令和6年度 秋期 情報処理安全確保支援士試験 午後 問4 Webサイトのセキュリティ診断と報告書作成
テクノロジセキュリティ技術
この問題は2024(R6)秋 情報処理安全確保支援士 午後に出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
本ページの問題文・選択肢は、原本の体裁を Web 表示用に正規化しています(改行・記号・数式・図表参照の調整)。設問の趣旨および正解に影響する変更は加えていません。
学習ガイド
個人情報を扱うWebサイトへのセキュリティ診断を題材に、診断報告書を完成させる形式の問題です。画面遷移図とWebAPI仕様を読み込み、検出された脆弱性が悪用された場合の攻撃手順や被害、そして改善策の効果までを記述します。一つ一つは軽微な脆弱性でも組み合わせれば重大な被害につながるという出題趣旨のとおり、この記事では攻撃の連鎖を組み立てる視点で各空欄の解答を検討します。
この記事で押さえる論点
- 診断ツールが検出した脆弱性の悪用シナリオを組み立てる
- 複数の軽微な脆弱性の組合せによる重大被害を想定する
- 診断報告書の改善提案を効果とセットで記述する
出題情報
- 出題
- 2024(R6)秋 情報処理安全確保支援士 午後 問4
- 配点
- 50点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
脆弱性は一つ一つが軽微でも,複数組み合わせて悪用されると,重大な被害につながることがある。また,診断ツールで検出される脆弱性以外にも,想定される攻撃に対して,セキュリティ対策が不足しているといった脆弱性もある。診断者がこういった脆弱性も報告に含めることで,その後,システムのセキュリティが大きく向上することがある。本問では,個人情報を取り扱うWebサイトに対するセキュリティ診断を題材に,診断ツールで検出された脆弱性について,悪用された場合の被害を想定する能力及び被害を低減するための対策を立案する能力を問う。
問4では,個人情報を取り扱うWebサイトに対するセキュリティ診断を題材に,診断ツールで検出された脆弱性について,悪用された場合の被害及び被害を低減するための対策について出題した。全体として正答率は平均的であった。
問題本文
セキュリティ診断に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。
B社は,セキュリティ診断サービスを提供している会社である。このたび,転職支援サービスを提供しているM社から,転職支援Webサイト(以下,Mサイトという)のセキュリティ診断を受注した。
Mサイトを利用する求職者は,氏名,自宅住所,電話番号,勤務先などの求職者属性情報と,希望職種,希望条件などの求職情報を入力する。求人企業は,会社情報,求人情報,求人担当者の氏名,所属部署などの情報を入力する。これらの情報は,Mサイトのデータベースに保存される。Mサイトでは,入力された情報に基づいて,求職者と求人企業のマッチングを行っている。求職者は,マッチングで提案された企業に問合せや応募をすることができる。
Mサイトは,機能を追加した新しいバージョンのWebアプリケーションプログラム(以下,MサイトのWebアプリケーションプログラムをWebアプリという)と,求人企業がアプリケーションプログラムからHTTPSで呼び出すことを想定したインタフェース(以下,このインタフェースをWebAPIという)の開発が完了したところであり,リリース前である。
〔セキュリティ診断の診断対象と診断方法〕
今回のセキュリティ診断の診断対象と診断方法は,図1のとおりである。

図の説明テキスト
【診断対象】
・Mサイトには本番用サイトと検証用サイトがあり,診断対象はMサイトの検証用サイトとする。検証用サイトには,開発が完了した新しいバージョンのWebアプリが導入されている。なお,本番用サイトと検証用サイトは,同一の構成である。
・検証用サイトでは,アクセス元のIPアドレスを制限している。診断に当たり,B社からも検証用サイトにアクセスできるように,検証用サイトの設定を変更する。
・検証用サイトには,テスト用疑似データが投入されている。
【診断方法】
・B社の社内にある診断用PCからインターネットを経由して診断を行う。
・Webアプリの脆弱性の検出と,Webサーバのプラットフォームの脆弱性の検出を行う。
・Webアプリの脆弱性の検出は,診断ツールと診断員の手作業で行う。
・Webサーバのプラットフォームの脆弱性の検出は,診断ツールで行う。
・診断に当たり,必要に応じてMサイトの設計書を参照する。
Mサイトの設計書の中で参照した部分を,図2,図3及び表1に示す。

図の説明テキスト
- プロトコルは,HTTPSとする。
- RESTful APIによって,次の機能を求人企業に提供する。
(1) 日時の範囲を指定して,当該企業宛てに問合せがあった求職者の求職者IDを取得する。
(2) 日時の範囲を指定して,当該企業宛てに応募があった求職者の求職者IDを取得する。
(3) 任意の求職者IDを指定して,求職者属性情報を取得する。 - 求人企業の認証方式は次のとおりとする。
(1) WebAPIを利用する際の利用者認証のために,Mサイトの利用者IDと紐付けられたAPIkeyを発行する。APIkeyの有効期間は,発行後14日間とする。
(2) WebAPIを利用する際のHTTP Request内のAPIkeyが,発行済みのものであり,かつ,有効期間内であるか確認することで,正規利用者であるかどうかを確認する。 - APIkeyについては,次のとおりとする。
(1) 求人企業のうち,WebAPIの利用契約を締結済みの企業だけにAPIkeyを発行する。利用契約で認めている求職者属性情報の利用範囲は,当該企業への問合せ又は当該企業への応募それぞれに関する対応だけである。
(2) 一つの利用者IDに対して複数のAPIkeyを発行できる。
(3) 求職者には,APIkeyを発行しない。
注1) 求職者がMサイトに利用者登録をした年月日の8桁の数字の後ろに,日ごとに000001から登録順に割り当てられる6桁の数字を加えた数字14桁の文字列である。
注2) Mサイトを利用する求職者及び求人企業の担当者ごとに発行される。

図の説明テキスト
01から13までの画面とそれらの遷移を示す状態遷移図。
凡例:PWはパスワード、メールは電子メール、封筒アイコンはメールを示す。実線矢印はクロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)対策が施されていない画面遷移、破線矢印はCSRF対策が施された画面遷移を示す。
画面と遷移の関係は以下の通り:
・01 ログイン:ログインボタンから(ア)・(イ)の経路を経て02へ遷移。PW再設定ボタンから(ウ)で(14へ)遷移。
・02 求人企業トップ:マイページボタンから(エ)で03へ遷移。
・03 求人企業マイページ:APIkey管理ボタンから(オ)で(04へ)、プロパティ変更ボタンから(カ)で(09へ)、PW変更ボタンから(キ)で(12へ)遷移。
・04 APIkey管理:APIkey確認ボタンから(ク)で05へ、APIkey発行ボタンから(ケ)で07へ遷移。
・05 PW再確認(1):APIkey確認ボタンから(コ)の破線矢印で06へ遷移。
・06 APIkey一覧:OKボタンから(サ)で(03へ)遷移。
・07 PW再確認(2):APIkey発行ボタンから(シ)の破線矢印で08へ遷移。
・08 APIkey発行:OKボタンから(ス)で(03へ)遷移。
・09 求人企業プロパティ変更:変更ボタンから(ソ)の破線矢印で11へ遷移。また封筒アイコン(あ)から(セ)の破線矢印で10へ遷移する。(セ)には「1)」、(ソ)には「2)」という注記符号が付与されている。
・10 メール送信完了(1):メール送信完了メッセージが表示される画面。
・11 求人企業プロパティ変更完了:OKボタンから(タ)で(03へ)遷移。
・12 PW変更:変更ボタンから(チ)の破線矢印で13へ遷移。
・13 PW変更完了:OKボタンから(ツ)で(03へ)遷移。

図の説明テキスト
【ノードと遷移】
- 「14 PW再設定(1)」(利用者ID入力欄、[メール送信]ボタン) から「15 メール送信完了(2)」(「メールを送信しました メール中のリンクから処理を継続してください」) へ破線矢印。矢印の上に封筒アイコンと空欄「(い)」、矢印の先端に空欄「(テ)」と注記3への参照。
- 「16 PW再設定(2)」(新PW入力欄、新PW(確認用)入力欄、[PW再設定]ボタン) から「17 PW再設定完了」(「PWを再設定しました」、[OK]ボタン) へ破線矢印。矢印の先端に空欄「(ト)」。
- 「17 PW再設定完了」の[OK]ボタンから「(01へ)」へ実線矢印。矢印の先端に空欄「(ナ)」。
【注記】 - 注記1: ログインしていない状態で、02〜13の画面にアクセスした場合、エラー画面が表示される。
- 注記2: 設問に関係しない画面、ボタン及び画面遷移は省略している。
- 注1): 画面09でメールアドレスを変更した場合の画面遷移である。画面遷移の際、Mサイトから、変更前のメールアドレスに、確認用URLが記載されたメール(あ)を送信する。利用者がメール(あ)に記載された確認用URLにアクセスすると、変更を反映し、画面11を表示するとともに、Mサイトから、変更前及び変更後のメールアドレスに、変更内容が記載されたメールを送信する。
- 注2): 画面09でメールアドレス以外だけを変更した場合の画面遷移である。
- 注3): 画面遷移の際、Mサイトから、登録しているメールアドレスに、PW再設定用URLが記載されたメール(い)を送信する。利用者がメール(い)に記載されたPW再設定用URLにアクセスすると、画面16を表示する。

図の説明テキスト
| 画面番号 | URL |
|---|---|
| 01, 02 | https://test.△△△.jp/ |
| 03 | https://test.△△△.jp/mypage |
| 04 | https://test.△△△.jp/apikey |
| 05, 06 | https://test.△△△.jp/keylist |
| 07, 08 | https://test.△△△.jp/keynew |
| 09, 10, 11 | https://test.△△△.jp/property |
| 12, 13 | https://test.△△△.jp/pwchange |
| 14, 15 | https://test.△△△.jp/pwreset |
| 16, 17 | https://test.△△△.jp/pwreset/x 1) |
注1) xは,PW再設定を行う都度生成されるランダムな英数字32字の文字列である。
〔セキュリティ診断報告書〕
B社は,セキュリティ診断を実施し,図4の診断報告書を作成した。

図の説明テキスト
診断報告書
1章 診断結果概要
1.1 診断結果要約
Mサイトで,脆弱性を検出した。
(省略)
1.2 検出した脆弱性の件数
(省略)
2章 Webアプリケーションプログラムの診断結果
2.1 検出した脆弱性の概要
検出した脆弱性は,表Aのとおりである。
表A 検出したWebアプリケーションプログラムの脆弱性の一覧
| 項番 | 重要度 | 脆弱性の種類 | 検出箇所 |
|---|---|---|---|
| 1 | (省略) | セッションフィクセーション | 画面遷移 a |
| 2 | (省略) | メールヘッダーインジェクション | メール(あ)の送信 |
| 3 | (省略) | HTTPヘッダーの不備 | 全ての画面遷移 |
2.2 検出した脆弱性の説明
2.2.1 セッションフィクセーション
(1) 脆弱性の内容
Mサイトでは form 内の hidden フィールドである sessionID の値だけでセッション管理を実施していた。しかし,表B のいずれの画面遷移においても,HTTP レスポンス中の sessionID の値が同一であった。
表B セッションフィクセーション脆弱性の確認
| 画面遷移 | HTTP レスポンス中の sessionID |
|---|---|
| Web ブラウザに直接 URL を入力して,画面 01 を表示したとき | <input type="hidden" id="sessionID" name="sessionID" value="764b2ac2-0452-49e4-92a7-0914fa005011"> |
| 画面遷移(ア) | <input type="hidden" id="sessionID" name="sessionID" value="764b2ac2-0452-49e4-92a7-0914fa005011"> |
| 画面遷移(イ) | <input type="hidden" id="sessionID" name="sessionID" value="764b2ac2-0452-49e4-92a7-0914fa005011"> |
| 画面遷移(エ) | <input type="hidden" id="sessionID" name="sessionID" value="764b2ac2-0452-49e4-92a7-0914fa005011"> |

図の説明テキスト
攻撃者が図Aの手順でこの脆弱性を悪用すると,Mサイトに不正にログインすることができる。
手順1:求人企業の登録メールアドレスを,何らかの方法で入手する。
手順2:URL“ b ”にアクセスして,sessionIDを入手する。
手順3:次の二つの要素を含むHTMLを作成する。
- 手順2で入手したsessionIDを記述したフォーム
- 当該HTMLがWebブラウザに読み込まれた直後に,上記のフォームをURL“ b ”にPOSTメソッドで送信するスクリプト
手順4:手順3で作成したHTMLを,罠サイトに置く。
手順5:手順4のHTMLへのリンクを含むメールを作成し,手順1で入手したメールアドレスに送信する。
手順6:手順5のメールがメール受信者に届き,罠サイトにアクセスするのを待つ。
手順7:罠サイトへのアクセスを検知後,cが完了することを期待して数分間待ち,手順2で入手したsessionIDを指定した状態で,URL“ b ”にアクセスする。
図A セッションフィクセーション脆弱性を悪用して不正ログインする手順
攻撃者が,セッションフィクセーション脆弱性を悪用して不正ログインに成功し,画面02で応募者確認ボタンをクリックして,当該企業の求人に応募した求職者の求職者属性情報と求職情報を閲覧できる。また,同じ画面02で問合せ確認ボタンをクリックして,当該企業に問合せを行った求職者の求職者属性情報と問合せ内容を閲覧できる。
(2) 脆弱性の修正方法
aの画面遷移の際に実行されるコードにおいて,dすることを推奨する。
2.2.2 メールヘッダーインジェクション
この脆弱性は,メール(あ)について検出された。なお,メール(い)では,この脆弱性は検出されなかった。
(1) 脆弱性の内容
図Bの手順で操作を行ったところ,メール(あ)が abc@example.com だけに送信され,本来の宛先である変更前のメールアドレスには送信されなかった。abc@example.com に送信されたメール(あ)の内容を表Cに示す。
手順1:画面09の会社名に図Cの検査文字列を入力して変更ボタンをクリックする。
手順2:画面11でOKボタンをクリックする。
手順3:画面03でプロパティ変更ボタンをクリックして,再度,画面09を表示する。
手順4:画面09でメールアドレスに xyz@example.com を入力して変更ボタンをクリックする。
図B メールヘッダーインジェクション脆弱性を検出した手順

図の説明テキスト
●●株式会社%0D%0ATo:abc@example.com%0D%0A%0D%0A
図C メールヘッダーインジェクションの検査文字列
表C メール(あ)の内容
| 位置 | 内容 |
|---|---|
| メール(あ)のヘッダー部の末尾 | Subject: ●●株式会社 To:abc@example.com |
| メール(あ)のボディ部の冒頭 | 様のメールアドレス変更のお知らせ To: <本来の宛先> 1) |
| 注 1) <本来の宛先> には,変更前のメールアドレスが入っていた。 |
攻撃者がこの脆弱性を悪用するには,求人企業としてMサイトにログインする必要がある。求人企業としての登録には審査が必要であり,この脆弱性だけを利用して攻撃が行われるおそれは小さい。
(2) 脆弱性の修正方法
(省略)
2.2.3 HTTPヘッダーの不備
(1) 脆弱性の内容
表DのHTTPヘッダーは,出力するよう推奨されているが,いずれの画面遷移のHTTPレスポンスにおいても出力されなかった。
表D 出力されなかったHTTPヘッダー
| HTTPヘッダー名 | 設定した場合の主な効果 |
|---|---|
| Content-Security-Policy | Webブラウザが実行可能なスクリプトの有効なソースとなるドメインを,Mサイトで必要なものだけに限定することができる。 |
| Strict-Transport-Security | e |
| X-Content-Type-Options | f |
これらのHTTPヘッダーを設定することで他の脆弱性による被害を軽減することができる。
(2) 脆弱性の修正方法
(省略)

図の説明テキスト
3章 プラットフォームの診断結果
3.1 検出した脆弱性の概要
検出した脆弱性は,表Eのとおりである。
表E 検出したプラットフォームの脆弱性の一覧
| 項番 | 重要度 | 脆弱性の種類 |
|---|---|---|
| 1 | (省略) | TLS 1.1 が利用可能 |
| 2 | (省略) | HTTP サーバのバージョンの露出 |
3.2 検出した脆弱性の説明
3.2.1 TLS 1.1 が利用可能
(省略)
3.2.2 HTTP サーバのバージョンの露出
HTTPレスポンスのヘッダーに,HTTPサーバのバージョンが出力されている。
(省略)
4章 総合評価
4.1 想定される攻撃と被害
攻撃者が,セッションフィクセーション脆弱性を悪用するだけでも求職者属性情報を窃取することができるが,図Dの順序で攻撃をした場合,不審なメールが求人企業に届かないので,攻撃に気付かれることなく,WebAPIを悪用して,より多くの求職者属性情報を窃取することができる。
(1) 図Aの手順で,Mサイトに不正にログインする。ただし,図Aの手順1で入手するメールアドレスは,WebAPIの利用権限をもつ求人企業のものである。
(2) g
(3) 画面09で,メールアドレスに攻撃者のメールアドレスを入力して,変更ボタンをクリックする。
(4) 別の端末から,画面01でPW再設定ボタンをクリックし,(1)で不正にログインした利用者IDに対する一連のパスワード再設定処理を行う。
(5) 再設定後のパスワードでログインする。
(6) h
(7) WebAPIの機能を利用して,多数の求職者属性情報を窃取する。
図D より多くの求職者属性情報の窃取につながる攻撃
(省略)

図の説明テキスト
5章 参考意見
本章は,弊社の知見に基づく参考意見である。
5.1 Mサイトの仕様についての意見
今回の診断の過程で,Mサイトの仕様の一部を把握することができた。弊社が把握できた範囲内でも,Mサイトの仕様には幾つかの問題点があり,表Aと表Eの脆弱性を修正したとしても,インターネットからの攻撃によって被害が発生するおそれがある。
5.1.1 WebAPIの仕様の改善
WebAPIに関して,仕様の改善の方針案と改善すべき理由を表Fに示す。改善によって,攻撃による被害を未然に防止すること,又は被害を軽減することができる。
表F WebAPIの仕様の改善の方針案
| 項番 | 仕様の改善の方針案 | 改善すべき理由 |
|---|---|---|
| 1 | i | j |
| ⋮ | ⋮ | ⋮ |
5.1.2 Webアプリケーションプログラムの求職者向け機能の仕様の改善
(省略)
5.1.3 Webアプリケーションプログラムの求人企業向け機能の仕様の改善
Webアプリケーションプログラムの求人企業向け機能に関して,仕様の改善の方針案と改善すべき理由を表Gに示す。改善によって,攻撃による被害を未然に防止すること,又は被害を軽減することができる。
表G Webアプリケーションプログラムの求人企業向け機能の仕様の改善の方針案
| 項番 | 仕様の改善の方針案 | 改善すべき理由 |
|---|---|---|
| 1 | k | l |
| ⋮ | ⋮ | ⋮ |
B社は,M社に診断報告書を提出し,セキュリティ診断を完了した。
設問と解答・解説
設問1
図4中の2章について答えよ。
(1)
表A中及び2.2.1(2)中の a に入れる適切な記号を,図3中の画面遷移の記号(ア)~(ナ)から選び,答えよ。
模範解答
選択肢イ: イ
配点 2点
解説
正解は イ です。
正解の根拠
本問は、個人情報を取り扱うWebサイトにおける セッションフィクセーション脆弱性 に関する理解を問う問題です。セッションフィクセーション攻撃では、攻撃者が予め取得・用意したセッションIDを被害者に強制し、その状態で被害者がログインを完了させると、攻撃者も同じセッションIDを用いて正規ユーザーとしてセッションを乗っ取ることが可能になります。
該当する画面遷移において、攻撃者の意図通りにセッションIDが固定・引き継がれる遷移を示す記号として イ が適切です。
各選択肢の解説
- イ以外の選択肢(ア、ウ〜ナ): セッションIDが適切に更新される、あるいは攻撃の成立要件を満たさない遷移を示しているため誤りです。
(2)
図A中の b に入れる適切なURLを,表1から選び答えよ。
採点基準(配点 4点)
正確性(内容)(4点)
- 4点: 「https://test.△△△.jp/」と完全に一致して抜き出せている。
- 2点: URLの一部に誤りや不要な文字が含まれているが、対象のURLであることは判別できる。
- 0点: 解答がない、または全く異なる内容が記述されている。
解説
解答
https://test.△△△.jp/
正解の根拠
表1に示されているURLの中から、該当する環境に合致する適切なURLを抜き出す問題です。文脈上、テスト環境や診断対象となるURLを指定する必要があるため、テスト用のドメインである https://test.△△△.jp/ が正解となります。
高得点のポイント
- 表1の内容から、指定された条件に合致するURLを一言一句違わずに正確に抜き出していること。
(3)
図A中の c に入れる適切な操作を答えよ。
模範解答
メール受信者によるログイン
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: メール受信者(被害者)がログイン操作を行うことが明記されている。
- 1点: 操作内容について不完全な記述がある(例: 「ログインする」のみで主体が不明確)。
- 0点: 被害者の操作に関する言及がない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 攻撃の文脈に沿って、乗っ取りに繋がる操作として明確に記述されている。
- 1点: 記述が曖昧であり、前後の文脈との繋がりがやや不明確である。
- 0点: 論理的な繋がりがなく、意味が通らない。
解説
正解の根拠
セッションフィクセーション攻撃を成立させるためのシナリオにおいて、被害者(メール受信者)がどのような操作を行うかが問われています。攻撃者が用意した罠のリンクなどを経由して、被害者が自らログインを行うことでセッションが固定化され、攻撃が成立します。したがって、メール受信者によるログイン が適切な操作となります。
高得点のポイント
- メール受信者(または被害者)が主体であることを明記していること。
- ログイン 操作を実行するという事実を明確に記述していること。
(4)
2.2.1(2)中の d に入れる適切な修正方法を具体的に答えよ。
模範解答
使用済みのsessionIDを無効にした上で,新しいsessionIDを発行
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: 古いセッションIDの無効化と、新しいセッションIDの発行の両方に言及している。
- 1点: 古いセッションIDの無効化、または新しいセッションIDの発行のいずれか一方のみ言及している。
- 0点: セッションIDの更新に関する言及がない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: セッションフィクセーション対策として妥当な順序と明確な表現で記述されている。
- 1点: 対策の意図は読み取れるが、具体的な動作の記述がやや曖昧である。
- 0点: 論理が破綻している、または問題の意図と異なる記述である。
解説
正解の根拠
セッションフィクセーション脆弱性の根本的な対策は、ユーザーの認証状態が変わるタイミング(ログイン成功時など)で、セッションIDを新しく発行し直すことです。単に新しいIDを発行するだけでなく、使用済みのsessionIDを無効 にすることで、攻撃者が保持している古いセッションIDでのアクセスを拒否する必要があります。
高得点のポイント
- 認証成功時に 古いセッションID(sessionID)を無効にする 旨が含まれていること。
- 新しいセッションIDを発行する 旨が含まれていること。
(5)
表D中の e に入れる適切な効果を答えよ。
模範解答
Mサイトへの接続をHTTPSに強制することができる。
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: HTTPS接続の強制効果について正しく言及している。
- 1点: 暗号化や安全な接続には触れているが、HTTPSの強制という明確な効果の説明が不足している。
- 0点: HTTPヘッダーの効果について誤った解釈をしている。
論理性(構造)(2点)
- 2点: Mサイトへの接続に関する文脈で、効果が明確かつ簡潔に記述されている。
- 1点: 記述がやや曖昧であるが、効果の意図は伝わる。
- 0点: 意味が通らない。
解説
正解の根拠
HTTPヘッダーによるセキュリティ対策に関する設問です。表Dの空欄に入るのは、HSTS (HTTP Strict Transport Security) などを設定した際の効果であると考えられます。これにより、ユーザーのブラウザに対して、Mサイトへのアクセスを強制的に HTTPS で行わせることが可能になり、中間者攻撃などを防ぐ効果があります。
高得点のポイント
- Mサイトへの接続 を対象としていること。
- HTTPSに強制する という効果を明確に記述していること。
(6)
表D中の f に入れる適切な効果を答えよ。
模範解答
Mサイトのコンテンツに対して,Content-Typeヘッダーで指定したMIMEタイプを強制的に適用することができる。
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: Content-Typeヘッダーで指定したMIMEタイプの強制適用について正しく言及している。
- 1点: MIMEタイプの推測防止等には触れているが、表現が不完全である。
- 0点: 設定の効果について全く言及できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 対象(Mサイトのコンテンツ)に対する効果が論理的に記述されている。
- 1点: 意図は汲み取れるが、日本語としての構造がやや不自然である。
- 0点: 意味が通らない。
解説
正解の根拠
この設問は、X-Content-Type-Options: nosniff などのセキュリティヘッダーを設定した場合の効果を問うものです。この設定により、ブラウザが勝手にMIMEタイプを推測(スニッフィング)するのを防ぎ、サーバーが Content-Typeヘッダーで指定したMIMEタイプを強制的に適用する ことができます。これにより、XSS(クロスサイトスクリプティング)などの攻撃のリスクを低減します。
高得点のポイント
- Content-Typeヘッダー で指定した MIMEタイプ に言及していること。
- それを 強制的に適用する(または推測を防ぐ)という効果を明確に記述していること。
設問1(2)は,正答率が高かった。セッションフィクセーション脆弱性について,よく理解できていた。設問1(5)fは,正答率が低かった。攻撃による被害を軽減するHTTPヘッダーについて,設定した場合の効果をよく理解してほしい。
設問2
(1)
図4中の4章にある図D中の g に入れる攻撃手順を答えよ。
模範解答
画面09で,会社名に,図Cのabc@example.comを攻撃者のメールアドレスに変更した文字列を入力して変更ボタンをクリックする。
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: 攻撃者のメールアドレスを含む文字列を入力・変更する具体的な操作が正確に記述されている。
- 1点: 不正な入力を行う旨の記述はあるが、具体的なメールアドレスへの変更に関する言及が不足している。
- 0点: 攻撃手順として不適切な内容である。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 操作画面、入力内容、実行手順の一連の流れが論理的に記述されている。
- 1点: 手順の一部が欠けているため、全体像がやや不明確である。
- 0点: 手順の繋がりが破綻している。
解説
正解の根拠
複数の脆弱性を組み合わせて悪用するシナリオに関する出題です。図Dの攻撃手順において、攻撃者が自らの情報を挿入して後のプロセスで悪用するための具体的な操作を記述します。ここでは、画面09での入力操作において、会社名などに 攻撃者のメールアドレスを含む文字列(例:abc@example.comを変更したもの)を入力して変更する ことが重要なステップとなります。
高得点のポイント
- 対象となる画面(画面09)での操作であること。
- 挿入する具体的な情報(攻撃者のメールアドレス)が明記されていること。
- 変更ボタンをクリックする といった実行アクションが記述されていること。
(2)
図4中の4章にある図D中の h に入れる攻撃手順を答えよ。
模範解答
画面04からの一連の操作において,画面05又は画面07で再設定後のパスワードを入力して,WebAPIキーを確認又は発行する。
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: 再設定したパスワードを用いてWebAPIキーを取得する一連の目的が正しく記述されている。
- 1点: パスワード入力かAPIキー取得のいずれか一方のみ言及されている。
- 0点: 後続の攻撃手順として不適切な内容である。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 画面遷移に基づく操作手順が順序立てて明確に記述されている。
- 1点: 手順の記載がやや大まかであり、詳細な状況が伝わりにくい。
- 0点: 論理的な手順になっていない。
解説
正解の根拠
先の攻撃手順の続きとして、攻撃者が情報を奪取するための操作を問う問題です。メールアドレスを書き換えた後、パスワードリセットなどの機能(画面04からの一連の操作)を悪用し、再設定後のパスワードを入力してWebAPIキーを確認または発行する ことが最終的な目的を達成するステップとなります。
高得点のポイント
- パスワード再設定の流れ(画面05または画面07での入力)を踏まえていること。
- 再設定後のパスワード を利用すること。
- 目的である WebAPIキーの確認又は発行 に到達していること。
設問2gは,正答率が低かった。攻撃の後の流れに合っていない解答が散見された。Webサイトの全体の機能を考慮し,脆弱性を組み合わせて悪用する攻撃を考える能力を培ってほしい。
設問3
(1)
表F中の i に記述する内容を答えよ。
模範解答
求職者IDが推測困難なものになるように,求職者IDの生成方法を変更する。
WebAPIのアクセス元IPアドレスを限定して接続を許可するように変更する。
WebAPIで取得できる求職者属性情報は,個人を特定できないものだけに限定するように変更する。
採点基準(配点 5点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: IDの推測困難化、IP制限、情報限定など、根本的な原因を排除する適切な対策案が具体的に提示されている。
- 2点: 有効な対策に言及しているが、やや抽象的である。
- 1点: 対策案としては成立しているが、被害を防ぐ効果が十分とは言えない記述にとどまっている。
- 0点: 適切な対策案が提示されていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: システムのどの部分をどのように変更するかが明確かつ論理的に記述されている。
- 1点: 内容の一部に曖昧さがあり、具体性に欠ける。
- 0点: 意味が通らない。
解説
正解の根拠
発見された脆弱性や不備に対して、被害を防ぐ効果が最も高い改善の方針案を策定する問題です。表Fに関する改善策として、IDの推測困難化、接続元IPアドレスの制限、またはAPIで取得できる情報を個人を特定できないものに限定する等の対策が考えられます。いずれも根本的な情報漏えいリスクを軽減するための有効な手段です。
高得点のポイント
- 求職者IDの生成方法 を推測困難なものに変更する。
- WebAPIのアクセス元IPアドレス を限定して許可する。
- 取得できる属性情報 を個人を特定できないものに限定する。
(上記のような効果の高い具体策のいずれかが記述されていること)
(2)
表F中の j に記述する内容を答えよ。
模範解答
APIkeyが窃取された場合,当該求人企業への問合せ又は応募をした求職者の情報漏えいだけに被害を軽減することができるから
WebAPIへの第三者による不正なアクセスを防ぐことができるから
不正にWebAPIが利用されても,個人を特定できない情報の漏えいだけに被害を軽減することができるから
採点基準(配点 5点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: 被害範囲の限定や不正アクセスの防止といった、対策の効果による具体的なメリットが正しく説明されている。
- 2点: 効果の方向性は正しいが、説明がやや表層的である。
- 1点: 効果についての言及はあるが、具体的な被害軽減の理由になっていない。
- 0点: 理由として成立していない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: iの対策案に対応する理由として、論理的に一貫性のある説明がなされている。
- 1点: 対策案と理由の繋がりにやや不自然な点がある。
- 0点: 対策案との関連性がなく、論理破綻している。
解説
正解の根拠
iで挙げた改善策がなぜ「被害を防ぐ効果が最も高いか」を説明する問題です。対策を実施することで、APIキーが万が一窃取されても被害の範囲を極小化できる点や、第三者からの不正アクセスそのものを強力に防げる点などを理由として挙げます。
高得点のポイント
- 被害範囲の極小化(当該企業の求職者のみ、個人特定不可情報のみなど)に言及していること。
- または、第三者による不正アクセス を根本的に防ぐことができるという防護効果について明記していること。
(3)
表G中の k に記述する内容を答えよ。
模範解答
ログインの認証を,多要素認証に変更する。
利用者ごとにアクセス元IPアドレスを限定して接続を許可するように変更する。
求人企業プロパティ変更において,メールアドレス以外を変更した場合でも,メールを送信するように変更する。
採点基準(配点 5点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: 多要素認証、IP制限、通知機能の改善など、アカウント保護や不正検知のための適切な対策案が具体的に提示されている。
- 2点: 有効な対策に言及しているが、やや抽象的である。
- 1点: 対策案としては成立しているが、被害を防ぐ効果が十分とは言えない。
- 0点: 適切な対策案が提示されていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: システムのどの機能をどのように変更するかが明確かつ論理的に記述されている。
- 1点: 内容の一部に曖昧さがあり、具体性に欠ける。
- 0点: 意味が通らない。
解説
正解の根拠
表Gに関する改善の方針案を答える問題です。アカウントの乗っ取りや不正なプロパティ変更を防ぐために、多要素認証の導入、アクセス元IPアドレスの限定、あるいは設定変更時の 通知メールの送信条件改善(メールアドレス以外の変更時も送信するなど) が有効な対策として考えられます。
高得点のポイント
- 認証の強化(多要素認証など)に言及している。
- ネットワークレベルの制限(アクセス元IP制限)に言及している。
- 不正変更の検知強化(広範な通知メール送信)に言及している。
(上記のような効果の高い具体策のいずれかが記述されていること)
(4)
表G中の l に記述する内容を答えよ。
模範解答
アカウントの乗っ取りを防ぐことができるから
第三者による不正なアクセスを防ぐことができるから
不正に求人企業プロパティが変更された場合に気付くことができるから
採点基準(配点 5点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: アカウント乗っ取り防止、第三者の不正アクセス阻止、または不正変更の早期発見といった、対策の効果による具体的なメリットが正しく説明されている。
- 2点: 効果の方向性は正しいが、説明がやや表層的である。
- 1点: 効果についての言及はあるが、具体的な被害軽減の理由として説得力が弱い。
- 0点: 理由として成立していない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: kの対策案に対応する理由として、論理的に一貫性のある説明がなされている。
- 1点: 対策案と理由の繋がりにやや不自然な点がある。
- 0点: 対策案との関連性がなく、論理破綻している。
解説
正解の根拠
kで挙げた改善策がなぜ「被害を防ぐ効果が最も高いか」を説明する問題です。提案した対策によって、アカウントの乗っ取り や 第三者の不正アクセス を根本から防ぐことができる点、あるいは不正な変更が行われても直ちに 気付くことができる(早期発見) 点を理由として記述します。
高得点のポイント
- アカウント乗っ取りの防止 や 不正アクセスの防止 といった予防効果に言及していること。
- または、通知による 不正変更の早期発見・気付き といった検知効果について明記していること。
設問3は,正答率がやや低かった。被害を軽減できない誤答が散見された。Webサイトでは,取り扱う情報の機密性などに応じた,認証やアクセス制限が必要である。それぞれのWebサイトの特性を考慮したセキュリティ対策を策定する能力を培ってほしい。