令和4年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後I 問2 VRFを用いた経路制御とSGWサービス導入に伴うIPsec網の更改
学習ガイド
クラウド移行とテレワーク環境の整備に伴い、セキュアゲートウェイサービスを導入する企業のネットワーク変更を追う問題です。ルータ内を仮想分割するVRFのルーティング設計や、IKEv2を用いたトンネルモードIPsecのネゴシエーション手順、クラウド中継に伴う遅延やアクセス制御の注意点が問われます。表1・表2のVRF経路情報からパケットの転送先を特定し、SAの確立シーケンスと照らし合わせて解答を導きます。
この記事で押さえる論点
- VRFによって単一ルータ内で複数のルーティングテーブルを分離する仕組みを説明できる
- 動的IPアドレス環境において対向ルータへデフォルトルートを設定する理由を述べられる
- IKEv2におけるIKE SAとChild SAの役割および確立手順を説明できる
- SGWサービス経由時の固定グローバルIPアドレスの専用性と遅延への影響を述べられる
出題情報
- 出題
- 2022(R4)春 ネットワークスペシャリスト 午後I 問2
- 配点
- 50点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
クラウドサービスの利用が増加し,また,テレワーク環境を導入するに当たり,現行のネットワーク構成を変更して,セキュアゲートウェイサービスを導入する企業が増えている。利用形態に応じた情報セキュリティ対策は,多くの企業において重要な課題である。このような状況を基に,本問では,セキュアゲートウェイサービスの導入を事例に取り上げ,IPsec VPNを利用した接続,及びセキュアゲートウェイサービス導入後の通信制御を解説した。VRFを用いたネットワーク設計と,IPsec VPNの設計・構築,セキュアゲートウェイサービス導入後の通信制御を題材に,受験者が修得した技術・経験が,ネットワーク及び情報セキュリティの設計・構築の実務で活用できる水準かどうかを問う。
問2では,セキュアゲートウェイサービスの導入を題材に,VRFを用いたネットワーク設計,IPsec VPN,IKEv2及びESPについての知識,セキュアゲートウェイサービスとの接続について出題した。全体として正答率は平均的であった。
問題本文
問2 セキュアゲートウェイサービスの導入に関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。
N社は,国内に本社及び一つの営業所をもつ,中堅の機械部品メーカである。従業員は,N社が配布するPCを本社又は営業所のLANに接続して,本社のサーバ,及びSaaSとして提供されるP社の営業支援サービスを利用して業務を行っている。
N社は,クラウドサービスの利用を進め,従業員のテレワーク環境を整備することにした。N社の情報システム部は,本社のオンプレミスのサーバからQ社のPaaSへの移行と,Q社のセキュアゲートウェイサービス(以下,SGWサービスという)の導入を検討することになった。SGWサービスは,PCがインターネット上のサイトに接続する際に,送受信するパケットを本サービス経由とすることによって,ファイアウォール機能などの情報セキュリティ機能を提供する。
〔現行のネットワーク構成〕
N社の現行のネットワーク構成を図1に示す。

図の説明テキスト
図1 N社の現行のネットワーク構成(抜粋)
【クラウド・インターネット側】
- 「P社営業支援サービス」が「インターネット」を経由して本社のFWと接続されている。
【本社】 - FW(ファイアウォール)の下にL3SW(レイヤ3スイッチ)が接続されている。
- L3SWの下にはL2SW(下にサーバ)、別のL2SW(下にPC)、IPsecルータが接続されている。
【営業所】 - IPsecルータがあり、その下にL2SW(PCが接続)が接続されている。
【拠点間接続】 - 本社のIPsecルータと営業所のIPsecルータが点線で接続されている。
注記: FW:ファイアウォール、L2SW:レイヤ2スイッチ、L3SW:レイヤ3スイッチ、IPsecルータ:IPsec VPNルータ
N社の現行システムの概要を次に示す。
- 本社及び営業所のLANは,IPsecルータを利用したIPsec VPNで接続している。
- 本社及び営業所のIPsecルータは,IPsec VPNを確立したときに有効化される仮想インタフェース(以下,トンネルIFという)を利用して相互に接続する。
- 営業所のPCからP社営業支援サービス宛てのパケットは,営業所のIPsecルータ,本社のIPsecルータ,L3SW,FW及びインターネットを経由してP社営業支援サービスに送信される。
- FWは,パケットフィルタリングによるアクセス制御と,NAPTによるIPアドレスの変換を行う。
- P社営業支援サービスでは,①特定のIPアドレスから送信されたパケットだけを許可するアクセス制御を設定して,本社のFWを経由しない経路からの接続を制限している。
本社及び営業所のIPsecルータは,LAN及びインターネットのそれぞれでデフォルトルートを使用するために,VRF(Virtual Routing and Forwarding)を利用して二つのaテーブルを保持し,経路情報をVRFの識別子(以下,VRF識別子という)によって識別する。ネットワーク機器のVRFとインタフェース情報を表1に,ネットワーク機器に設定しているVRFと経路情報を表2に示す。

図の説明テキスト
表1 ネットワーク機器のVRFとインタフェース情報(抜粋)
| 拠点 | 機器名 | VRF識別子 | インタフェース | IPアドレス | サブネットマスク | 接続先 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 本社 | FW | - | INT-IF 1) | a.b.c.d 3) | (省略) | ISPのルータ |
| LAN-IF 2) | 172.16.0.1 | 255.255.255.0 | L3SW | |||
| IPsecルータ | 65000:1 | INT-IF 1) | s.t.u.v 3) | (省略) | ISPのルータ | |
| 65000:2 | LAN-IF 2) | 172.17.0.1 | 255.255.255.0 | L3SW | ||
| トンネルIF | (省略) | (省略) | 営業所のIPsecルータ | |||
| 営業所 | IPsecルータ | 65000:1 | INT-IF 1) | w.x.y.z 4) | (省略) | ISPのルータ |
| 65000:2 | LAN-IF 2) | 172.17.1.1 | 255.255.255.0 | L2SW | ||
| トンネルIF | (省略) | (省略) | 本社のIPsecルータ |
注1) INT-IFは,インターネットに接続するインタフェースである。
注2) LAN-IFは,本社又は営業所のLANに接続するインタフェースである。
注3) a.b.c.d及びs.t.u.vは,固定のグローバルIPアドレスである。
注4) w.x.y.zは,ISPから割り当てられた動的なグローバルIPアドレスである。

図の説明テキスト
表2 ネットワーク機器に設定している VRF と経路情報 (抜粋)
| 拠点 | 機器名 | VRF識別子 | 宛先ネットワーク | ネクストホップとなる装置又はインタフェース | 経路制御方式 |
|---|---|---|---|---|---|
| 本社 | FW | - | 0.0.0.0/0 | ISPのルータ | 静的経路制御 |
| 172.17.1.0/24(営業所のLAN) | 本社のL3SW | 動的経路制御 | |||
| IPsecルータ | 65000:1 | 0.0.0.0/0 | ISPのルータ | 静的経路制御 | |
| 65000:2 | 0.0.0.0/0 | b | 動的経路制御 | ||
| 172.17.1.0/24(営業所のLAN) | トンネルIF | c | |||
| 営業所 | IPsecルータ | 65000:1 | 0.0.0.0/0 | ISPのルータ | 静的経路制御 |
| 65000:2 | 0.0.0.0/0 | トンネルIF | d |
N社のネットワーク機器に設定している経路制御を,次に示す。
- 本社のFW,L3SW及びIPsecルータには,OSPFによる経路制御を稼働させるための設定を行っている。
- 本社のFWには,OSPFにデフォルトルートを配布する設定を行っている。
- ②本社のIPsecルータには,営業所のIPsecルータとIPsec VPNを確立するために,静的なデフォルトルートを設定している。
- 本社及び営業所のIPsecルータには,営業所のPCが通信するパケットをIPsec VPNを介して転送するために,トンネルIFをネクストホップとした静的経路を設定している。
- 本社のIPsecルータには,OSPFに③静的経路を再配布する設定を行っている。
〔新規ネットワークの検討〕
Q社のPaaS及びSGWサービスの導入は,N社の情報システム部のR主任が担当することになった。R主任が考えた新規ネットワーク構成と通信の流れを図2に示す。

図の説明テキスト
図2 R主任が考えた新規ネットワーク構成と通信の流れ(抜粋)
構成要素と接続関係:
- 上部(クラウド・サービス群):
- Q社SGWサービス: 「POP」と「FW機能」を含む。
- Q社PaaS
- P社営業支援サービス
- 中央:
- インターネット
- 下部(各拠点):
- 本社: 「新IPsecルータ」と「PC」を含む。
- 営業所: 「新IPsecルータ」と「PC」を含む。
- テレワーク拠点: 「TPC」を含む。
通信の流れ:
- 本社のPC → 新IPsecルータ → POP → FW機能 → Q社PaaS
- 本社のPC → 新IPsecルータ → POP → FW機能 → インターネットを経由して P社営業支援サービス
- テレワーク拠点のTPC → POP → FW機能 → Q社PaaS
- テレワーク拠点のTPC → POP → FW機能 → インターネットを経由して P社営業支援サービス
注記: - TPC: 従業員がテレワーク拠点で利用するPC
- POP: Point of Presence
R主任が考えた新規ネットワーク構成の概要を次に示す。
- 本社のサーバ上で稼働するシステムを,Q社PaaSへ移行する。
- Q社SGWサービスを利用するために,本社及び営業所に導入する新IPsecルータ,並びにTPCは,Q社SGWサービスのPOPという接続点にトンネルモードのIPsec VPNを用いて接続する。
- PC及びTPCからP社営業支援サービス宛てのパケットは,Q社SGWサービスのPOPとFW機能及びインターネットを経由してP社営業支援サービスに送信される。
- Q社SGWサービスのFW機能は,パケットフィルタリングによるアクセス制御と,NAPTによるIPアドレスの変換を行う。
R主任は,POPとの接続に利用するIPsec VPNについて,検討した。
IPsec VPNには,IKEバージョン2と,ESPのプロトコルを用いる。新IPsecルータ及びTPCとPOPは,IKE SAを確立するために必要な,暗号化アルゴリズム,疑似ランダム関数,完全性アルゴリズム及びDiffie-Hellmanグループ番号を,ネゴシエーションして決定し,IKE SAを確立する。次に,新IPsecルータ及びTPCとPOPは,認証及びChild SAを確立するために必要な情報を,IKE SAを介してネゴシエーションして決定し,Child SAを確立する。
新 IPsecルータ及び TPC は,IPsec VPNを介して転送する必要があるパケットを,長さを調整する ESPトレーラを附加して e 化する。次に,新しい f ヘッダと, g SA を識別するための ESPヘッダ及び ESP認証データを付加して,POP宛てに送信する。
R主任は,IPsec VPNの構成に用いるパラメータについて,現行の設計と比較検討した。検討したパラメータのうち,鍵の生成に用いるアルゴリズムと h を定めている Diffie-Hellmanグループ番号には,現行では 1を用いているが,POPとの接続では 1よりも h の長い 14を用いた方が良いと考えた。
〔接続テスト〕
Q社の PaaS 及び SGW サービスの導入を検討するに当たって,Q社からテスト環境を提供してもらい,本社,営業所及びテレワーク拠点から,Q社 PaaS 及び P社営業支援サービスを利用する接続テストを行うことになった。
R主任は,接続テストを行う準備として,P社営業支援サービスに設定しているアクセス制御を変更する必要があると考えた。P社営業支援サービスへの接続を許可する IPアドレスには,Q社 SGW サービスの FW 機能での NAPT のために,Q社 SGW サービスから割当てを受けた固定のグローバル IPアドレスを設定する。R主任は,Q社 SGW サービスが N社以外にも提供されていると考えて,④NAPT のために Q社 SGW サービスから割当てを受けたグローバル IPアドレスのサービス仕様を,Q社に確認した。
テスト環境を構築した R主任は,Q社 PaaS 及び⑤P社営業支援サービスの応答時間の測定を確認項目の一つとして,接続テストを実施した。
R主任は,N社の幹部に接続テストの結果に問題がなかったことを報告し,Q社の PaaS 及び SGW サービスの導入が承認された。
設問と解答・解説
設問1
〔現行のネットワーク構成〕について,(1)〜(6)に答えよ。
本文中の下線①の IPアドレスを,表1中の IPアドレスで答えよ。
模範解答
a.b.c.d
採点基準
- 3点: 指定された字句と完全に一致している。
- 1点: 指定された字句との軽微な表記揺れがあるが、意味合いとして正解と判断できる。
- 0点: 指定された字句と一致せず、不正解である。
解説
設問の解説
本設問は、現行のネットワーク構成において割り当てられるIPアドレスを特定する問題です。
- 問題のコンテキストから、対応する機器のインタフェースに適切なIPアドレスを付与する必要があります。
- 表1に記載されているIPアドレスの中から、ネットワーク構成図やルーティングの要件に合致するものを選択します。
高得点のポイント
- 表1の情報を正確に読み取り、指定された書式(表中のIPアドレス)で解答していること。
本文中の a に入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
ルーティング
採点基準
- 3点: 指定された字句と完全に一致している。
- 1点: 指定された字句との軽微な表記揺れがあるが、意味合いとして正解と判断できる。
- 0点: 指定された字句と一致せず、不正解である。
解説
設問の解説
ネットワークの基本的な転送動作に関する設問です。
- ルータやL3スイッチがパケットの宛先IPアドレスを確認し、最適な経路を選択してパケットを転送する動作を ルーティング(経路制御)と呼びます。
- 本文の文脈において、パケットの転送先を決定する処理を指すため、「ルーティング」が適切な字句となります。
高得点のポイント
- ネットワークの基本用語である「ルーティング」を正確に導き出せること。
表2中の b に入れる適切な字句を,表2中の字句を用いて答えよ。
模範解答
本社のL3SW
採点基準
- 3点: 指定された字句と完全に一致している。
- 1点: 指定された字句との軽微な表記揺れがあるが、意味合いとして正解と判断できる。
- 0点: 指定された字句と一致せず、不正解である。
解説
設問の解説
パケットの経路選択において、中継点となる機器を特定する設問です。
- 現行のネットワーク構成において、特定の宛先へ通信を送る際のネクストホップ(次の転送先)を把握する必要があります。
- 構成図と表2のルーティング情報を照らし合わせると、該当する経路の転送先は 本社のL3SW となります。
高得点のポイント
- 表2に記載されている字句を用いて、正確に「本社のL3SW」と解答していること。
表2中の c に入れる適切な字句を,表2中の字句を用いて答えよ。
模範解答
静的経路制御
採点基準
- 3点: 指定された字句と完全に一致している。
- 1点: 指定された字句との軽微な表記揺れがあるが、意味合いとして正解と判断できる。
- 0点: 指定された字句と一致せず、不正解である。
解説
設問の解説
経路情報の学習・設定方法に関する設問です。
- 経路制御には、ルーティングプロトコルを用いて動的に経路情報を交換する「動的経路制御」と、管理者が手動で固定の経路を設定する 静的経路制御(スタティックルーティング)があります。
- 本文の要件や表2の記述から、該当箇所は手動で設定される経路であるため、「静的経路制御」が当てはまります。
高得点のポイント
- 表2中の字句を用いて正確に「静的経路制御」と解答していること。
表2中の d に入れる適切な字句を,表2中の字句を用いて答えよ。
模範解答
静的経路制御
採点基準
- 3点: 指定された字句と完全に一致している。
- 1点: 指定された字句との軽微な表記揺れがあるが、意味合いとして正解と判断できる。
- 0点: 指定された字句と一致せず、不正解である。
解説
設問の解説
前問と同様に、経路情報の学習・設定方法を問う設問です。
- 特定のネットワークセグメントに対するルーティングにおいて、固定のネクストホップを指定していることから、ここでも 静的経路制御 が使用されています。
- 構成変更や障害時の自動切り替えが不要な環境では、設定がシンプルな静的経路制御が採用されることが一般的です。
高得点のポイント
- 経路制御の方式を理解し、表2中の字句を用いて正確に解答していること。
“本社のIPsecルータ”が,営業所のPCからP社営業支援サービス宛てのパケットを転送するときに選択する経路は,表2中のどれか。VRF識別子を答えよ。
模範解答
65000:2
採点基準
- 2点: 指定された字句と完全に一致している。
- 1点: 指定された字句との軽微な表記揺れがあるが、意味合いとして正解と判断できる。
- 0点: 指定された字句と一致せず、不正解である。
解説
設問の解説
VRF(Virtual Routing and Forwarding)を用いたネットワークにおける経路選択の問題です。
- VRFは、1つの物理ルータ内に独立した複数の仮想ルーティングテーブルを保持する技術です。
- 営業所のPCからP社営業支援サービス宛ての通信がどの仮想ルーティングテーブルに従うかを構成図や要件から読み取ります。
- 該当する通信を制御するVRF識別子は 65000:2 となります。
高得点のポイント
- VRFの仕組みを理解し、該当するVRF識別子を正確に特定していること。
“本社のIPsecルータ”が,営業所のPCからP社営業支援サービス宛てのパケットを転送するときに選択する経路は,表2中のどれか。宛先ネットワークを答えよ。
模範解答
0.0.0.0/0
採点基準
- 2点: 指定された字句と完全に一致している。
- 1点: 指定された字句との軽微な表記揺れがあるが、意味合いとして正解と判断できる。
- 0点: 指定された字句と一致せず、不正解である。
解説
設問の解説
VRF環境下で選択される経路の宛先ネットワークを特定する問題です。
- 営業所のPCから外部のクラウドサービス(P社営業支援サービス)宛ての通信は、特定の内部ネットワーク宛てではないため、デフォルトルートにマッチします。
- デフォルトルートの宛先ネットワークは と表記されます。
高得点のポイント
- 未知の宛先に対する経路として、デフォルトルートのネットワークアドレスとサブネットマスクの表記()を正確に解答していること。
本文中の下線②について,デフォルトルート(宛先ネットワーク 0.0.0.0/0 の経路)が必要になる理由を,40字以内で述べよ。
模範解答
ISPが割り当てる営業所のIPsecルータのIPアドレスが動的だから
採点基準
- 2点: 「ISPから割り当てられるIPアドレスが動的であること」が明確に示されている。
- 1点: IPアドレスについて言及しているが、動的であることについての記述が不十分である。
- 0点: 内容が不適切であるか、無回答。
- 2点: 動的IPアドレスとデフォルトルートの必要性の因果関係が論理的に破綻なく構成されている。
- 1点: 理由としての構成に一部不明瞭な点がある。
- 0点: 理由として成立していない。
解説
設問の解説
営業所のIPsecルータにおいて、デフォルトルート()が必要となる理由を記述する設問です。
- 動的IPアドレスの割り当て: 営業所のIPsecルータはインターネットに接続するためのグローバルIPアドレスをISPから動的に取得します。
- 経路制御への影響: インターネット側のIPアドレスが変動する可能性があるため、特定の固定IPアドレスをネクストホップとする静的経路制御を設定することができません。
- 解決策: そのため、インターネット宛ての通信を転送するためにはデフォルトルートを利用する必要があります。公式の講評にある通り、問題文中に動的割り当てに関する明記があるため、これを根拠とします。
高得点のポイント
- ISPから割り当てられるIPアドレスが動的であること を明記している。
- IPアドレスが動的であるという理由が、経路制御(デフォルトルートの必要性)にどう影響するかが論理的に説明されている。
本文中の下線③の宛先ネットワークを,表2中の字句を用いて答えよ。
模範解答
172.17.1.0/24
営業所のLAN
採点基準
- 3点: 指定された字句と完全に一致している。
- 1点: 指定された字句との軽微な表記揺れがあるが、意味合いとして正解と判断できる。
- 0点: 指定された字句と一致せず、不正解である。
解説
設問の解説
ルーティングテーブルにおける宛先ネットワークを特定する設問です。
- 下線③が示す通信の目的や対象セグメントを構成図と照らし合わせます。
- 該当する宛先ネットワークは、営業所内のクライアントが属するセグメントであり、表2の表記に従うと または 営業所のLAN が正解となります。
高得点のポイント
- 表2に記載されている字句を用いて、宛先ネットワークを正確に特定していること。
設問1(5)は,正答率が低かった。営業所のIPsecルータにはISPから動的なグローバルIPアドレスが割り当てられるので,インターネットに接続するインタフェースのIPアドレスが変わる可能性がある。本文中に明記されているので,読み取ってほしい。
設問2
〔新規ネットワークの検討〕について,(1),(2)に答えよ。
本文中の e に入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
暗号
採点基準
- 3点: 指定された字句と完全に一致している。
- 1点: 指定された字句との軽微な表記揺れがあるが、意味合いとして正解と判断できる。
- 0点: 指定された字句と一致せず、不正解である。
解説
設問の解説
IPsecのセキュリティプロトコルに関する用語問題です。
- IPsec VPNにおいて、ESP(Encapsulating Security Payload)はパケットの 暗号 化と認証(改ざん検知)を提供する主要なプロトコルです。
- IKE(Internet Key Exchange)のネゴシエーションを通じて、使用する暗号化アルゴリズムや鍵の情報が合意されます。
高得点のポイント
- IPsec/ESPの基本機能として「暗号」というキーワードを正確に解答していること。
本文中の f に入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
IP
採点基準
- 3点: 指定された字句と完全に一致している。
- 1点: 指定された字句との軽微な表記揺れがあるが、意味合いとして正解と判断できる。
- 0点: 指定された字句と一致せず、不正解である。
解説
設問の解説
IPsec通信の対象に関する用語問題です。
- IPsecはネットワーク層(レイヤ3)で動作するセキュリティプロトコルであり、IP パケット全体またはペイロードを暗号化・カプセル化して保護します。
- トンネルモードやトランスポートモードにおいて、保護の対象となるのはIPプロトコルのデータです。
高得点のポイント
- IPsecが保護するプロトコル階層を理解し、「IP」と正確に解答していること。
本文中の g に入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
Child
採点基準
- 3点: 指定された字句と完全に一致している。
- 1点: 指定された字句との軽微な表記揺れがあるが、意味合いとして正解と判断できる。
- 0点: 指定された字句と一致せず、不正解である。
解説
設問の解説
IKEv2におけるSA(Security Association)確立のフェーズに関する設問です。
- IKEv2では、まず通信拠点の認証と鍵交換を行って安全な通信路(IKE SA)を確立します。
- その後、実際のIPsecデータ通信を保護するためのSAである Child SA(または IPsec SA)をネゴシエーションして確立します。
高得点のポイント
- IKEv2のSA確立プロセスにおける用語「Child」を正確に導き出せること。
本文中の h に入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
鍵長
採点基準
- 3点: 指定された字句と完全に一致している。
- 1点: 指定された字句との軽微な表記揺れがあるが、意味合いとして正解と判断できる。
- 0点: 指定された字句と一致せず、不正解である。
POPとのIPsec VPNを確立できない場合に,失敗しているネゴシエーションを特定するためには,何の状態を確認するべきか。本文中の字句を用いて答えよ。(1つ目)
模範解答
IKE SA
Child SA
採点基準
- 3点: 「IKE SA」または「Child SA」のいずれか一方と正確に一致している。
- 1点: いずれかの字句との軽微な表記揺れがあるが、意味合いとして正解と判断できる。
- 0点: いずれの字句とも一致せず、不正解である。
POPとのIPsec VPNを確立できない場合に,失敗しているネゴシエーションを特定するためには,何の状態を確認するべきか。本文中の字句を用いて答えよ。(2つ目)
模範解答
IKE SA
Child SA
採点基準
- 3点: 1つ目の欄と異なるもう一方の字句(1つ目が「IKE SA」なら「Child SA」、1つ目が「Child SA」なら「IKE SA」)と正確に一致している。
- 1点: 1つ目の欄と異なるもう一方の字句との軽微な表記揺れがあるが、意味合いとして正解と判断できる。
- 0点: 1つ目の欄と同じ内容を答えている、またはいずれの字句とも一致せず不正解である。
設問2(1)は,正答率がやや低かった。IPsecの用語やVPN確立までの動作について出題した。IPsec VPNを利用する場合は,IKEのバージョンやDiffie-Hellmanグループ番号などを選択できるので,正しく理解してほしい。
設問3
〔接続テスト〕について,(1),(2)に答えよ。
本文中の下線④について,情報セキュリティの観点でR主任が確認した内容を,20字以内で答えよ。
模範解答
N社専用のIPアドレスであること
採点基準
- 2点: SGWサービスから送信されるIPアドレスがN社専用(自社専用)であることが明確に記述されている。
- 1点: IPアドレスについて言及しているが、専用性についての記述が不足している。
- 0点: 内容が不適切であるか、無回答。
- 1点: 情報セキュリティ上の確認内容として意味が通る自然な文章で構成されている。
- 0点: 文章として成立していない。
解説
設問の解説
セキュアゲートウェイ(SGW)サービスを経由する際の情報セキュリティ上の懸念点を確認する設問です。
- 外部のクラウドサービス(P社営業支援サービス)に対してアクセス制御を行う際、一般的に送信元のIPアドレスが利用されます。
- SGWサービスを経由すると、アクセス元のIPアドレスはSGWサービスのものに変換されます。
- もしこのIPアドレスが他のSGWサービス利用者と共有されていた場合、他社の通信まで許可してしまうリスクがあるため、N社専用のIPアドレス が割り当てられていることを確認する必要があります。
高得点のポイント
- SGWサービスから送信される際のIPアドレスが N社専用(あるいは自社専用・固定)であることを指摘していること。
- アクセス制御の有効性を担保するための要件が論理的に説明されていること。
本文中の下線⑤について,P社営業支援サービスの応答時間が,現行よりも長くなると考えられる要因を30字以内で答えよ。
模範解答
Q社SGWサービスの経由によって発生する遅延
採点基準
- 2点: Q社SGWサービスを経由することによる「遅延」が発生することが明確に記述されている。
- 1点: 経由することには言及しているが、遅延という結果の記述が不足している。
- 0点: 内容が不適切であるか、無回答。
- 1点: 応答時間が長くなる要因として意味が通る自然な文章で構成されている。
- 0点: 文章として成立していない。
解説
設問の解説
セキュアゲートウェイ(SGW)サービス導入に伴うパフォーマンス(応答時間)への影響要因を問う設問です。
- 従来は直接インターネットへ通信していた経路が、SGWサービスを中継する構成に変更されます。
- これにより、物理的なネットワーク経路が長くなるだけでなく、SGWサービス内部でのトラフィック検査やカプセル化処理によるオーバヘッドが発生します。
- その結果、Q社SGWサービスの経由によって発生する遅延 が追加され、応答時間が延びる要因となります。公式の講評でも、サービス経由による遅延への理解が求められています。
高得点のポイント
- 新たな中継点として Q社SGWサービスを経由すること に言及していること。
- 経由することによって通信に 遅延 が発生することを明記していること。
設問3(2)は,正答率がやや高かった。セキュアゲートウェイサービスを経由しており,経路が長くなったり,サービス内で遅延が発生したりする可能性があることを,理解できていることがうかがわれた。