令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午後II 問2 ヒューマンエラー起因障害の問題管理(論文)

マネジメントサービスマネジメント

この問題は2024(R6)春 ITサービスマネージャ 午後IIに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

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学習ガイド

運用担当者のヒューマンエラーに起因する障害の再発防止を、問題管理の一環として論じる問題です。解答例は公表されないので、講評の分析から合格答案の水準を読み取ります。講評は、根本原因を「不注意、知識不足、思い込み、慣れ、過労」で済ませる答案が多かったと明確に批判しており、個人の資質ではなく手順・チェック・環境という仕組みの欠陥まで掘り下げた分析が求められています。この掘り下げ方を中心に解説します。

この記事で押さえる論点

  • ヒューマンエラーに起因した障害と影響を具体的に描写する
  • 根本原因分析を「不注意」で止めずに仕組みの欠陥まで掘り下げる
  • 組織全体のエラー傾向分析と課題設定へ展開する

問題本文

サービス運用におけるヒューマンエラーに起因する障害の管理について

ITサービスの障害は企業活動に大きな影響を及ぼす。サービス運用の現場で発生する障害は,運用担当者のヒューマンエラーに起因するものが多い。ヒューマンエラーに起因する障害を防ぐことは,ITサービスマネージャの重要な業務である。

ヒューマンエラーの原因には,不注意,知識不足,思い込み,慣れ,過労などがあるが,ヒューマンエラーの背景として,教育などのスキル管理,作業ルールなどのプロセス,コミュニケーションなどの組織風土に課題があることも多い。

ITサービスマネージャは,ヒューマンエラーに起因する障害が発生した場合に,次のような技法を用いて,原因を分析して対策を行うことが大切である。

  • パレート分析を用いて,重要な原因を見つけ出す。
  • なぜなぜ分析を用いて,対策をとるべき根本原因を見つけ出す。

対策に当たっては,直接原因だけでなく,プロセスや職場環境など,直接原因を引き起こしている根本原因の分析も行い,障害の再発を防止する観点から検討を行うことが重要である。

また,発生したヒューマンエラーを個々に分析して対策を行うだけでなく,これまでに組織で発生したヒューマンエラーの傾向を分析して組織としての課題を抽出し,対策を行うことも大切である。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。

設問と解答・解説

設問ア

あなたが携わった IT サービスの概要と,運用担当者のヒューマンエラーに起因した障害,及びヒューマンエラーの内容について,800字以内で述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準(配点 34点)

知識・理解度(内容)(17点)

  • 17: ITサービスの概要、障害、エラー内容が極めて具体的に記述されており、状況が明確に伝わる。
  • 13: 概ね具体的に記述されているが、一部に詳細さが不足している。
  • 9: 記述されているが、抽象的な部分が多く具体性に欠ける。
  • 4: 記述が不十分であり、事象の状況が不明瞭。
  • 0: 全く関係のない内容または記述がない。

論理性(構造)(17点)

  • 17: サービス概要から障害発生・エラー内容に至る経緯が論理的かつ一貫して説明されている。
  • 13: 全体として論理的であるが、一部のつながりがやや不明瞭。
  • 9: 論理展開に飛躍や矛盾が散見される。
  • 4: 論理的な構成になっておらず、事象の関連が読み取りにくい。
  • 0: 全く論理的でない構成である。

解説

本問では、ITサービスマネジメントにおける問題管理の一環として、運用担当者のヒューマンエラーに起因する障害の発生状況を論述することが求められます。

高得点のポイント

  • ITサービスの概要が第三者にもわかりやすく具体的に説明されている。
  • 運用担当者のヒューマンエラーの内容と、それによって生じた障害が明確に関連づけられている。
  • 以降の設問(分析や対策)への布石として、事象の状況が論理的に整理されている。

設問イ

設問アで述べたヒューマンエラーに起因した障害の再発を防止するために実施した対策は何か。また,対策を検討するに当たって,根本原因をどのように分析したか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準(配点 33点)

説得力(考察)(17点)

  • 17: 「不注意」等の表層的な原因で終わらせず、根本原因の深い分析が行われており、それに基づく再発防止策が具体的かつ恒久的で極めて説得力がある。
  • 13: 分析と対策は示されているが、一部の説得力や恒久性に欠ける部分がある。
  • 9: 原因分析が「不注意」や「知識不足」など表層的にとどまり、根本原因の掘り下げが不十分である。
  • 4: 原因分析と対策の関連が薄い、あるいは対策が極めて抽象的。
  • 0: 対策や分析が記述されていない。

論理性(構造)(16点)

  • 16: 設問アで述べたエラー事象に対し、分析手法から対策の導出までが明確な論理的つながりを持って記述されている。
  • 12: 概ね論理的であるが、分析手法から対策導出のつながりに一部飛躍がある。
  • 8: 分析と対策の間に論理の飛躍や矛盾が散見される。
  • 4: 分析と対策のつながりが不明瞭で、一貫性がない。
  • 0: 記述が全く論理的でない。

解説

設問アで記述したヒューマンエラーに対し、再発防止策とそれを導くための根本原因の分析が問われています。単なる個人の問題に帰結させない深い考察が必要です。

高得点のポイント

  • 根本原因の分析において、「不注意」「知識不足」「思い込み」といった表層的な個人の資質で終わらせず、その背景にある真の原因(プロセス、環境、体制などの組織的・システム的問題)にまで深く掘り下げている。
  • 導き出された根本原因に対する再発防止策が、恒久的な解決策として具体的に記述されている。
  • 設問アの状況と整合しており、分析から対策までの論理展開に一貫性と説得力がある。

設問ウ

これまでに組織で発生したヒューマンエラーの傾向をどのように分析したか。また,組織としての課題は何であったか。600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準(配点 33点)

説得力(考察)(17点)

  • 17: 組織全体の過去の傾向を多角的に分析し、そこから導出された組織的課題がITサービスマネージャの視点として極めて妥当で説得力がある。
  • 13: 傾向分析と課題は妥当であるが、分析の多角性や説得力がやや不足している。
  • 9: 分析手法や導出された課題が一般的・表層的であり、独自の深い考察が不十分。
  • 4: 傾向や課題が組織全体ではなく個別事案にとどまるか、極めて抽象的。
  • 0: 組織の傾向や課題についての記述がない。

知識・理解度(内容)(16点)

  • 16: ITサービスマネジメントの問題管理プロセスに基づき、組織的な課題を管理者視点で的確に抽出・記述できている。
  • 12: 問題管理の枠組みに概ね沿っているが、管理者としての視点が一部不足している。
  • 8: 抽出された課題が現場担当者レベルにとどまるなど、マネジメントの観点が不十分。
  • 4: 問題管理プロセスの理解が浅く、課題設定が不適切。
  • 0: 関連する記述がない。

解説

これまでの個別事案を踏まえ、組織全体におけるヒューマンエラーの傾向分析と、そこから抽出される組織的課題について論述することが求められます。

高得点のポイント

  • 個別事案にとどまらず、組織全体のヒューマンエラーの傾向を客観的なデータや事象から多角的に分析している。
  • 傾向分析から導出された組織としての課題が、ITサービスマネージャの視点(問題管理や継続的改善)で的確に抽出・記述されている。
  • 問題解決に向けた論理的かつ説得力のある考察が示されている。