平成14年度 宅地建物取引主任者資格試験 問8
権利関係契約の成立・解除
この問題は2002年度(H14)に出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
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Aは, A所有の土地を, Bに対し, 1億円で売却する契約を締結し, 手付金として1,000万円を受領した。Aは, 決済日において, 登記及び引渡し等の自己の債務の履行を提供したが, Bが, 土地の値下がりを理由に残代金を支払わなかったので, 登記及び引渡しはしなかった。この場合, 民法の規定及び判例によれば, 次の記述のうち誤っているものはどれか。
解答・解説を読む
正解: 選択肢4
本問は、債務不履行(履行遅滞)に伴う契約解除や損害賠償、および解除と第三者の関係を問う問題です。
売主Aは自己の債務の履行を提供したにもかかわらず、買主Bは残代金の支払いを拒んでいるため、Bは履行遅滞に陥っています。この前提をもとに各記述の正誤を判断します。
正解の根拠
誤っている記述は 選択肢4 です。
民法第545条第1項ただし書では、契約の解除は「第三者の権利を害することはできない」と規定されています。しかし、判例により、この規定で保護される第三者となるためには、権利保護要件としての登記(対抗要件)を備えている必要があるとされています。
本問では、AはまだBに対して登記を移転していません。したがって、Bから転売を受けたCも登記を備えることができないため、解除前の第三者として保護されません。よって、Aは契約を解除してCの権利を主張できなくさせることができるため、「Cのこの土地を取得する権利を害することはできない」とする選択肢4は誤りとなります。
各選択肢の解説
選択肢1(正しい)
債務不履行(履行遅滞)があった場合、債権者であるAは、契約を解除することもできますが、解除せずにそのまま履行の請求(残代金の請求)を継続することも可能です。解除権の行使は債権者の権利であって義務ではありません。選択肢2(正しい)
民法上、契約の解除は損害賠償の請求を妨げません(民法第545条第4項)。したがって、Aは契約を解除した上で、Bの債務不履行によって生じた損害(土地の値下がり分など)の賠償を請求することができます。選択肢3(正しい)
B・C間の転売契約におけるCの不払いは、あくまでB・C間の問題であり、A・B間の契約には影響を与えません。したがって、Bは自己の取引先であるCの債務不履行を理由として、Aとの契約を解除することはできません。また、Aはすでに「自己の債務の履行を提供」しており、履行に着手しているため、Bからの手付放棄による解除もできません。選択肢4(誤り・正解)
上述の通り、契約解除から第三者(C)が保護されるためには登記が必要です。本件ではAがBに登記を移転していない以上、Cは登記を備えておらず保護されないため、Aが契約を解除した場合にはCの権利は害されることになります。