令和6年度 秋期 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問2 害獣監視システムのリアルタイムタスク設計

テクノロジ組込み・IoTシステム開発技術

この問題は2024(R6)秋 エンベデッドシステムスペシャリスト 午後Iに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

本ページの問題文・選択肢は、原本の体裁を Web 表示用に正規化しています(改行・記号・数式・図表参照の調整)。設問の趣旨および正解に影響する変更は加えていません。

学習ガイド

農地の害獣被害を抑止する監視システムを題材に、リアルタイムOSを使ったタスク設計を問う問題です。害獣が緩衝エリアから追い返しエリアへ移動するシナリオに沿って、構成要素間のメッセージシーケンスを補完し、タスクの処理内容や通知条件を設計します。最後には不審者監視という機能追加まで扱うため、この記事では既存設計のどこを流用しどこを変更するかという判断軸も含めて解説します。

この記事で押さえる論点

  • エリア判定から威嚇・捕獲までのメッセージシーケンスを追跡する
  • リアルタイムOSのタスク分割と通知条件の設計意図を説明する
  • 機能追加(不審者監視)の際の既存タスク流用可否を判断する

問題本文

問2 害獣監視システムに関する次の記述を読んで,設問に答えよ。

B社は,イノシシ,シカによる害獣被害を受けている農家からの要望に対応するため,害獣監視システム(以下,監視システムという)を開発した。
監視システムは,複数台のユニットとカメラモジュールを組み合わせて設置することで,害獣の監視,追跡,農地への侵入防御などを行う。
監視システムが設置された農地とその周辺の概略図を図1に,監視システムの主な構成を図2に,監視システムの主な構成要素を表1に,構成要素間で送受信する主なメッセージの概要を表2に示す。

図1 監視システムが設置された農地とその周辺の概略図
図の説明テキスト

監視システムが設置された農地とその周辺の概略図。北側に「森」があり、そこから南に向かって網掛け部分の「緩衝エリア」、破線で示された「エリア境界線」、その南側の「追い返しエリア」へと続く。緩衝エリアには「カメラモジュール4」「捕獲ユニット1」「撒き餌ユニット1」「害獣」「撒き餌ユニット2」「捕獲ユニット2」が西から東へ配置されている。エリア境界線上には西に「カメラモジュール2」、東に「壁」がある。追い返しエリアの中央に「農地」があり、その北側に「威嚇ユニット2, 3」、西側に「電気柵ユニット1, 2」「威嚇ユニット1」が配置されている。農地の南西の崖付近に「カメラモジュール1」がある。農地の南東には「家屋」があり、中に「害獣識別装置」「制御装置」「PC端末」が置かれている。東側には南北に「道路」が走り、「カメラモジュール3, 5」が配置され、道路の南端は「市街地へ」向かっている。図の右上には北を示す方位記号がある。

注記1:害獣の生息域は,農地北側の森となっているので,地理的条件を利用して北側からの害獣の接近に備えて各ユニット及びカメラモジュールを配置している。
注記2:複数設置するユニット及びカメラモジュールは,図中で示すように識別番号を付与し,識別する。
注記3:エリア境界線から北側の森までのエリア(図中の網掛け部分)を緩衝エリア,エリア境界線から南側のエリアを追い返しエリアと呼ぶ。

図2 監視システムの主な構成
図の説明テキスト

LANに「害獣識別装置」「制御装置」「PC端末」が接続されている。
「害獣識別装置」からは無線(波線)で「カメラモジュール」が接続されている。
「制御装置」からは無線(波線)で「撒き餌ユニット」「捕獲ユニット」「威嚇ユニット」「電気柵ユニット」がそれぞれ接続されている。

表1 監視システムの主な構成要素
図の説明テキスト

表1 監視システムの主な構成要素。
制御装置、害獣識別装置、カメラモジュール、撒き餌ユニット、捕獲ユニット、威嚇ユニット、電気柵ユニット、PC端末の機能概要が記載されている。

表2 構成要素間で送受信する主なメッセージの概要
図の説明テキスト

表2 構成要素間で送受信する主なメッセージの概要。
動作指示、害獣識別指示、害獣情報通知、撒き餌放出指示、捕獲実行指示、捕獲発生通知、通電制御指示、威嚇実行指示、威嚇実行通知、柵接触検知通知について、送信元、送信先、説明が記載されている。

〔制御装置の動作概要〕

制御装置はPC端末からの“動作指示”を受信すると初期設定処理を行い,害獣の監視を開始する。

監視開始後,害獣識別装置から“害獣情報通知”を受信すると,害獣1頭ごとに移動を追跡し,その害獣の位置及び動きに応じて,撒き餌,捕獲,威嚇などのアクションを実行する(以下,追跡処理という)。

また,追跡処理では一つのユニットに対して複数のアクションが同時に起こる可能性があるので,これを調停してユニットに指示を行う(以下,ユニット制御処理という)。

それぞれの処理内容の詳細を次に示す。

① 初期設定処理

PC端末から受信した“動作指示”に含まれる次の二つの情報を設定情報として保存するとともに,“害獣識別指示”で害獣識別装置にも送信する。

  • 農地,エリア境界線位置,追い返しエリア及び緩衝エリアにおける各ユニットと各カメラモジュールのそれぞれの設置位置に関する情報(以下,地図情報という)
  • 監視対象となる害獣の獣種と,獣種を識別するための学習済みモデルデータ

② 追跡処理

害獣1頭ごとに,害獣の位置によって次の動作を行う。

  • 害獣が緩衝エリアにいる場合,害獣を捕獲するために,次に示す処理を行う。
    • 撒き餌の放出を決定する範囲内に害獣が一定時間留まると,撒き餌の放出をユニット制御処理に依頼する。
    • 檻の中に害獣が一定時間留まると,檻の閉扉をユニット制御処理に依頼する。
  • 害獣が追い返しエリアにいる場合,害獣を追い返しエリアから退去させるために,次に示す処理を行う。
    • 威嚇の実行を決定する範囲内に害獣が入ると,威嚇の実行をユニット制御処理に依頼する。
    • 害獣が緩衝エリアから追い返しエリアに移動した場合に,獣種及び大きさに応じたワイヤの通電の開始をユニット制御処理に依頼する。
    • 害獣が追い返しエリアから緩衝エリアに移動した場合に,獣種及び大きさに応じたワイヤの通電の停止をユニット制御処理に依頼する。
  • 捕獲ユニットの檻を閉扉した後,害獣の捕獲に成功したと判断できた場合,害獣の追跡処理を終了する。

③ ユニット制御処理

ユニット制御処理は,電気柵ユニット,威嚇ユニット,撒き餌ユニット,捕獲ユニットに次の動作指示を行う。

  • 電気柵ユニット
    通電の開始又は停止の依頼があったとき,対象のワイヤへの通電の開始又は停止の要否に応じて,“通電制御指示”を送信する。
  • 威嚇ユニット
    威嚇の実行の依頼があったとき,対象の威嚇ユニットに,“威嚇実行指示”を送信する。
  • 撒き餌ユニット
    撒き餌の放出の依頼があったとき,対象の撒き餌ユニットが対象の獣種に対する撒き餌の放出を行っていなければ,“撒き餌放出指示”を送信する。
  • 捕獲ユニット
    檻の閉扉の依頼があったとき,対象の捕獲ユニットが檻の閉扉を行っていなければ,“捕獲実行指示”を送信する。

〔監視システムの再起動〕

撒き餌の放出や檻の閉扉を行った後,監視システムの利用者が,撒き餌ユニットへの撒き餌の補充や,捕獲ユニットの檻の開扉(かいひ)を行ったときは,PC端末から再度“動作指示”を制御装置へ送信することで,監視システムを再起動することができる。

〔制御装置の制御部のソフトウェア構造〕

制御装置の制御部ではリアルタイムOSを使用する。制御装置の制御部の主なタスク構造を図3に,制御装置の制御部の主なタスク処理概要を表3に示す。

図3 制御装置の制御部の主なタスク構造
図の説明テキスト

制御装置の制御部の主なタスク構造。タスク(四角形)とデータ(テキスト)の間の関係が矢印で示されている。「メイン」は「設定情報」へ書込みを行う。「メイン」から「個体識別」へ通知。「個体識別」と「LAN通信」は双方向通信。「LAN通信」と「メイン」は双方向通信。「メイン」から「害獣管理」へ通知。「害獣管理」と「害獣」は双方向通信。「害獣」から「ユニット管理」へ通知。「ユニット管理」から「メイン」、「誘導捕獲」、「威嚇電撃」へそれぞれ通知を行う。

注記1:実線の矢印は,メールボックスを使用したタスク間のメッセージ通信の方向を示す。
注記2:破線の矢印は,メモリへの書込みを示す。ただし,メモリからの読出しは省略している。
注記3:害獣タスクは,害獣IDごとに生成される。

表3 制御装置の制御部の主なタスク処理概要
図の説明テキスト

表3 制御装置の制御部の主なタスク処理概要。メイン、個体識別、害獣管理、害獣、ユニット管理、威嚇電撃、誘導捕獲、LAN通信の各タスクの処理概要が記載されている。
図中に空欄 a, b, c, d, e を含む。
下線 ある条件を満たした害獣タスクを終了させる。害獣の位置の履歴を保存する。害獣がいるエリアが変わったかどうかを判断し威嚇電撃タスクから受けた通知をメインタスクに通知する。 を含む。

図4 制御装置と各ユニット,PC 端末との間のメッセージ送受信
図の説明テキスト

制御装置と各ユニット,PC 端末との間のメッセージ送受信順序を示すフロー図。
[撒き餌放出指示] → [f] → [g] → [威嚇実行通知] → [h] → [柵接触検知通知] → [i] の順でメッセージが送受信される。

設問3 監視システムの機能追加について答えよ。

農作物の盗難被害への対策として,緩衝エリアと追い返しエリアに不審者が入ると,警告用の光の照射と威嚇音の出力によって威嚇を行い,加えて利用者に不審者の侵入を知らせる機能(以下,不審者監視機能という)を監視システムに追加する。

〔監視システムの構成要素の変更概要〕

監視システムの構成要素の変更概要を次に示す。

  • 不審者を威嚇するために,次の機能をもつスポットライトユニットを監視システムに追加する。
    • 可視光LEDライトをもち,制御装置からの指示で強い光を一方向に照射する。
    • 構成要素間のメッセージとして新たに追加する“ライト制御指示”を制御装置から受信すると,受信した内容に従って点灯又は消灯する。
    • 緩衝エリア内にスポットライトユニット1,追い返しエリア内にスポットライトユニット2の計2台を設置する。
  • 威嚇ユニット1~3に不審者用の威嚇音を新たに登録する。
  • PC端末に次の機能を追加する。
    • 構成要素間のメッセージとして新たに追加する“不審者警告”を制御装置から受信すると,警報音を鳴らして利用者に不審者が侵入したことを知らせる。
  • 害獣識別装置に次の機能を追加する。
    • 害獣の処理と同様に,5台のカメラモジュールから受信した画像データをAIで分析し,不審者を害獣とみなして識別した害獣IDごとに,害獣情報を作成する。
  • 制御装置に次の機能を追加する。
    • 不審者監視開始時刻から不審者監視終了時刻までの間,不審者監視機能を有効にする。不審者監視開始時刻及び不審者監視終了時刻は,初期設定処理のときにPC端末から設定される。

〔不審者監視機能における制御装置の動作概要〕

不審者監視機能における制御装置の動作概要を次に示す。

① 追跡処理

  • 不審者が緩衝エリアに侵入したことを検知すると,次に示す処理を行う。
    • スポットライトユニット1の点灯をユニット制御処理に依頼する。
    • PC端末に不審者の緩衝エリアへの侵入を,“不審者警告”で送信する。
  • 不審者が緩衝エリアにいる場合で,撒き餌の放出を決定する範囲内に不審者が一定時間留まった場合でも,撒き餌の放出をユニット制御処理に依頼しない。
  • 不審者が緩衝エリアから追い返しエリアに移動するか,緩衝エリアから出ていった場合,スポットライトユニット1の消灯をユニット制御処理に依頼する。
  • 不審者が追い返しエリアに侵入したことを検知すると,次に示す処理を行う。
    • スポットライトユニット2の点灯をユニット制御処理に依頼する。
    • PC端末に不審者の追い返しエリアへの侵入を,“不審者警告”で送信する。
  • 不審者が追い返しエリアにいる間は,電気柵ユニットの全てのワイヤの通電の停止をユニット制御処理に依頼する。
  • 不審者が追い返しエリアにいる場合,威嚇の実行を決定する範囲内に不審者が入ると,威嚇の実行をユニット制御処理に依頼する。
  • 不審者が追い返しエリアから緩衝エリアに移動した場合,スポットライトユニット2の消灯をユニット制御処理に依頼する。

② ユニット制御処理

  • スポットライトユニットに次の動作指示を行う。
    • 追跡処理から点灯又は消灯の依頼があったとき,対象のスポットライトユニットの点灯又は消灯の要否に応じて,点灯又は消灯の“ライト制御指示”を送信する。

〔制御装置の制御部のタスクの変更概要〕

制御装置の制御部のタスクの変更概要を表4に示す。

表4 制御装置の制御部のタスクの変更概要
図の説明テキスト

表4 制御装置の制御部のタスクの変更概要。
メイン、害獣管理、害獣、ユニット管理、威嚇電撃の変更概要が記載されている。
害獣管理タスクの変更概要に空欄 j を含む。
ユニット管理タスクの変更概要に下線 必要に応じて通電の開始を威嚇電撃タスクに通知する。 を含む。

設問と解答・解説

設問1

監視システムについて答えよ。

(1)

制御装置が“害獣情報通知”を受信し,害獣が緩衝エリアから追い返しエリアへ移動したと判断したとき,電気柵ユニットのワイヤに通電が行われるまでに,監視システムの構成要素の動作時間や通信時間を含めて 0.9 秒必要となる。害獣の移動速度を 54km/時以下とした場合,追い返しエリアへ侵入した害獣の農地への侵入を防ぐために電気柵ユニット1のワイヤを通電した状態にするには,エリア境界線と電気柵ユニット1の間は直線で最短何m距離を空ける必要があるか。答えは小数第2位を切り上げて,小数第1位まで求めよ。

模範解答

21.0

配点 4

解説

本問は、害獣の移動速度とシステムの遅延時間を基に、必要な安全距離を算出する問題です。

害獣の最大移動速度を秒速に換算すると、
54 km/h=54×10003600 m/s=15 m/s 54 \text{ km/h} = \frac{54 \times 1000}{3600} \text{ m/s} = 15 \text{ m/s}
となります。

システムの遅延時間について、制御装置が害獣情報通知を受信してから通電されるまでの 0.9 秒に加え、監視システムの害獣識別装置が画像を撮影し、害獣情報を送信するまでの時間(例えば 0.5 秒の周期遅延など)を考慮する必要があります。
解説にもある通り「構成要素の動作時間や通信時間と、害獣情報が送信される時間は分けて考える」必要があり、合計遅延時間は 0.9+0.5=1.40.9 + 0.5 = 1.4 秒となります。

したがって、害獣がこの間に移動できる最大距離は、
15 m/s×1.4 s=21 m 15 \text{ m/s} \times 1.4 \text{ s} = 21 \text{ m}
となります。
小数第2位を切り上げて小数第1位まで求めると 21.0 となります。

(2)

〔制御装置の動作概要〕について,下線(ア)の判断をするために,制御装置が地図情報と害獣情報から行う判定処理の内容を,30字以内で答えよ。

模範解答

一定時間以上捕獲ユニット内にいるかを判定する。

採点基準(配点 4点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: 「捕獲ユニット内にいること」「一定時間以上留まること」の両方の要件が示されている。
  • 1: 「捕獲ユニット内にいること」「一定時間以上留まること」のいずれか一方のみが示されている。
  • 0: 題意に沿った要件が示されていない。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 文字数制限内に収まり、文脈として自然で明確な記述となっている。
  • 1: 文脈にやや不自然な点があるが、意味は通じる。
  • 0: 文章として破綻している、または論理的でない。

解説

害獣の捕獲成功を正しく判断するための判定処理に関する問題です。

制御装置は、害獣が捕獲ユニットに入った瞬間だけではなく、そこに留まっているかを確認する必要があります。地図情報と害獣情報から、「害獣が捕獲ユニット内にいること」と「一定時間以上移動していないこと」の2つの条件を判定します。

高得点のポイント

  • 捕獲ユニット内にいることを明記しているか
  • 一定時間以上留まっている(移動していない)ことを明記しているか
  • 2つの要素を組み合わせて論理的な文を構成しているか

設問1(1)は,正答率が低かった。監視システムの構成要素の動作時間や,通信時間と害獣識別装置から制御装置へ害獣情報が送信される時間は,分けて考える必要がある。システムの仕様をよく理解して解答してほしい。設問1(2)は,正答率がやや低かった。害獣の捕獲に成功したことを判断するためには,害獣が捕獲ユニットの内にいることと,一定時間以上捕獲ユニットの内から移動しないことの二つの条件を満たす必要があるが,どちらか片方しか述べていない解答が見受けられた。求められる条件をよく理解して解答してほしい。

設問1 (3)

1頭の害獣が緩衝エリアに現れた後,撒き餌ユニットに接近したが,捕獲ユニットへは誘導されず,追い返しエリアに侵入して,威嚇ユニットに接近し,電気柵ユニット1と1回接触した後,緩衝エリアに退去した。このとき,制御装置と各ユニット,PC端末との間では,図4の順でメッセージの送受信を行った。空欄f空欄iに入れる適切なメッセージ名を答えよ。ここで,この間緩衝エリア及び追い返しエリアにいた害獣は,当該の害獣1頭だけとする。

(1)

図4の空欄 f に入れる適切なメッセージ名を答えよ。

模範解答

通電制御指示

採点基準(配点 5点)

正確性(内容)(5点)

  • 5: 「通電制御指示」と完全に一致している。
  • 2: 意味は通じるが、指定されたメッセージ名と表記揺れがある。
  • 0: 不適切な解答。

解説

図中のシーケンス図において、制御装置とユニット間でやり取りされるメッセージ名を答える問題です。

害獣が追い返しエリアに侵入した際、制御装置は電気柵ユニットに対して通電を指示します。このときに送信されるメッセージは 通電制御指示 です。

高得点のポイント

  • システムの仕様に従い、正しいメッセージ名「通電制御指示」を正確に記述できているか

(2)

図4の空欄 g に入れる適切なメッセージ名を答えよ。

模範解答

威嚇実行指示

採点基準(配点 5点)

正確性(内容)(5点)

  • 5: 「威嚇実行指示」と完全に一致している。
  • 2: 意味は通じるが、指定されたメッセージ名と表記揺れがある。
  • 0: 不適切な解答。

解説

図中のシーケンス図において、制御装置とユニット間でやり取りされるメッセージ名を答える問題です。

害獣が威嚇ユニットに接近した際、制御装置は威嚇ユニットを動作させる指示を出します。この指示メッセージは 威嚇実行指示 です。

高得点のポイント

  • システムの仕様に従い、正しいメッセージ名「威嚇実行指示」を正確に記述できているか

(3)

図4の空欄 h に入れる適切なメッセージ名を答えよ。

模範解答

柵接触検知通知

採点基準(配点 5点)

正確性(内容)(5点)

  • 5: 「柵接触検知通知」と完全に一致している。
  • 2: 意味は通じるが、指定されたメッセージ名と表記揺れがある。
  • 0: 不適切な解答。

解説

図中のシーケンス図において、制御装置とユニット間でやり取りされるメッセージ名を答える問題です。

害獣が電気柵ユニットに接触した際、ユニット側から制御装置に対して接触した事実が通知されます。該当するメッセージは 柵接触検知通知 です。

高得点のポイント

  • システムの仕様に従い、正しいメッセージ名「柵接触検知通知」を正確に記述できているか

(4)

図4の空欄 i に入れる適切なメッセージ名を答えよ。

模範解答

通電制御指示

採点基準(配点 5点)

正確性(内容)(5点)

  • 5: 「通電制御指示」と完全に一致している。
  • 2: 意味は通じるが、指定されたメッセージ名と表記揺れがある。
  • 0: 不適切な解答。

解説

図中のシーケンス図において、制御装置とユニット間でやり取りされるメッセージ名を答える問題です。

害獣が緩衝エリアに退去した(または一定時間経過した)後、制御装置は電気柵ユニットに対して通電の停止(あるいは状態変更)を指示します。この際に用いられるメッセージは 通電制御指示 です。

高得点のポイント

  • システムの仕様に従い、正しいメッセージ名「通電制御指示」を正確に記述できているか

設問2

制御装置の制御部のタスク設計について答えよ。

(1)

害獣管理タスクについて答えよ。
表3中の空欄 aに入れる適切な内容を25字以内で答えよ。

模範解答

害獣IDごとに害獣タスクを生成・起動

採点基準(配点 4点)

正確性(内容)(4点)

  • 4: 文脈に沿って「害獣IDごとに害獣タスクを生成・起動」といった主旨が過不足なく抜き出されている。
  • 2: 主旨は合っているが、一部のキーワードが欠落している。
  • 0: 不適切な解答。

解説

害獣管理タスクの役割に関する問題です。

害獣管理タスクは、新たに検知された害獣情報を受け取った際、その害獣を個別に追跡・管理するために、害獣IDごとに専用のタスクを立ち上げる役割を担います。

高得点のポイント

  • 害獣IDごとに処理を行うことが記述されているか
  • 害獣タスクを生成・起動するという動作が明確に示されているか

(2)

害獣管理タスクについて答えよ。
表3中の下線(イ)の条件の一つ目を20字以内で答えよ。

模範解答

害獣情報が通知されなくなった。

採点基準(配点 4点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: 害獣情報が通知されなくなった(検知されなくなった)ことが明記されている。
  • 1: 「害獣が消えた」など、意味は通じるが専門的表現がやや不足している。
  • 0: 題意に沿った要件が示されていない。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 文字数制限内に収まり、文脈として自然で明確な記述となっている。
  • 1: 文脈にやや不自然な点があるが、意味は通じる。
  • 0: 文章として破綻している、または論理的でない。

解説

害獣タスクを終了させるための条件を問う問題です。

追跡中の害獣が監視エリア外へ退出した、あるいはカメラの死角に入って一定時間経過したなどの理由で、害獣識別装置からその害獣の情報が送られてこなくなった場合、タスクは不要となります。

高得点のポイント

  • 害獣情報が通知されなくなった状況を正しく表現しているか
  • 指定された字数内で簡潔にまとめられているか

(3)

害獣管理タスクについて答えよ。
表3中の下線(イ)の条件の二つ目を20字以内で答えよ。

模範解答

捕獲の発生を通知してきた。

採点基準(配点 4点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: 捕獲の発生(捕獲されたこと)が通知されたことが明記されている。
  • 1: 意味は通じるが、通知の事実など一部の要素が不足している。
  • 0: 題意に沿った要件が示されていない。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 文字数制限内に収まり、文脈として自然で明確な記述となっている。
  • 1: 文脈にやや不自然な点があるが、意味は通じる。
  • 0: 文章として破綻している、または論理的でない。

解説

害獣タスクを終了させるためのもう一つの条件を問う問題です。

追跡対象の害獣が捕獲ユニットに入り、無事に捕獲されたことが確認された場合、以降の追跡や威嚇等の処理は不要になるため、当該害獣のタスクは終了します。

高得点のポイント

  • 捕獲の発生(または捕獲完了)が通知された状況を正しく表現しているか
  • タスク終了のトリガーとしての事象を簡潔に記述しているか

(4)

害獣タスクについて答えよ。
表3中の空欄 bに入れる適切な内容を15字以内で答えよ。

模範解答

エリア間の害獣移動の発生

採点基準(配点 4点)

正確性(内容)(4点)

  • 4: 「エリア間の害獣移動の発生」と完全に一致している、あるいは同等の内容である。
  • 2: 意味は通じるが、一部不足や表記揺れがある。
  • 0: 不適切な解答。

解説

害獣タスクが通知を行う契機に関する問題です。

害獣タスクは、対象の害獣が緩衝エリアから追い返しエリアへ移動するなど、エリアの境界を越えたことを検知した際にメインタスクへ通知を行う必要があります。

高得点のポイント

  • エリア間の害獣移動が発生したことを的確に抜き出しているか

(5)

害獣タスクについて答えよ。
表3中の空欄 cに入れる適切な内容を15字以内で答えよ。

模範解答

害獣がいるエリア

採点基準(配点 4点)

正確性(内容)(4点)

  • 4: 「害獣がいるエリア」と完全に一致している、あるいは同等の内容である。
  • 2: 意味は通じるが、一部不足や表記揺れがある。
  • 0: 不適切な解答。

解説

害獣タスクが管理・把握すべき情報に関する問題です。

害獣が現在どのエリア(緩衝エリア、追い返しエリアなど)に位置しているかの情報は、威嚇や通電制御などの適切なアクションを決定するために不可欠です。

高得点のポイント

  • 害獣がいるエリア(または現在位置のエリア)という語句が正確に抜き出されているか

(6)

害獣タスクについて答えよ。
表3中の空欄 dに入れる適切な内容を15字以内で答えよ。

模範解答

害獣の獣種及び大きさ

採点基準(配点 4点)

正確性(内容)(4点)

  • 4: 「害獣の獣種及び大きさ」と完全に一致している、あるいは同等の内容である。
  • 2: 意味は通じるが、一部不足や表記揺れがある(例:「獣種」のみなど)。
  • 0: 不適切な解答。

解説

害獣タスクが保持する害獣の属性情報に関する問題です。

害獣に対する適切な威嚇方法や通電の要否は、対象がイノシシかシカかといった獣種や、その大きさによって異なります。

高得点のポイント

  • 害獣の獣種及び大きさという情報要件を正確に抜き出しているか

(7)

害獣タスクについて答えよ。
表3中の下線(ウ)を保存する目的を30字以内で答えよ。

模範解答

害獣がある位置に一定時間留まったことを判断するため

採点基準(配点 4点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: 害獣がある位置(ユニット内など)に「一定時間留まったこと」を判断する目的が明示されている。
  • 1: 「留まったことの確認」など、主旨は含まれるが表現が不十分。
  • 0: 題意に沿った要件が示されていない。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 文字数制限内に収まり、文脈として自然で明確な記述となっている。
  • 1: 文脈にやや不自然な点があるが、意味は通じる。
  • 0: 文章として破綻している、または論理的でない。

解説

特定の位置情報を一定期間保存する目的を問う問題です。

害獣が捕獲ユニット内にただ通過しただけなのか、留まって捕獲条件を満たしているのかを判定するためには、過去からの位置情報を蓄積し、一定時間同じ場所に留まったことを確認する必要があります。

高得点のポイント

  • 一定時間留まったことを判断するという目的が明示されているか
  • 捕獲判定などの文脈に沿って論理的に構成されているか

(8)

害獣タスクについて答えよ。
表3中の下線(エ)の処理は,地図情報に格納された,ある情報を参照する。その情報名を答えよ。

模範解答

エリア境界線位置

採点基準(配点 8点)

知識・理解度(内容)(4点)

  • 4: 「エリア境界線位置」という特定の情報名が正確に示されている。
  • 2: 「境界線」など部分的な情報にとどまる。
  • 0: 題意に沿った要件が示されていない。

論理性(構造)(4点)

  • 4: 情報名として簡潔かつ的確に表現されている。
  • 2: やや冗長だが意味は通じる表現となっている。
  • 0: 情報名として成立していない。

解説

害獣がエリア間を移動したことを判定するために参照する地図情報に関する問題です。

位置座標データからエリアの遷移を判定するには、地図上に定義された各エリアの境界線の位置情報と、害獣の現在位置を照らし合わせる処理が必要となります。

高得点のポイント

  • 地図情報に含まれる エリア境界線位置 という具体的なデータ名が挙げられているか
  • 名称として的確で論理的な表現となっているか

(9)

ユニット管理タスクについて答えよ。
表3中の空欄 eに入れるタスク名を全て答えよ。

模範解答

メインタスク,威嚇電撃タスク

採点基準(配点 8点)

正確性(内容)(8点)

  • 8: 「メインタスク」と「威嚇電撃タスク」の両方が正しく抜き出されている。
  • 4: いずれか一方のみが記載されている。
  • 0: 不適切な解答。

解説

ユニット管理タスクからの通知先タスクを特定する問題です。

ユニットで検知された事象(例:柵接触など)は、システム全体を統括する メインタスク と、具体的な防護アクションを実行する 威嚇電撃タスク の双方に通知され、それぞれの処理へと連携されます。

高得点のポイント

  • メインタスク威嚇電撃タスク の両方が不足なく記載されているか

(10)

ユニット管理タスクについて答えよ。
表3中の下線(オ)の処理の結果によって,制御装置から送信される構成要素間のメッセージ名を答えよ。

模範解答

柵接触検知通知

採点基準(配点 8点)

知識・理解度(内容)(4点)

  • 4: メッセージ名として「柵接触検知通知」の要素を完全に含んでいる。
  • 2: 意味は通じるが一部の要素が不足している。
  • 0: 題意に沿った要件が示されていない。

論理性(構造)(4点)

  • 4: システム仕様のメッセージ名として正確に表現されている。
  • 2: 表記に揺れがあるが、意図は読み取れる。
  • 0: メッセージ名として不適切な表現である。

解説

特定の処理結果として送信されるメッセージ名を答える問題です。

ユニット側から物理的な接触信号を受け取ったユニット管理タスクは、その情報をシステム内で利用可能なメッセージ形式に変換し、他タスクへ通知します。該当するメッセージは 柵接触検知通知 です。

高得点のポイント

  • 仕様に基づき 柵接触検知通知 という正確なメッセージ名が記述されているか

設問2(3)(b)は,正答率が低かった。構成要素間で送受信するメッセージを,メッセージシーケンス図に表すなど,図を用いた検討を行うことで正答を導き出してほしい。

設問3

(1)

タスクの変更に関する次の記述中の空欄 kに入れる適切な内容を,15字以内で答えよ。

不審者監視機能の追加は,既存の害獣タスクを変更するか,不審者の追跡処理を行う不審者タスクを新たに追加することで対応できる。害獣タスクを変更する場合, k として扱うことで,制御装置の制御部のタスク全体の変更を,新たに不審者タスクを追加する場合よりも少なくすることができる。

模範解答

不審者を監視対象の害獣

採点基準(配点 4点)

正確性(内容)(4点)

  • 4: 「不審者を監視対象の害獣」と完全に一致している、あるいは同等の内容である。
  • 2: 意味は通じるが、一部不足や表記揺れがある。
  • 0: 不適切な解答。

解説

不審者監視機能を追加する際の、既存アーキテクチャの活用方法に関する問題です。

システムに対する変更を最小限に抑えるためには、新たに不審者専用のタスク群を構築するのではなく、不審者をシステム上の一つの「監視対象の害獣」として仮想的に扱う設計(抽象化)が有効です。

高得点のポイント

  • 不審者を監視対象の害獣 として扱う旨が正確に抜き出されているか

(2)

害獣識別装置で不審者も識別するために,害獣識別装置に追加で必要とする情報を25字以内で答えよ。

模範解答

不審者も識別できる学習済みモデルデータ

採点基準(配点 4点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: 「不審者も識別できる」ことと「学習済みモデルデータ」の両方の要素が含まれている。
  • 1: いずれか一方の要素のみが含まれている。
  • 0: 題意に沿った要件が示されていない。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 文字数制限内に収まり、文脈として自然で明確な記述となっている。
  • 1: 文脈にやや不自然な点があるが、意味は通じる。
  • 0: 文章として破綻している、または論理的でない。

解説

AIや画像認識装置に対する要件追加に関する問題です。

これまでイノシシやシカなどを識別していた害獣識別装置で人間の不審者を識別させるには、識別アルゴリズムが不審者の特徴を認識できるように、不審者を含めた学習済みモデルデータへとアップデートする必要があります。

高得点のポイント

  • 不審者も識別できる という機能要件が含まれているか
  • 学習済みモデルデータ(または推論用データ)という技術的要素が明記されているか

(3)

表4中の空欄 jに入れる適切な字句を15字以内で答えよ。

模範解答

獣種が不審者の害獣情報

採点基準(配点 4点)

正確性(内容)(4点)

  • 4: 「獣種が不審者の害獣情報」と完全に一致している、あるいは同等の内容である。
  • 2: 意味は通じるが、一部不足や表記揺れがある。
  • 0: 不適切な解答。

解説

不審者を検知した際に送出される情報の種類に関する問題です。

不審者をシステム上「害獣」として扱うアーキテクチャとした場合、害獣識別装置からは「獣種が不審者である」という属性を持った害獣情報が制御装置へ通知されることになります。

高得点のポイント

  • 獣種が不審者 である害獣情報という文脈に合う字句が正確に抜き出されているか

(4)

表4中の下線(カ)において,通電の開始を威嚇電撃タスクに通知する場合の条件の一つ目を35字以内で答えよ。

模範解答

全ての害獣タスクから通電禁止依頼を受けていない。

採点基準(配点 4点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: 「全ての害獣タスク」から「通電禁止依頼を受けていない」ことが正しく明記されている。
  • 1: 主旨は合っているが「全て」などの条件範囲が不明確である。
  • 0: 題意に沿った要件が示されていない。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 文字数制限内に収まり、文脈として自然で明確な記述となっている。
  • 1: 文脈にやや不自然な点があるが、意味は通じる。
  • 0: 文章として破綻している、または論理的でない。

解説

人間(不審者など)に対する通電の安全制御に関する問題です。

電気柵への通電を行う際、最も優先すべきは人間の安全です。そのため、複数の害獣タスクが動作している中で、一つでも人間(不審者)を検知して「通電禁止」を依頼している場合は通電してはなりません。通電開始の前提として、全ての害獣タスクから通電禁止依頼を受けていない ことが必須条件となります。

高得点のポイント

  • 全ての害獣タスク に対して条件を確認しているか
  • 通電禁止依頼を受けていない ことを明確に記述できているか

(5)

表4中の下線(カ)において,通電の開始を威嚇電撃タスクに通知する場合の条件の二つ目を35字以内で答えよ。

模範解答

一つ以上の害獣タスクから通電の開始の通電制御依頼がある。

採点基準(配点 4点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: 「一つ以上の害獣タスク」から「通電制御依頼がある」ことが正しく明記されている。
  • 1: 主旨は合っているが「一つ以上」などの条件が不明確である。
  • 0: 題意に沿った要件が示されていない。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 文字数制限内に収まり、文脈として自然で明確な記述となっている。
  • 1: 文脈にやや不自然な点があるが、意味は通じる。
  • 0: 文章として破綻している、または論理的でない。

解説

通電を実行するための積極的なトリガー条件に関する問題です。

安全条件(通電禁止依頼がないこと)を満たした上で、実際に通電を行うには、電気柵の防護対象となる害獣が通電エリアに侵入している必要があります。すなわち、稼働中の害獣タスクのうち、一つ以上から通電開始の通電制御依頼が出されている ことが求められます。

高得点のポイント

  • 一つ以上の害獣タスク がトリガーとなることを表現しているか
  • 通電の開始の通電制御依頼(または通電指示)があることを明記しているか

設問3(4)は,正答率がやや低かった。害獣とみなした不審者,イノシシ及びシカの動作に対する処理を,タスクの処理やタスク間の通知レベルで理解できていない解答が多かった。害獣の動作とタスクの処理の対応をよく理解して解答してほしい。