IPA セキュアプロトコル・無線LAN・接続認証 — 頻出論点と過去問
頻出論点
1. この分野は何か
通信経路上の盗聴・改ざん・なりすましを防ぐ暗号化プロトコル(TLS、IPsec、SSHなど)と、無線LANや有線LANへの不正接続を遮断するネットワーク接続認証を扱います。無線区間とエンドツーエンドの保護範囲の違いや、アクセスポイント・社内網の入口における端末・利用者認証の仕組みを切り分けられるようになります。
2. 実際の出題のされ方
無線区間の暗号化とWeb通信の暗号化が守る範囲の違いや、アクセスポイントへの接続制限の基本は、ITパスポートで問われます。WPA2の役割(無線区間の通信暗号化)、事前共有鍵(PSK)を用いた接続認証や端末ごとの暗号鍵生成、MACアドレスフィルタリングによる接続制限、さらに無線LAN経由でWebサーバへアクセスする際のWPA2とSSL/TLSの保護範囲の違いが出題されています。
各プロトコルが動作する階層やクライアント認証の手順、社内LAN・公衆無線LANでの対策は、応用情報技術者や高度試験の午前Iで出題されます。TLS・IPsec・L2TPが動作するOSI基本参照モデルの階層比較、IPsecの構成要素(認証ヘッダAHと暗号ペイロードESP)やIPv6拡張ヘッダによる暗号化通信、TLSクライアント認証における処理順序(サーバ証明書の送付→クライアント証明書の送付→クライアントの認証)、フリーアドレス環境での認証VLAN、公衆無線LANにおける端末間通信の遮断が出題されています。
暗号スイートやパケットの暗号化範囲、接続認証プロトコルの内部仕様は、高度試験の午前IIで問われます。TLS 1.3の暗号スイート構成(認証付き暗号アルゴリズムとハッシュアルゴリズムの組)やICカードに格納したクライアント証明書の運用、UDPのペイロードを暗号化するDTLS、IPsecのESPトンネルモードで元のIPヘッダからESPトレーラまでが暗号化される構造が出題されています。また、IEEE 802.1Xの3要素(サプリカント・オーセンティケータ・認証サーバ)とEAP-TLSによる相互認証、RADIUS・DiameterのAAAフレームワーク(認証・認可・アカウンティング)、WPA3-Enterpriseやパスワード入力なしで無線通信を暗号化するEnhanced Open(OWE)も問われています。
3. 学習のポイント
無線LANの暗号化規格(WPA2・WPA3・Enhanced Open)が保護するのは端末とアクセスポイント間の無線区間のみであり、ブラウザからWebサーバまでの経路全体を保護するにはTLSが必要です。また、VPNなどで使われるプロトコルは、データリンク層のL2TP、ネットワーク層のIPsec、トランスポート層以上で動作するTLSという階層の対応関係と、IPsecのESPトンネルモードにおいて元のIPヘッダごとカプセル化して暗号化する構造を図で押さえておきます。
次に、IEEE 802.1Xによる接続認証の構成を理解することが重要です。クライアント側のサプリカント、アクセスポイントやスイッチに実装されるオーセンティケータ(RADIUSクライアントとして動作)、そしてRADIUSサーバの役割分担に加え、デジタル証明書を用いてサーバとクライアントの相互認証を行うEAP-TLSの特徴を区別できるようにしておきます。
4. 間違えやすいところ
混同しやすいのは、無線区間の暗号化と、ブラウザからWebサーバまでの暗号化の取り違えです。WPA2を使っていればSSL/TLSが無くても通信全体が暗号化されるとする誤答肢がありますが、アクセスポイントから先の経路はWPA2では保護されません。
また、プロトコルの詳細仕様や順序を入れ替えた誤答肢もあります。TLS 1.3で廃止されたCBCモード(AES-CBCなど)が必須として継続利用されるとする記述、TLSのクライアント認証でサーバ証明書より先にクライアント証明書を送るとする順序の逆転、IPsecの鍵交換(IKE)がUDPの500番ではなく80番ポートを使うとする記述、EAP-TLS以外の方式(EAP-MD5やEAP-TTLSなど)をクライアント証明書必須の方式とみなす選択肢などが出ています。さらに、公衆無線LAN対策としてMACアドレスフィルタリングで偽装攻撃を防げるとしたり、SSIDを暗号化するとしたりする誤った対策を選ばないよう、各技術の限界と正確な動作を見極めましょう。
セキュアプロトコル・無線LAN・接続認証の理解度チェック
セキュアプロトコル・無線LAN・接続認証の過去問一覧
- 2026年度(R8) ITパスポート 問59 無線LANで使用するWPA2の機能として,適切なものはどれか。…
- 2025(R7)秋 情報処理安全確保支援士 午前II 問17 無線LANで使用される規格 IEEE 802.1X が規定しているものはどれか。…
- 2025(R7)春 応用情報技術者 午前 問43 VPNで使用されるプロトコルであるIPsec,L2TP,TLSの,OSI基本参照モデルにおける相対的な位置関係はどれか。…
- 2025(R7)春 高度試験共通 午前I 問15 VPNで使用されるプロトコルであるIPsec, L2TP, TLSの,OSI基本参照モデルにおける相対的な位置関係はどれ…
- 2025(R7)春 ネットワークスペシャリスト 午前II 問16 TLSに関する記述のうち,適切なものはどれか。…
- 2025(R7)春 ネットワークスペシャリスト 午前II 問19 無線LANの暗号化通信を実装するための規格に関する記述のうち,適切なものはどれか。…
- 2025(R7)春 システムアーキテクト 午前II 問18 通信の暗号化や利用者の認証の機能をもち,遠隔にあるコンピュータに安全にログインするためのプロトコルはどれか。…
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- 2024(R6)秋 情報処理安全確保支援士 午前II 問1 RADIUSやDiameterが提供するAAAフレームワークの構成要素は,認証 (Authentication),認可 …
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- 2024(R6)秋 情報処理安全確保支援士 午前II 問17 利用者認証情報を管理するサーバ1台と複数のアクセスポイントで構成された無線LAN環境を実現したい。PCが無線LAN環境に…
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- 2024(R6)春 応用情報技術者 午前 問42 PCからサーバに対し,IPv6を利用した通信を行う場合,ネットワーク層で暗号化を行うときに利用するものはどれか。…
- 2024(R6)春 高度試験共通 午前I 問15 PCからサーバに対し,IPv6を利用した通信を行う場合,ネットワーク層で暗号化を行うときに利用するものはどれか。…
- 2024(R6)春 ネットワークスペシャリスト 午前II 問8 リモートアクセス環境において,認証情報やアカウンティング情報をやり取りするプロトコルはどれか。…
- 2024(R6)春 ネットワークスペシャリスト 午前II 問21 IPsecに関する記述のうち,適切なものはどれか。…
- 2024(R6)春 情報処理安全確保支援士 午前II 問12 不特定多数の利用者に無料で開放されている公衆無線LANサービスのアクセスポイントと端末で利用される仕様として,Wi-Fi…
- 2024(R6)春 情報処理安全確保支援士 午前II 問14 IEEE 802.1Xにおけるサプリカントはどれか。…
- 2023(R5)秋 情報処理安全確保支援士 午前II 問2 TLS 1.3の暗号スイートに関する説明のうち,適切なものはどれか。…
- 2023(R5)秋 情報処理安全確保支援士 午前II 問15 通信の暗号化や利用者の認証の機能をもち,遠隔にあるコンピュータに安全にログインするためのプロトコルはどれか。…
- 2023(R5)春 応用情報技術者 午前 問43 公衆無線LANのアクセスポイントを設置するときのセキュリティ対策とその効果の組として,適切なものはどれか。…
- 2023(R5)春 応用情報技術者 午前 問45 次に示すような組織の業務環境において,特定のIPセグメントのIPアドレスを幹部のPCに動的に割り当て,一部のサーバへのア…
- 2023(R5)春 高度試験共通 午前I 問15 次に示すような組織の業務環境において,特定のIPセグメントのIPアドレスを幹部のPCに動的に割り当て,一部のサーバへのア…
- 2023(R5)春 ネットワークスペシャリスト 午前II 問9 図は IPv4 における IPsec のデータ形式を示している。ESP トンネルモードの電文中で, 暗号化されているのは…
- 2023(R5)春 ネットワークスペシャリスト 午前II 問19 認証にクライアント証明書を必要とするプロトコルはどれか。…
- 2023(R5)春 ネットワークスペシャリスト 午前II 問21 無線LANで使用される規格 IEEE 802.1X が定めているものはどれか。…
- 2023(R5)春 情報処理安全確保支援士 午前II 問14 無線LANの暗号化通信を実装するための規格に関する記述のうち, 適切なものはどれか。…
- 2023年度(R5) ITパスポート 問65 Wi-Fi のセキュリティ規格である WPA2 を用いて,PC を無線 LAN ルータと接続するときに設定する PSK …
- 2022(R4)秋 データベーススペシャリスト 午前II 問21 PCからサーバに対し,IPv6を利用した通信を行う場合,ネットワーク層で暗号化を行うときに利用するものはどれか。…
- 2022(R4)秋 エンベデッドシステムスペシャリスト 午前II 問17 不特定多数の利用者に無料で開放されている公衆無線LANサービスのアクセスポイントと端末で利用される仕様として,Wi-Fi…
- 2022(R4)秋 エンベデッドシステムスペシャリスト 午前II 問18 PCからサーバに対し,IPv6を利用した通信を行う場合,ネットワーク層で暗号化を行うときに利用するものはどれか。…
- 2022(R4)秋 情報処理安全確保支援士 午前II 問13 PCからサーバに対し,IPv6を利用した通信を行う場合,ネットワーク層で暗号化を行うときに利用するものはどれか。…
- 2022(R4)秋 情報処理安全確保支援士 午前II 問17 無線LANのアクセスポイントがもつプライバシーセパレータ機能(アクセスポイントアイソレーション)の説明はどれか。…
- 2022(R4)春 情報処理安全確保支援士 午前II 問15 TLSに関する記述のうち,適切なものはどれか。…
- 2022(R4)春 情報処理安全確保支援士 午前II 問17 利用者認証情報を管理するサーバ1台と複数のアクセスポイントで構成された無線LAN環境を実現したい。PCが無線LAN環境に…
- 2022(R4)春 ITストラテジスト 午前II 問25 参加者が毎回変わる100名程度の公開セミナにおいて,参加者に対して無線LAN接続環境を提供する。参加者の端末以外からのア…
- 2021(R3)秋 応用情報技術者 午前 問36 IPv6において,拡張ヘッダを利用することによって実現できるセキュリティ機能はどれか。…
- 2021(R3)秋 応用情報技術者 午前 問43 OSI基本参照モデルのネットワーク層で動作し,“認証ヘッダ(AH)”と“暗号ペイロード(ESP)”の二つのプロトコルを含…
- 2021(R3)秋 高度試験共通 午前I 問15 OSI基本参照モデルのネットワーク層で動作し,“認証ヘッダ(AH)”と“暗号ペイロード(ESP)”の二つのプロトコルを含…
- 2021(R3)秋 情報処理安全確保支援士 午前II 問15 無線LANの暗号化通信を実装するための規格に関する記述のうち,適切なものはどれか。…
- 2021(R3)秋 情報処理安全確保支援士 午前II 問16 IEEE 802.1Xで使われるEAP-TLSが行う認証はどれか。…
- 2021(R3)秋 情報処理安全確保支援士 午前II 問17 TLS 1.3の暗号スイートに関する説明のうち,適切なものはどれか。…
- 2021(R3)春 応用情報技術者 午前 問45 TLSのクライアント認証における次の処理a~cについて,適切な順序はどれか。…
- 2021(R3)春 ネットワークスペシャリスト 午前II 問19 無線LANで使用される規格IEEE 802.1Xが定めているものはどれか。…
- 2021(R3)春 情報処理安全確保支援士 午前II 問17 RFC 8110に基づいたものであり,公衆無線LANなどでパスフレーズなどでの認証なしに,端末とアクセスポイントとの間の…
- 2021年度(R3) ITパスポート 問63 PCやスマートフォンのブラウザから無線LANのアクセスポイントを経由して,インターネット上のWebサーバにアクセスする。…
- 2021年度(R3) ITパスポート 問85 無線LANのセキュリティにおいて,アクセスポイントがPCなどの端末からの接続要求を受け取ったときに,接続を要求してきた端…
- 2016(H28)秋 システムアーキテクト 午前II 問25 無線LANのセキュリティ方式としてWPA2を選択するとき,利用される暗号化アルゴリズムはどれか。…
セキュアプロトコル・無線LAN・接続認証の用語
セキュリティ技術のほかの論点
暗号方式・ハッシュ53問 デジタル署名・PKI48問 利用者認証・SSO・ID連携61問 サイバー攻撃手法45問 マルウェア24問 Webアプリケーション・ソフトウェアの脆弱性32問 ネットワーク防御・セキュリティ製品33問 DNS・電子メールのセキュリティ54問 ハードウェア・物理的セキュリティ32問 脆弱性管理・セキュリティ監視44問