令和6年度 春期 システムアーキテクト試験 午後I 問1 企業合併に伴うシステム統合の設計
この問題は2024(R6)春 システムアーキテクト 午後Iに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
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学習ガイド
食品メーカーの合併に伴うシステム統合を題材にしたシステムアーキテクト午後Ⅰの問題です。製造指示を後工程から順に作成する理由のような業務理解を試す設問から、ファイルへの主キー追加やフラグ設定規則といった設計判断、稼働後の業務改善効果まで幅広く問われます。この記事では、A社システムとB社要件の差分を最初に整理し、それぞれの設計変更がどの差分を埋めるものかを対応付けて解説します。
この記事で押さえる論点
- 製造業務の流れ(調合〜充填)とデータ作成順序の関係を読み解く
- ファイル構造への主キー追加など統合方針の設計判断を説明する
- 合併相手の要件を既存システムへ取り込む際の業務変更点を特定する
出題情報
- 出題
- 2024(R6)春 システムアーキテクト 午後I 問1
- 配点
- 50点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
情報システムの構築において,システムアーキテクトは,既存システムの再利用や,他のシステムとの連携,及び社外の組織に関連する制約条件を正しく理解した上で,システムの設計を行う必要がある。本問では,企業合併に伴うシステムの統合を題材として,要件を正しく理解した上で,システム化の方針やシステムの再利用範囲を立案し,業務プロセスの変更,関連する機能やファイル構造,及び連携する他システムを含めて整合性のとれた情報システムの設計を行う能力を問う。
問1では,食品メーカーの合併に伴うシステムの統合を題材に,システム機能設計,ファイル設計,及び業務プロセスの変更点について出題した。全体として正答率は平均的であった。
問題本文
システムの統合に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。
A社は,加工食品の製造・販売を行うメーカーである。このたび,乳飲料の製造・販売を行うB社を吸収合併することになった。合併後も両社はそれぞれの工場で従来どおり製造を継続するが,業務効率化のため,システムは一つに統合することにした。
〔A社とB社の品目と工程の概要〕
両社は,仕入先から調達を行う原材料,中間工程で製造される仕掛品,最終工程で製造されて得意先へ販売する製品の三つを取り扱っている。原材料,仕掛品,製品のそれぞれに属する品物を品目と呼ぶ。両社の製造工程は,仕込,調合,殺菌,充填の四つの工程から成り立ち,各工程では一つ以上の原材料又は仕掛品を投入し加工して,一つの仕掛品又は製品を製造する。一つの仕掛品又は製品は,一つの工程で製造される。製造の流れを図1に示す。

図の説明テキスト
製造の流れを示す図。工程は「(仕込)」「(調合)」「(殺菌)」「(充填)」の4段階に分かれている。
- (仕込)工程: 原材料Aと原材料Bを工程101に投入し仕掛品aを製造する。原材料Dと原材料Eを工程102に投入し仕掛品dを製造する。
- (調合)工程: 原材料Cと仕掛品aを工程201に投入し仕掛品bを製造する。仕掛品mと仕掛品dを工程202に投入し仕掛品eを製造する。
- (殺菌)工程: 仕掛品bを工程301に投入し仕掛品cを製造する。仕掛品eを工程302に投入し仕掛品fを製造する。
- (充填)工程: 仕掛品cを工程401に投入し製品1を製造する。仕掛品nと仕掛品fを工程402に投入し製品2を製造する。
図の各要素は矢印で接続されており、一部の工程間(工程102の下、工程202の下、工程302の下、工程402の下)には省略を示す点線が記載されている。
A社は,製品を見込生産しており,製品の製造に数日を要する。製品は数か月間保管が可能であることから,在庫管理を行っている。原材料も在庫管理を行うが,仕掛品は品目によって在庫管理を行うものと行わないものがある。
B社は,製品を受注生産しており,前日に受注した製品を全て当日に製造する。製品は製造後,直ちに出荷されるので在庫管理を行わない。また,仕掛品も製造後,直ちに次の工程に投入されるので在庫管理を行わない。原材料は表計算ソフトを用いて在庫管理を行っている。
〔A社の業務の概要〕
販売戦略部が策定した製品の販売計画を基に,数か月先までの製品の生産計画を,日別品目単位に立案する。その後,販売実績を加味して,製造日の2週間前に,生産計画を確定する。
A社では,販売戦略上,製品を生産計画で定めた期日までに効率的に製造することが求められている。翌々週の生産計画に基づいて,充填,殺菌,調合,仕込の順番で各工程の所要時間を計算し,製品及び仕掛品の製造指示,並びに仕掛品及び原材料の投入指示を,工程単位に作成する。各工程の製造指示は,期日に合わせて製造するためには遅くともいつから当該工程の製造を開始しなければいけないかを考えて,開始予定日時を決定した上で作成する。各工程の投入指示は,製造指示数を基に,必要となる原材料や仕掛品の数を計算して作成する。
各工程の想定所要時間は,製造する数に比例する場合と,数によらないで一定の時間を要する場合がある。数に比例する工程は単位当たり所要時間,一定の時間を要する工程は固定の所要時間が,製造される品目ごとに決まっている。
また,原材料について,投入指示数と現在の在庫数に基づいて仕入先から調達する数を決定し,納品日別品目単位の発注数を仕入先に送信する。
製造指示と投入指示に基づいて製造設備に原材料や仕掛品の投入を行い,仕掛品又は製品を製造する。一つの品目は,1日に1回まとめて製造する。
各工程の終了後すぐに,製造担当者が製造実績及び投入実績を登録する。
得意先からの受注に基づき製品を出荷する。製品の製造実績,出荷実績を基に製品の在庫管理を行う。
〔A社のシステムの概要〕
A社のシステムは,計画システム,生産管理システム,販売管理システム,及びマスター管理システムで構成されている。
(1) 計画システムでは生産計画を管理する。販売戦略部が策定した製品の販売計画を取り込む。販売管理システムから販売実績データ及び製品の在庫数を取得し,製品の生産数を決定して生産計画データを作成する。
(2) 生産管理システムでは,計画システムから翌々週の製品の生産計画データを取得する。製品の生産数を基に,各工程の所要時間を計算して,製品及び仕掛品の工程単位の製造データを作成し,その製造データを基に,所要量マスターを使って投入品目ごとに投入指示数を決定し,投入データを作成する。全てのデータが出そろったら,製造日時などの重なりを調整して製造データ及び投入データの修正を行う。
全ての投入データ作成後に,集計した投入指示数を原材料の在庫数から減算した結果が,別途定められた最低在庫数を下回る場合は,仕入先から調達する。仕入先へは,1日に1回,A社で定めた様式の発注書を添付して,電子メールで送信する。
各工程の製造が終了した時点で,製造担当者がタブレット端末を用いて,製造データ,投入データの実績を登録する。これらの実績を用いて,原材料及び在庫管理が必要な仕掛品について,在庫データを更新する。
製品の製造工程に関する製造データを,販売管理システムに送信する。また,夜間に工場の稼働率などの管理指標を集計し,翌日に本社から参照可能にする。
(3) 販売管理システムでは,製品の受注,出荷,在庫管理を行う。出荷データ,生産管理システムから受信した製品の製造工程に関する製造データで製品の在庫データを更新する。また,販売実績データ及び製品の在庫数を計画システムに送信する。
(4) マスター管理システムでは,品目マスターや工程マスターなどに設定が必要なデータを入力し,各システムに送信する。
A社の生産管理システムの主要なファイルと主な属性を表1に示す。

図の説明テキスト
| ファイル名 | 主な属性(下線は主キーを示す) |
|---|---|
| 生産計画 | 工場コード, 製造終了年月日, 製造品目コード, 生産数 |
| 製造 | 工場コード, 製造開始予定年月日, 工程コード, 製造指示数, 想定所要時間, 開始予定日時, 終了予定日時, 製造実績数, 開始実績日時, 終了実績日時 |
| 投入 | 工場コード, 製造開始予定年月日, 工程コード, 投入品目コード, 開始予定日時, 投入指示数, 投入実績数 |
| 在庫 | 工場コード, 品目コード, 在庫数, 在庫更新日時 |
| 品目マスター | 品目コード, 品目分類(“原材料”, “仕掛品”, “製品”), 品目名称, 単位, 保管可能日数, 在庫管理有無フラグ(“有”, “無”) |
| 所要量マスター | 製造品目コード, 投入品目コード, 投入数 |
| 工程マスター | 工場コード, 工程コード, 製造品目コード, 工程名称, 時間計算区分(“比例”, “一定”), 所要時間 |
品目マスターでは,原材料,仕掛品,製品を区分するために,品目分類を設定して管理している。各品目は,その特性に応じてキログラム,リットル,個といった単位で管理されており,生産数,製造指示数などはその単位で数えた数である。また,品目によっては在庫管理を行わないものがあるので,在庫管理有無フラグを設定して管理している。工程マスターでは,各工場で,全ての工程に,製造品目コード及び工程が一意に決まる工程コードを付与して管理している。
〔B社の業務の概要〕
得意先からの受注に基づき,翌日の製品の生産予定数と翌日の製造の開始予定時刻及び終了予定時刻を,品目単位に立案する。一つの製品を,1日に複数回製造する場合がある。
翌日の生産予定に基づいた各工程の製造指示を作成する。また各工程で必要となる原材料や仕掛品の数を計算し,投入指示を作成する。
作成した投入指示を基に,必要な原材料と数を,表計算ソフトを用いて集計する。集計した投入指示数を原材料の在庫数から減算した結果が,別途定められた最低在庫数を下回る場合は,仕入先から調達を行うことにし,発注書を添付して電子メールで送信する。発注書の様式は,各仕入先の要望に応じて表計算ソフトを用いて作成しており,複数の様式が存在する。
製造指示に基づき仕掛品又は製品を製造し,製品は,製造後に得意先に出荷される。
製造担当者が,製造現場で製造実績と投入実績を手書きで記録表に記入する。月次処理で,製造実績と投入実績の集計表を出力するために,月末に記録表を参照し,まとめて生産管理システムに入力しているが,転記ミスの発生が問題視されている。また,製造担当者の月末の入力作業の負荷が高いこと,及び本社管理部門で管理指標値が翌月にならないと確認できないことが問題となっている。
〔B社のシステムの概要〕
B社のシステムは,受注出荷システムと生産管理システムで構成されている。
(1) 受注出荷システムでは,得意先から EDIを用いて受注データを受信し,得意先ごとの受注データの仕様に合わせたデータ交換プログラムが稼働している。
受注データは,受注出荷システムに蓄積されるとともに,生産管理システムに送信される。受注出荷システムでは受注修正,出荷実績登録,及びマスターデータの入力を行っている。
(2) 生産管理システムでは,製造指示・投入指示作成,原材料調達及び製造実績・投入実績入力並びにマスターデータの入力を行っている。また,製造実績や投入実績を製造の翌月に集計し,本社管理部門に帳票として提供している。
〔システム統合の方針〕
- B社のシステムは廃止し,A社のシステムに一本化する。
- B社はできるだけ,A社のシステムをそのまま用いる。製品の製造については現行どおりとするが,業務の運用もできるだけA社の運用に合わせる。どうしても対応できない部分に対してだけ,改修や追加を行う。
- B社のマスターは全てA社のマスターに移行する。B社のコードをA社のコードに読み替えるが,A社で使われていないコードは,新たにコードの割当てを行う。品目マスターの移行では,①B社になかった在庫管理有無フラグには,ある規則に従って値を設定する。
- B社の製品が現行どおりに製造できるよう,②ある属性を表1中の二つのファイルの主キーに追加する。
- A社の販売管理システムにはEDIの機能がないので,得意先ごとの受注データの仕様に合わせたデータ交換については,B社のEDIの機能に必要な修正を加えた上で,統合後の販売管理システムに取り込む。
- 統合後の生産管理システムに,B社の得意先からの受注データを基に,翌日の製造データ及び投入データを作成する機能を追加する。
- B社の原材料調達業務を実施するに当たり,仕入先に変更点を説明して,仕入先に業務手続を変更してもらうよう依頼する。
〔システム稼働後の評価〕
統合したシステムの稼働後,合併前にB社で行っていた業務がどのように変わったかを評価し,効果を次のようにまとめた。
- 記録表からの転記ミスがなくなり,正確な数字が把握できるようになった。
- ③ある作業が削減されたことで,製造担当者の作業の負荷が平準化された。
- 本社管理部門における業務の改善が実現できた。
設問と解答・解説
設問1
A社の製造データの作成について答えよ。
(1)
製造指示及び投入指示を作成する際,充填,殺菌,調合,仕込の順番で作成している理由は二つある。その一つは,後工程で算出された仕掛品の投入指示数に基づいてその仕掛品の製造指示数を決めるからである。もう一つの理由を40字以内で答えよ。
模範解答
製品を期日までに製造するために逆算して各工程の製造開始日時を決めるから
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: 製品を期日までに製造するという目的と、それに基づいて逆算して日時を決めることが明確に理解されている。
- 1点: 逆算することへの言及はあるが、目的(期日まで)が不明確である。
- 0点: 逆算する理由への言及がなく、理解が不十分である。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 各工程の製造開始日時を決めるための論理的なプロセス(逆算)が矛盾なく構成されている。
- 1点: プロセスの記述がやや不十分だが、文意は伝わる。
- 0点: 論理構成が不明確である。
解説
製造指示及び投入指示を後工程から先に作成している理由について問う問題です。
納期(期日)から逆算して各工程の製造開始日時を決定するため、後工程からスケジュールを確定していく必要があります。講評にある通り、単に問題文を切り取るのではなく「なぜ後工程から算出するか」の理由(期日からの逆算)を明確に記述することが求められます。
高得点のポイント
- 製品を期日までに製造するためという目的が明記されていること
- 逆算して各工程の製造開始日時を決めるという論理プロセスが矛盾なく構成されていること
(2)
製造データを作成する際,各工程の想定所要時間はどのように求めるか。時間計算区分が“比例”の場合について,表1中の属性と,必要に応じて四則演算子を用いて答えよ。
模範解答
所要時間×製造指示数
採点基準(配点 6点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: 時間計算区分が“比例”の場合に必要な属性(「所要時間」「製造指示数」)が正しく選択されている。
- 2点: 必要な属性は選択されているが、関係性が一部不明確である。
- 1点: 一部の属性のみが選択されている。
- 0点: 必要な属性が選択されていない。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 四則演算子を用いて正しい関係式(積)として構成されている。
- 2点: 式として構成されているが、演算子の使い方がやや不適切である。
- 1点: 演算子が欠落しているなど、式の構造に大きな問題がある。
- 0点: 正しい関係式として構成されていない。
解説
各工程の想定所要時間を求める際、時間計算区分が「比例」の場合の計算式を問う問題です。
「比例」の場合、想定所要時間は1単位あたりの所要時間と指示数の積で表されます。したがって、表1中の属性「所要時間」と「製造指示数」を使用し、乗算によって算出します。
高得点のポイント
- 必要な属性として「所要時間」と「製造指示数」が正しく選択されていること
- 四則演算子( または など)を用いて正しい関係式として構成されていること
(3)
製造データを作成する際,各工程の想定所要時間はどのように求めるか。時間計算区分が“一定”の場合について,表1中の属性と,必要に応じて四則演算子を用いて答えよ。
模範解答
所要時間
採点基準(配点 6点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: 時間計算区分が“一定”の場合に必要な属性(「所要時間」)が正しく選択されている。
- 0点: 必要な属性が正しく選択されていない。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 製造指示数に依存せず「所要時間」のみとなる論理が適切に表現されている。
- 0点: 不必要な演算や属性が含まれており、論理として破綻している。
解説
時間計算区分が「一定」の場合の想定所要時間の計算式を問う問題です。
「一定」の場合は、製造指示数に関わらず固定の時間となるため、属性「所要時間」がそのまま答えとなります。
高得点のポイント
- 必要な属性として「所要時間」が正しく選択されていること
- 製造指示数に依存せず「所要時間」のみとなる論理が適切に表現されていること
設問1(1)は正答率が低かった。製造指示及び投入指示を作成する際,充填,殺菌,調合,仕込の順番で作成している理由を問う問題であったが,単純に問題文の一部を切り取っただけで,後工程から先に作成している理由が不明確な解答が多かった。
設問2
〔システム統合の方針〕について答えよ。
(1)
本文中の下線①で在庫管理有無フラグの値を設定する規則を,30字以内で答えよ。
模範解答
製品と仕掛品は“無”,原材料は“有”に設定する。
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: 製品・仕掛品と原材料で在庫管理の有無が異なることが正しく理解され、双方の設定が網羅されている。
- 1点: いずれか一方の設定(“有”または“無”)のみが記述されている。
- 0点: 設定規則が誤っているか、記述されていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: “有”と“無”の条件が対比的に論理的かつ明確に記述されている。
- 1点: 条件の記述はあるが、表現が曖昧で読み取りづらい。
- 0点: 記述が破綻しており設定条件が読み取れない。
解説
在庫管理有無フラグの値を設定する規則について問う問題です。
講評にある通り、「有」「無」の両方の設定条件を記述する必要があります。製品・仕掛品と原材料で在庫管理の有無が異なることを正しく理解し、対比的に記述しましょう。
高得点のポイント
- 製品と仕掛品が「無」、原材料が「有」に設定されることが正しく理解されていること
- 双方の条件が対比的に論理的かつ明確に記述されていること
(2)
本文中の下線②で主キーを追加するファイルの一つを答えよ。
模範解答
製造
採点基準(配点 6点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: 主キーを追加するファイルとして「製造」ファイルが正しく特定されている。
- 0点: 誤ったファイルが記述されている、または記述がない。
論理性(構造)(3点)
- 3点: システム統合方針との整合性を満たした回答形式となっている。
- 0点: 回答形式が不適切である。
解説
B社の要件に伴い主キーを追加する必要があるファイルの一つを答える問題です。
1日に複数回製造を行う場合、1日1回の製造を前提とした既存の主キー設定では一意性を担保できなくなるため、該当するトランザクションファイルにキーを追加する必要があります。
高得点のポイント
- 主キー追加の対象として「製造」ファイルを特定できていること
(3)
本文中の下線②で主キーを追加するファイルのもう一つを答えよ。
模範解答
投入
採点基準(配点 6点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: 主キーを追加するもう一つのファイルとして「投入」ファイルが正しく特定されている。
- 0点: 誤ったファイルが記述されている、または記述がない。
論理性(構造)(3点)
- 3点: システム統合方針との整合性を満たした回答形式となっている。
- 0点: 回答形式が不適切である。
解説
B社の要件に伴い主キーを追加する必要があるもう一つのファイルを答える問題です。
製造ファイルと同様に、1日に複数回製造を行うことで投入実績も複数回発生するため、「投入」ファイルにも主キーの追加が必要となります。
高得点のポイント
- 主キー追加の対象として「投入」ファイルを特定できていること
(4)
本文中の下線②に関して、追加が必要になったB社の要件を,30字以内で答えよ。
模範解答
一つの製品を1日に複数回製造する場合があるという要件
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: 一つの製品を1日に複数回製造するという要件が正しく理解されている。
- 1点: 複数回製造することへの言及はあるが、対象や条件が不明確である。
- 0点: 要件が正しく理解されていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 主キー追加の理由となる要件として論理的に表現されている。
- 1点: 表現にやや不自然な点があるが、文意は伝わる。
- 0点: 論理構成が破綻している。
解説
主キーの追加が必要となった背景であるB社の要件を問う問題です。
主キーの追加は、既存システムの前提(1日1回)を逸脱する運用への対応として発生します。B社では1日に同一製品を複数回製造するため、日付だけではレコードを一意に特定できなくなります。
高得点のポイント
- 一つの製品を1日に複数回製造する場合があるという要件が正しく抽出・理解されていること
- 制約条件としての要件が論理的に表現されていること
(5)
B社が,合併後に統合後のシステムを利用して原材料調達業務を実施するに当たり,仕入先に依頼する業務手続上の変更点は何か。25字以内で答えよ。
模範解答
発注書の様式をA社で定めた様式に変更すること
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: 発注書の様式がA社で定めた様式に変更されることが正しく把握されている。
- 1点: 様式変更への言及はあるが、どちらの様式になるかなど詳細が不足している。
- 0点: 変更点が正しく把握されていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 業務手続上の変更点として端的にまとめられている。
- 1点: 変更点の記述としてはやや冗長・不明瞭だが意図は伝わる。
- 0点: 文脈として不適切な構造である。
解説
合併後のシステム統合に伴う、仕入先への業務手続上の変更点を問う問題です。
A社のシステムに統合されることで、B社が使用していた発注書の様式がA社様式に変更されることが該当します。外部組織に関連する制約の理解が求められます。
高得点のポイント
- 発注書の様式がA社で定めた様式に変更されることが記述されていること
- 業務上の具体的な変更内容が端的にまとめられていること
設問2(1)は正答率がやや低かった。属性の値として“有”,“無”がどのような場合に設定されるかを問う問題であったが,“有”,“無”の一方だけを記述した解答が散見された。システムの仕様を記述する際,何を書けば正しく伝わるかを意識してほしい。
設問3
〔システム稼働後の評価〕について答えよ。
(1)
本文中の下線③のある作業とは何か。40字以内で答えよ。
模範解答
製造担当者が月末に記録表を参照し,まとめて生産管理システムに入力する作業
採点基準(配点 5点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: 製造担当者が月末に記録表を参照し、まとめてシステムに入力する作業であることが網羅的に記述されている。
- 2点: 入力作業であることは記述されているが、月末やまとめて入力する等の制約条件の記述が不足している。
- 1点: 部分的な事実(記録表の参照など)のみが記述されている。
- 0点: 対象となる作業が特定できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 作業内容が一連の流れとして論理的かつ適切に構成されている。
- 1点: 構造にやや不自然な点があるが、文意は伝わる。
- 0点: 作業の記述として破綻している。
解説
システム統合によって解消された「ある作業」の内容を問う問題です。
B社では、製造担当者が月末に手書きの記録表を見ながらまとめてシステムに入力する運用を行っていました。これが統合による業務プロセスの変更で解消される対象作業となります。
高得点のポイント
- 製造担当者が月末に記録表を参照していることが含まれていること
- まとめて生産管理システムに入力する作業であることが記述されていること
(2)
本社管理部門の業務はどのように改善されたか。その内容を30字以内で答えよ。
模範解答
前日までの実績を反映した管理指標値が参照可能になった。
採点基準(配点 5点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: 前日までの実績を反映した管理指標値が参照可能になったことが正しく理解されている。
- 2点: 参照可能になったことは記載されているが、「前日までの実績」等に関する正確性がやや欠ける。
- 1点: リアルタイムに反映されるなど、業務理解に誤りがあるが改善への言及はある。
- 0点: 改善内容が正しく理解されていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 業務の改善内容として、結果が端的にわかりやすく表現されている。
- 1点: 表現にやや不自然な点があるが、文意は伝わる。
- 0点: 文章として破綻している。
解説
システム稼働後の評価として、本社管理部門の業務がどう改善されたかを問う問題です。
講評にある通り、「リアルタイム」に反映されるわけではなく、夜間に集計処理が実行されることで「前日までの実績」が翌日には参照可能になった点を正確に記述する必要があります。
高得点のポイント
- 前日までの実績が反映されるという時間的制約が正しく理解されていること
- 管理指標値が参照可能になったという改善結果が明記されていること
設問3(2)の正答率は平均的であった。B社が問題としていた“本社管理部門で管理指標値が翌月にならないと確認できないこと”が,システム統合によって“夜間に管理指標値を集計し,翌日に本社から参照可能になること”を答えてほしかったが,リアルタイムに反映されると誤解した解答が散見された。業務を正しく理解した上で情報システムを設計することの重要性を理解してほしい。