令和3年度 秋期 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午前II 問17

外部から侵入されたサーバ及びそのサーバに接続されていた記憶媒体を調査対象としてディジタルフォレンジックスを行うことになった。このとき,稼働状態にある調査対象のサーバ,記憶媒体などから表に示すa〜dを証拠として保全する。保全の順序のうち,揮発性の観点から最も適切なものはどれか。

表
図の説明テキスト
証拠として保全するもの
a 遠隔にあるログサーバに記録された調査対象サーバのアクセスログ
b 調査対象サーバにインストールされていた会計ソフトのインストール用 CD
c 調査対象サーバのハードディスク上の表計算ファイル
d 調査対象サーバのルーティングテーブルの状態
解答・解説

正解: エ. d → c → a → b

ディジタルフォレンジックスにおける証拠保全では、データが変化したり失われたりするリスクを最小限に抑えるため、揮発性が高い(消失しやすい)ものから優先して保全を行う必要があります。

表に示された各項目の揮発性の高さは以下の通りです。

  1. d: 調査対象サーバのルーティングテーブルの状態
    ルーティングテーブルやキャッシュなど、メインメモリ上に存在する情報は、サーバの再起動や電源切断によって直ちに失われてしまいます。したがって、最も揮発性が高く、真っ先に保全しなければなりません。

  2. c: 調査対象サーバのハードディスク上の表計算ファイル
    ハードディスク上のデータは電源を切っても保持されますが、サーバが稼働状態にあるため、OSや他のプロセスによって意図せず上書き・削除・変更されるリスクが常に存在します。そのため、メモリ上のデータの次に保全する必要があります。

  3. a: 遠隔にあるログサーバに記録された調査対象サーバのアクセスログ
    調査対象サーバとは別のサーバ(ログサーバ)のハードディスク等に記録されているため、調査対象サーバをシャットダウンしても直ちに失われることはありません。ただし、ログサーバの容量制限や一定期間経過に伴うログローテーションによって古いデータから削除される可能性があるため、物理メディアよりは優先して保全します。

  4. b: 調査対象サーバにインストールされていた会計ソフトのインストール用 CD
    CDは読み取り専用の物理的な記憶媒体であり、データが書き換えられたり消失したりすることはありません。したがって、揮発性が最も低く、最後に保全して問題ありません。

これらを揮発性の高い順に並べると、d → c → a → b となります。

各選択肢の解説

  • ア (a → c → d → b)
    最も揮発性の高い「d: ルーティングテーブルの状態」の保全順位が遅いため誤りです。
  • イ (b → c → a → d)
    揮発性のない「b: インストール用 CD」を最初に保全し、最も揮発性の高い「d: ルーティングテーブルの状態」を最後にしているため、全くの逆順となっており誤りです。
  • ウ (c → a → d → b)
    「d: ルーティングテーブルの状態」よりも先に「c: ハードディスク上のファイル」や「a: 遠隔のアクセスログ」を保全しており、揮発性の観点からの優先順位が適切ではないため誤りです。
  • エ (d → c → a → b)
    正解です。最も揮発性の高いメモリ上の情報から始まり、最も揮発性の低いCDへと至る、正しい保全順序です。

Spineチーム