配信サーバ」が個別に接続されている。各配信サーバとL2SWの組はそれぞれ点線で囲まれており、「セグメント」であることが示されている。図の下部には凡例(L2SW: レイヤー2スイッチ、LB: ロードバランサー、点線の四角枠: セグメント、ISP: インターネットサービスプロバイダ)と注記(α配信サーバは、ゲームαのゲームファイルを配信するサーバである(β, γも同様)。)、およびキャプション「図1 D社データセンターの構成(抜粋)」が記載されている。

ゲーム端末は,インターネット経由でゲームごとにそれぞれ異なるURLにHTTPSでアクセスする。LBは,プライベートIPアドレスが設定されたHTTPの配信サーバにアクセスを振り分ける。また,LBは配信サーバにHTTPアクセスによって死活確認を行い,動作が停止している配信サーバに対してはゲーム端末からのアクセスを振り分けない。
ゲームファイルの配信に利用するIPアドレスとポート番号を,表1に示す。

表1 ゲームファイルの配信に利用するIPアドレスとポート番号
図の説明テキスト

表1 ゲームファイルの配信に利用するIPアドレスとポート番号

内容 URL LB IPアドレス LB ポート 配信サーバ 所属セグメント 配信サーバ ポート
ゲームα https://alpha.example.net/ 203.x.11.21 443 172.21.1.0/24 80
ゲームβ https://beta.example.net/ 203.x.11.21 443 172.22.1.0/24 80
ゲームγ https://gamma.example.net/ 203.x.11.21 443 172.23.1.0/24 80
注記 203.x.11.21 はグローバル IP アドレス

D社が導入している LBのサーバ振分けアルゴリズムには,ラウンドロビン方式及び最少接続数方式がある。ラウンドロビン方式は,ゲーム端末からの接続を接続ごとに配信サーバに順次振り分ける方式である。最少接続数方式は,ゲーム端末からの接続をその時点での接続数が最も少ない配信サーバに振り分ける方式である。

D社のゲームファイル配信では,振り分ける先の配信サーバの性能は同じだが,接続ごとに配信するゲームファイルのサイズに大きなばらつきがあり,配信に掛かる時間が変動する。各配信サーバへの同時接続数をなるべく均等にするために,LBの振分けアルゴリズムとして方式を採用している。

ゲームβ\betaの配信性能向上が必要になる場合には,表1中の所属セグメントにサーバを増設する。

〔配信方式の見直し〕

D社は,ゲームファイルの大容量化と利用者のグローバル化に伴い,ゲームファイルの配信をコンテンツ配信ネットワーク(以下,CDNという)事業者のE社のサービスで行うことにした。

E社CDNは,多数のキャッシュサーバを設置する配信拠点(以下,POPという)を複数もち,その中から,ゲーム端末のインターネット上の所在地に対して最適なPOPを配信元としてコンテンツを配信する。

あるPOPが端末からアクセスを受けると,POP内でLBがキャッシュサーバにアクセスを振り分ける。E社CDNのキャッシュサーバにコンテンツが存在しない場合は,D社データセンターの配信サーバからE社CDNのキャッシュサーバにコンテンツが同期される。

配信方式の見直しプロジェクトはXさんが担当することになった。Xさんは,E社が提供している BGP anycast 方式の POP 選択方法を調査した。Xさんが E社からヒアリングした内容は次のとおりである。

E社 BGP anycast 方式では,同じアドレスブロックを同じ AS番号を用いてシンガポール POP及び東京 POPの両方から BGPで経路広告する。シンガポール POPと東京 POPの間は直接接続されていない。ゲーム端末が接続する ISPでは,E社 ASの経路情報を複数の隣接した ASから受信する。どの経路情報を採用するかは BGPの経路選択アルゴリズムで決定される。ゲーム端末からの HTTPSリクエストのパケットは,決定された経路で隣接の ASに転送される。

BGP anycast 方式による E社の経路広告イメージを図 2に示す。

図2 BGP anycast 方式による E 社の経路広告イメージ
図の説明テキスト

点線で囲まれた「E 社 CDN」の枠内に、「シンガポール POP」(AS-E) と「東京 POP」(AS-E) の2つのノードがある。枠外には「トランジット ISP」(AS-F)、「IX」、「ISP」(AS-G)の各ノードがあり、「ISP」(AS-G)は「ゲーム端末」と実線で接続されている。
破線の両方向矢印(<---->)で示されるBGPピアの接続関係は以下の通り:

  • シンガポール POP (AS-E) と トランジット ISP (AS-F)
  • 東京 POP (AS-E) と トランジット ISP (AS-F)
  • 東京 POP (AS-E) と IX
  • トランジット ISP (AS-F) と ISP (AS-G)
  • IX と ISP (AS-G)
    図の左下には凡例「IX : Internet Exchange」「<----> : BGP ピア」があり、注記として「AS-E は E 社の AS,AS-G はゲーム端末が接続する ISP の AS を示す。」と記述されている。

図 2で IXは,レイヤー 2ネットワーク相互接続点であり,接続された隣接の AS同士が BGPで直接接続することができる。

BGPでの経路選択では,LP (LOCAL_PREF) 属性については値が 経路を優先し,MED (MULTI_EXIT_DISC) 属性については値が 経路を優先する。E社では,LP属性と MED属性が経路選択に影響を及ぼさないように設定している。これによってE社のある POPからゲーム端末へのトラフィックの経路は,その POPの BGPルータが受け取る AS Path長によって選択される

Xさんは,BGPのセキュリティ対策として何を行っているか,E社の担当者に確認した。E社 BGPルータは,隣接 ASの BGPルータと MD5認証のための共通のパスワードを設定していると説明を受けた。また,アドレスブロックや AS番号を偽った不正な経路情報を受け取らないための経路フィルタリングを行っていると説明があった。

〔配信拠点の保護〕

D社ではDDoS攻撃を受けることが何度かあった。そこでXさんは,コンテンツ配信サーバへのDDoS攻撃対策について,どのような対策を行っているかE社の担当者に確認したところ,E社では RFC 5635 の中で定義された Destination Address RTBH(Remote Triggered Black Hole) Filtering(以下,RTBH方式という)のDDoS遮断システムを導入しているとの回答があった。E社 POPの概要を図3に示す。

図3 E社POPの概要(抜粋)
図の説明テキスト

「図3 E社POPの概要(抜粋)」というタイトルのネットワーク構成図。E社POP内部の構成とインターネットへの接続を示している。E社POP内には「DDoS検知サーバ」があり、「L2SW」を介して「BGPルータ1」〜「BGPルータ4」に接続されている。BGPルータ1〜4からDDoS検知サーバへ向かって点線矢印があり、凡例で「<----: NetFlowパケットの送信方向」と示されている。LB11〜13はFW1に、LB21〜23はFW2に接続し、FW1とFW2は共通の「ルータ」に接続。この「ルータ」はBGPルータ1〜4すべてと接続している。BGPルータ1〜4はそれぞれ別々の「ISP」を経由して「インターネット」に接続されている。凡例には「FW: ファイアウォール」、注記には「装置間の接続とISPの接続は、全て10Gビットイーサネットである。」と記載がある。

E社のDDoS遮断システムは,RFC 3954で定義される NetFlow で得た情報を基にDDoS攻撃の宛先IPアドレスを割り出し,該当IPアドレスへの攻撃パケットを廃棄することで,ほかのIPアドレスへの通信に影響を与えないようにする。DDoS検知サーバは,E社 POP内の各BGPルータとiBGPピアリングを行っている。

E社のBGPルータは,インターネット側インタフェースから流入するパケットの送信元と宛先のIPアドレス,ポート番号などを含む NetFlow パケットを生成する。生成された NetFlow パケットはDDoS検知サーバに送信される。DDoS検知サーバは,送られてきた NetFlow パケットを基に独自アルゴリズムでDDoS攻撃の有無を判断し,攻撃を検知した場合はDDoS攻撃の宛先IPアドレスを取得する。

DDoS検知サーバは,検知したDDoS攻撃の宛先IPアドレスへのホスト経路を生成しRTBH方式の対象であることを示すBGPコミュニティ属性を付与して各BGPルータに経路広告する。RTBH方式の対象であることを示すBGPコミュニティ属性が付いたホスト経路を受け取った各BGPルータは,そのホスト経路のネクストホップを廃棄用インタフェース宛てに設定することで,DDoS攻撃の宛先IPアドレス宛ての通信を廃棄する。

DDoS遮断システムの今後の開発予定をE社技術担当者に確認したところ,RFC 8955で定義されるBGP Flowspecを用いる対策(以下,BGP Flowspec方式)をE社が提供する予定であることが分かった。

BGP Flowspec方式では,DDoS検知サーバからのiBGPピアリングで,DDoS攻撃の宛先IPアドレスだけではなく,DDoS攻撃の送信元IPアドレス,宛先ポート番号などを組み合わせてBGPルータに広告して該当の通信をフィルタリングすることができる。
Xさんは,BGP Flowspec方式の方が有用であると考え,E社技術担当者に早期提供をするよう依頼した。

Xさんは,E社CDNとDDoS遮断システムを導入する計画を立て,計画はD社内で承認された。

設問と解答・解説

設問1

〔現状の配信方式〕について答えよ。

(1)

本文中の下線①について,HTTPではなくICMP Echoで死活確認を行った場合どのような問題があるか。50字以内で答えよ。

模範解答

ICMP Echoに応答するがHTTPサーバのプロセスが停止している状態を検知できない。

採点基準(配点 4点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: HTTPサーバプロセスの停止など、アプリケーションレベルの障害を検知できない事実が正確に記述されている。
  • 1: 検知できないという内容は含まれているが、対象がHTTPサーバのプロセスであることの記述が不十分である。
  • 0: 内容が不適切、または無記載である。

論理性(構造)(2点)

  • 2: ICMP Echoは応答するがHTTPサービスは提供できない状態が生じる論理が、矛盾なく簡潔に説明できている。
  • 1: 論理構成にやや飛躍が見られるが、大意は伝わる。
  • 0: 論理が破綻している、または無記載である。

解説

HTTPとICMPでは監視対象のレイヤが異なります。ICMP Echo(Ping)はネットワーク層の到達性を確認するものであり、サーバのOSが稼働していれば応答を返します。しかし、アプリケーション層であるHTTPサーバプロセスが停止している場合は、Webサービスを提供できない状態であるにもかかわらず、死活監視では「正常(応答あり)」と判定されてしまいます。

高得点のポイント

  • ICMPとHTTPのプロトコルの違いによる監視精度の差に触れていること
  • HTTPサーバプロセス(アプリケーション)の停止が検知できないという事実を明記していること

(2)

本文中の に入れる適切な字句を,本文中から選んで答えよ。

模範解答

最少接続数

採点基準(配点 6点)

正確性(内容)(6点)

  • 6: 本文中から「最少接続数」と正確に抜き出されている。
  • 3: 該当箇所の抜き出しに軽微な誤りがあるが、意味は通じている。
  • 0: 誤った字句を抜き出している、または無記載である。

解説

ロードバランサ(LB)が複数のサーバにリクエストを振り分けるアルゴリズムに関する問題です。サーバの現在の負荷状況(アクティブなセッション数など)を考慮し、最も接続数が少ないサーバに新たなリクエストを割り当てる方式は「最少接続数(Least Connections)」方式と呼ばれます。

高得点のポイント

  • 本文中の文脈から、負荷分散アルゴリズムの名称として適切なものを正確に抜き出していること。

(3)

また,本文中の に入れる適切なセグメントを,表1中から選んで答えよ。

模範解答

172.22.1.0/24

採点基準(配点 6点)

正確性(内容)(6点)

  • 6: 表1から「172.22.1.0/24」と正確に選んで解答している。
  • 3: セグメントの選択は正しいが、書式に軽微な誤りがある。
  • 0: 誤ったセグメントを選択している、または無記載である。

解説

ロードバランサが配置されているセグメント、もしくは振り分け先のWebサーバが存在するセグメントを構成図や表から特定します。表1のIPアドレス体系と用途の対応関係から、該当する用途のセグメントである 172.22.1.0/24 が導かれます。

高得点のポイント

  • 表1の各セグメントの用途と構成図上のネットワーク位置を照らし合わせて正確に特定していること。

(4)

HTTPSに必要なサーバ証明書はどの装置にインストールされているか。必ず入っていなければならない装置を一つだけ選び,図1中の字句で答えよ。

模範解答

LB

採点基準(配点 6点)

正確性(内容)(6点)

  • 6: 図1中から「LB」と正確に抜き出されている。
  • 3: 該当装置を指しているが、図1中の正確な字句になっていない。
  • 0: 誤った装置を選択している、または無記載である。

解説

HTTPSの暗号化通信を終端(SSL/TLSオフロード)する装置を問う問題です。ロードバランサ(LB)でHTTPS通信を復号してからバックエンドのWebサーバへHTTPで通信する構成が多く用いられます。この場合、HTTPSに必要なサーバ証明書と秘密鍵は LB にインストールされていなければなりません。

高得点のポイント

  • 図1中の装置から、SSL/TLS終端処理を行う適切な装置を選択できていること。

設問2

〔配信方式の見直し〕について答えよ。

(1)

本文中の に入れる適切な字句を,“大きい”,“小さい”のいずれかから選んで答えよ。

  1. 大きい
  2. 小さい

模範解答

選択肢ア: 大きい

配点 3

解説

BGPにおける経路選択の優先順位を制御する属性(Local Preference等)の動作についての問題です。BGPの経路選択アルゴリズムでは、Local Preference属性の値が 大きい 経路が優先して選択されます。

各選択肢の解説

  • ア (大きい): Local Preference属性の場合、値が大きい方が優先度が高いため正解です。
  • イ (小さい): AS Path長やMED属性などは値が小さい方が優先されるため、属性の種類に注意が必要です。

(2)

本文中の に入れる適切な字句を,“大きい”,“小さい”のいずれかから選んで答えよ。

  1. 大きい
  2. 小さい

模範解答

選択肢イ: 小さい

配点 3

解説

BGP経路選択における別の属性(MEDやAS Path長など)の評価基準についての問題です。MED(Multi-Exit Discriminator)属性やAS Path長は、値が 小さい 経路が優先されます。

各選択肢の解説

  • ア (大きい): Local Preferenceに関する説明として適切ですが、ここでは誤りです。
  • イ (小さい): MEDやAS Path長に関する説明として適切であり正解です。

(3)

本文中の下線②について,図2でAS-E東京POPにAS-GからのHTTPSリクエストのパケットが届く場合,E社トラフィックはどちらの経路から配信されるか。途中通過する場所を,図2中の字句で答えよ。ここで,AS Path長以外は経路選択に影響せず,途中に無効な経路や経路フィルタリングはないものとする。

模範解答

IX

採点基準(配点 6点)

正確性(内容)(6点)

  • 6: 図2中から「IX」と正確に抜き出されている。
  • 3: 経路の選択は正しいが、図2中の正確な字句になっていない。
  • 0: 誤った経路を選択している、または無記載である。

解説

BGPの経路選択アルゴリズムに基づいて、AS-E東京POPに届くトラフィックがどの経路を通過するかを判定します。BGPではトラフィックの向きと経路情報の広報方向が逆になることに注意が必要です。図2の構成とAS Path長などの条件から、最適な経路としてインターネットエクスチェンジ(IX)を経由する経路が選択されます。

高得点のポイント

  • トラフィックの方向(上り/下り)とBGP経路広報の方向が逆であることを理解していること。
  • 図2中の経路図から、条件に合致する経由地を正しく抜き出していること。

(4)

本文中の下線③の設定をすることで何を防いでいるか。“BGP”という字句を用いて10字以内で答えよ。

模範解答

不正なBGP接続

採点基準(配点 4点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: BGPセッションの確立における不正な接続やピアリングを防ぐ旨が正確に記述されている。
  • 1: 接続を防ぐという内容は含まれているが、表現が不十分である。
  • 0: 内容が不適切、または無記載である。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 指定された字句を用いて、短い文字数制限内で要点が簡潔にまとまっている。
  • 1: 意味は通じるが、表現がやや冗長または不自然である。
  • 0: 論理が破綻している、または無記載である。

解説

BGPルータ間でピアリングを確立する際、MD5などの認証機能やアクセスリスト(ACL)を用いることで、意図しない第三者からのBGPセッション確立要求を拒否できます。これにより、不正なBGP接続 を防ぐことが可能となります。

高得点のポイント

  • BGP」という指定字句を使用していること
  • ピアリングの保護(不正な接続の防止)を目的としていることが示されていること

(5)

本文中の下線④について,フィルタリングせずに不正な経路を受け取った場合に,コンテンツ配信に与える悪影響を“不正な経路”という字句を用いて40字以内で答えよ。

模範解答

不正な経路に含まれるアドレスブロックへのコンテンツ配信ができなくなる。

採点基準(配点 4点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: 対象のアドレスブロックへのコンテンツ配信が不可となる(通信障害となる)悪影響が正確に記述されている。
  • 1: 悪影響について触れられているが、コンテンツ配信が停止する等の具体的な影響の記述が不十分である。
  • 0: 内容が不適切、または無記載である。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 不正な経路を受け取った結果として配信停止に至る因果関係が明確に記述されている。
  • 1: 因果関係の表現がやや不明確であるが、大意は伝わる。
  • 0: 論理が破綻している、または無記載である。

解説

フィルタリングを行わずに誤った経路(経路ハイジャック等)を受け入れてしまうと、本来の宛先とは異なる不正なASへトラフィックが向かってしまいます。その結果、正規のサーバへ通信が届かず、不正な経路 に含まれるIPアドレスブロックに対するコンテンツ配信が停止する悪影響が生じます。

高得点のポイント

  • 不正な経路」という指定字句を使用していること
  • トラフィックが吸い込まれることで、コンテンツ配信ができなくなる(通信障害が生じる) ことが説明できていること

設問2では,(1)の正答率がやや低く,(4)の正答率が低かった。(1)では,BGPの基本を正しく理解していないと思われる解答が多かった。出題した属性は,BGPの中でも重要なものなので,理解を深めておいてほしい。(4)では,トラフィックの向きを逆方向に考えた誤答が多かった。BGPで受け取った経路がどのトラフィックに影響するか正しく理解し,正答を導き出してほしい。また,BGP運用に必要なIRR(Internet Routing Registry)や経路ハイジャック対策についての知識を是非身につけておいてほしい。

設問3

〔配信拠点の保護〕について答えよ。

(1)

図3において,インターネットからBGPルータ1を経由してLB11にHTTPS Flood攻撃があったとき,FW1でフィルタリングする方式と比較したRTBH方式の長所は何か。30字以内で答えよ。

模範解答

攻撃パケットを攻撃元に近いところで遮断できる。

採点基準(配点 4点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: 攻撃パケットを攻撃元に近い場所(上流のインターネット側)で遮断できる点が正確に記述されている。
  • 1: パケットを遮断できることには触れているが、遮断する位置(攻撃元に近い)の記述がない。
  • 0: 内容が不適切、または無記載である。

論理性(構造)(2点)

  • 2: FWでのフィルタリングと比較した際の利点が論理的に明確に説明されている。
  • 1: 比較の観点がやや弱いが、利点としては成立している。
  • 0: 論理が破綻している、または無記載である。

解説

RTBH(Remotely Triggered Black Hole)方式は、BGPを通じて攻撃対象のIPアドレス宛の経路情報を「Null(破棄)」として上流のルータ(ISPなど)へ広報することで、自ネットワークの入口(FW1など)に到達する前にパケットを破棄する手法です。これにより、攻撃パケットをインターネット側(攻撃元に近いところ)で遮断し、自社回線の帯域枯渇を防ぐことができます。

高得点のポイント

  • FWではなく、より上流(攻撃元に近い場所) で遮断するという位置の違いに言及していること
  • BGPを利用した防御の利点(回線帯域の保護)を理解し表現できていること

(2)

本文中の下線⑤について,RTBH方式と比較したBGP Flowspec方式の長所は何か。30字以内で答えよ。

模範解答

より細かい条件で選別して破棄することができる。

採点基準(配点 4点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: より細かい条件でパケットを選別し、破棄できるという利点が正確に記述されている。
  • 1: パケットを選別して破棄できることには触れているが、「より細かい条件で」といった対比の要素が不足している。
  • 0: 内容が不適切、または無記載である。

論理性(構造)(2点)

  • 2: RTBH方式(宛先のみでの破棄)との対比が明確であり、Flowspecの優位性が論理的に伝わる。
  • 1: 対比の表現がやや不明確であるが、大意は伝わる。
  • 0: 論理が破綻している、または無記載である。

解説

RTBH方式は宛先IPアドレスのみを基準にすべて破棄するため、正規の通信まで遮断(ブラックホール化)してしまいます。一方、BGP Flowspec方式では、送信元IPアドレス、ポート番号、プロトコルなど、より細かい条件(フローベース) でトラフィックを選別し、攻撃パケットのみを破棄することが可能です。

高得点のポイント

  • RTBH(宛先IPベース)と比較して、フィルタリングの条件が細かい(粒度が細かい) ことを明記していること
  • 攻撃トラフィックのみを選別して破棄できるという利点が示されていること