令和7年度 秋期 データベーススペシャリスト試験 午後I 問題 問2 正規化理論によるデータモデル分析
この問題は2025(R7)秋 データベーススペシャリスト 午後Iに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
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学習ガイド
化学メーカーの営業販売管理システムを題材に、正規化理論の運用能力を試すデータベースの問題です。関係「商談参加従業員」の候補キーをすべて挙げ、正規形を判定し、根拠を字数内で述べ、第3正規形へ分解するという一連の設問は、理論を答案として書き切る訓練に最適です。後半は帳票サンプルからのモデル導出で、この記事では関数従属性の図を書いてから答える手順を通し、表記規約の減点ポイントも確認します。
この記事で押さえる論点
- 候補キーの特定と正規形の判定を根拠つきで行う
- 第3正規形への分解を関係名・キー表記まで正確に示す
- 帳票(納期調整シート)から新たなエンティティを導出する
出題情報
- 出題
- 2025(R7)秋 データベーススペシャリスト 午後I 問2
- 配点
- 50点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
データベースの設計では,業務内容や業務で取り扱うデータなどの実世界の情報を総合的に理解し,データモデルに反映することが求められる。
本問では,化学メーカーにおける営業販売管理システムを題材として,関数従属性,正規化理論などの基礎知識を用いてデータモデルを分析する能力,業務要件をデータモデルに反映する能力,設計変更によるデータモデル及び関係スキーマの適切な変更を行う能力を問う。
問2では,化学メーカーの営業販売システムを題材に,正規化理論に基づくデータモデル分析,業務要件に基づくデータベース設計について出題した。全体として正答率は平均的であった。
問題本文
問2 化学メーカーの営業販売管理システムの概念データモデリングに関する次の記述を読んで,設問に答えよ。
A社は,樹脂や繊維などを扱う化学メーカーである。営業販売管理システムを新たに導入することになり,Bさんが現状業務の分析とデータベース設計を行った。
〔Bさんが分析した現状業務〕
A社及び得意先の人・組織
(1) A社の従業員は,従業員コードで識別し,従業員氏名をもつ。同姓同名の従業員は存在し得る。
(2) A社と取引を行っている,又はこれから取引を行う可能性のある事業者を得意先と呼ぶ。得意先は,得意先コードで識別し,得意先名と所在地情報をもつ。
(3) 得意先担当者は,得意先ごとに担当者コードで識別し,担当者氏名,所属先組織名,及び役職名をもつ。製品
(1) A社で扱う製品は,原料の配合比率,添加剤の種類などの仕様が異なる製品ごとに製品型番をもつ。
(2) 製品は,公表仕様をもつ。
(3) A社は,後述する契約が成立すると,数か月にわたって製品を各月均等の数量で得意先へ納品する。各月の納品は,1回又は複数回行う。案件
(1) 得意先に対する営業活動の対象を案件と呼ぶ。
① 案件は,案件コードで識別し,案件名,年間見込売上金額,当該案件が受注できたかどうかを記録する受注フラグ,案件開始年月日,及び案件終了年月日をもつ。案件開始年月日は,得意先から製品に関する問合せを受けた日付であり,案件終了年月日は,得意先に対して当該案件で取り扱う製品の販売を終えた日付である。
② 一つの案件で扱う製品は一つであり,営業活動中に得意先担当者から別の製品に関する問合せがあった場合,新たな案件として扱う。
③ 案件の初期段階で,対象の製品が確定していない場合,製品は未登録としておき,確定し次第登録する。
(2) 1名又は複数名のA社の従業員が,案件を担当する。
① 1名の従業員が,複数案件に携わることもある。
② 案件を担当する従業員に対しては,対象案件の担当開始年月日,担当終了年月日,及び担当業務内容を記録する。
商談
(1) 案件担当従業員と得意先担当者との間で,1回又は複数回の商談を実施する。
(2) 各商談の実施後,商談開始年月日時分,商談終了年月日時分,商談場所,議事内容,及び商談参加者を記録する。
① 同一案件について,複数の商談を同一年月日時分に開始することはない。
② 商談場所には,A社会議室,得意先会議室,オンライン会議などがある。
③ 1名以上の案件担当従業員と,1名以上の得意先担当者が商談に参加する。見積り
(1) 得意先担当者から見積りの依頼があった場合,案件担当従業員が見積りを行う。見積りは,見積番号で識別し,見積年月日をもつ。
(2) 見積りでは,当該案件で扱う製品の納品条件(納品荷姿,納品先,納品期間,月間納品数量,納品頻度など)を基に,販売単価と諸経費(輸送費など)を算出し,納品期間における合計金額を得意先担当者へ提示する。納品条件の違いによって,複数の見積りを提示することもある。
(3) 同一の納品条件を適用する見積対象期間は最長1年である。得意先が,見積対象期間後も継続して同一の納品条件で取引を希望する場合がある。原料や輸送費などの変動によって,販売単価や諸経費を変更することがあるので,継続期間について再度見積りを行う。また,案件としては同じ案件を継続する。契約
(1) 得意先と見積りに合意した後,得意先と契約を締結する。
(2) 案件担当従業員は,契約情報として,得意先と合意した見積番号,納品荷姿,納品先の所在地情報,納品期間,月間納品数量,納品頻度,及び初回納品年月日時分とその数量を記録する。契約は,契約番号で識別し,契約年月日をもつ。
(3) 契約情報を基に,工場に対して製品の生産を指示する。得意先納品要求
得意先から,契約に対して納品要求を受ける。具体的には,要求納期の2週間前までに,要求納期年月日時分と要求数量の連絡を受けて記録する。納品
(1) 案件担当従業員は,要求納期年月日時分に到着するように納品を手配する。
(2) 案件担当従業員は,納品が完了したら,納品完了フラグを立てる。
〔現状業務の概念データモデルと関係スキーマ〕
現状業務の概念データモデルを図1に,関係スキーマを図2に示す。

図の説明テキスト
現状業務の概念データモデルを表すER図的な模式図。
エンティティとして「得意先」「案件」「製品」「得意先担当者」「商談」「見積り」「契約」「商談参加得意先担当者」「得意先納品要求」が存在する。
リレーションの矢印(1対多を意味すると思われる)は以下の通りに伸びている。
- 得意先 → 得意先担当者
- 案件 → 商談
- 製品 → 見積り
- 得意先担当者 → 商談参加得意先担当者
- 契約 → 得意先納品要求
また、「契約」と「得意先納品要求」を囲むように点線枠が描かれており、「得意先納品要求に関するトランザクションの領域」という注記が付与されている。
下部にキャプション「図1 現状業務の概念データモデル(未完成)」がある。

図の説明テキスト
現状業務の関係スキーマを示す枠組み。
主キーには実線下線、外部キーには破線下線が引かれている。
- 得意先 (得意先コード, 得意先名, 所在地情報)
- 得意先担当者 (得意先コード, 担当者コード, 担当者氏名, 所属先組織名, 役職名)
- 製品 (製品型番, 製品名, a)
- 案件 (案件コード, 案件名, 年間見込売上金額, 受注フラグ, 案件開始年月日, 案件終了年月日, b)
- 商談 (商談終了年月日時分, 商談場所, 議事内容, c)
- 商談参加従業員 (案件コード, 従業員コード, 従業員氏名, 商談開始年月日時分, 案件担当開始年月日, 案件担当終了年月日, 担当業務内容)
- 商談参加得意先担当者 (※設問の都合上網掛けで非表示)
- 見積り (見積番号, 納品条件, 販売単価, 諸経費, 見積年月日, 見積対象期間, d)
- 契約 (契約番号, 見積番号, 納品荷姿, 納品先の所在地情報, 納品期間, 月間納品数量, 納品頻度, 初回納品年月日時分, 初回納品数量, 契約年月日)
- 得意先納品要求 (契約番号, 要求番号, 要求納期年月日時分, 要求数量, 納品完了フラグ)
注記: 設問の都合上,網掛け部分は表示していない。
下部にキャプション「図2 現状業務の関係スキーマ(未完成)」がある。
〔指摘事項〕
営業部長のCさんは,Bさんのデータベース設計に対して,次の納期調整業務及び出荷業務を加味して再設計するように依頼した。
納期調整
Bさんは,得意先が要求する納期年月日時分と数量どおりに納品している前提で設計しているが,実際は,当社及び得意先の現場の都合で,得意先納品要求の一部又は全量について,前倒し又は先送りをすることがある。そこで,案件担当従業員は,生産管理担当従業員と相談し,納品する数量と納期を調整する。その際,図3に示す納期調整シートを用いて納期の交渉を行う。納期調整シートには,左側に得意先納品要求,右側に得意先納品要求に対応する納期回答(納品可能年月日時分と納品可能数量)を記載する。納期調整シートを基に,案件担当従業員は得意先担当者と納期の交渉を行い,同意を得られたら確定フラグを立てて出荷へ進む。出荷
納期調整の結果,同じ納品可能年月日時分の納品は,まとめて自社倉庫から出荷する。出荷完了後,案件担当従業員は,出荷数量と出荷年月日時分を記録する。出荷は,出荷番号で識別する。図3に示す納期調整シートには,出荷が完了した出荷番号を記載する。

図の説明テキスト
図3 納期調整シートの帳票サンプル
表の上部に「契約番号 000273」という記載がある。
| 得意先納品要求 (要求番号) | 得意先納品要求 (要求納期年月日時分) | 得意先納品要求 (要求数量) | 納期回答 (納期調整番号) | 納期回答 (納品可能年月日時分) | 納期回答 (納品可能数量) | 納期回答 (確定フラグ) | 出荷 (出荷番号) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 001 | 2025-01-09 12:00 | 200 | 01 | 2025-01-09 12:00 | 200 | 確定 | 2617 |
| 002 | 2025-01-12 14:00 | 300 | 01 | 2025-01-12 14:00 | 300 | 確定 | 2879 |
| 003 | 2025-01-14 11:00 | 50 | 01 | 2025-01-12 14:00 | 50 | 確定 | |
| 004 | 2025-01-15 16:00 | 600 | 01 | 2025-01-15 16:00 | 100 | 確定 | |
| 02 | 2025-01-16 11:00 | 500 | |||||
| ⋮ | ⋮ | ⋮ | ⋮ | ⋮ | ⋮ | ⋮ | ⋮ |
〔指摘事項への対応〕
Cさんからの指摘を受けて、Bさんは図1中の得意先納品要求に関するトランザクションの領域に、新たに納期調整及び出荷を追加し、概念データモデルを図4のように修正した。

図の説明テキスト
破線の四角枠があり、枠内の下部に「得意先納品要求に関するトランザクションの領域」と記載されている。枠内には「得意先納品要求」「納期調整」「出荷」という3つのエンティティ(実線の四角形)が横並びに配置されているが、エンティティ間の関係を示す線は描かれていない。枠の下部には「図4 修正後の概念データモデル(未完成)」というキャプションがある。
解答に当たっては、巻頭の表記ルールに従うこと。ただし、エンティティタイプ間の対応関係にゼロを含むか否かの表記は必要ない。エンティティタイプ間のリレーションシップとして“多対多”のリレーションシップを用いないこと。属性名は、意味を識別できる適切な名称とすること。
設問と解答・解説
設問1
図2中の関係“商談参加従業員”について答えよ。
(1)
関係“商談参加従業員”の候補キーを全て挙げよ。なお、候補キーが複数の属性から構成される場合は、{}で括ること。
模範解答
{案件コード, 従業員コード, 商談開始年月日時分}
採点基準(配点 6点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: 案件コード、従業員コード、商談開始年月日時分の3属性を過不足なく候補キーとして挙げている。
- 1点: 上記3属性のうち、一部のみを挙げている、または不要な属性を含めている。
- 0点: 全く異なる属性を挙げている、または無解答。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 複数の属性からなる候補キーを正しく `{}` で括って表現している。
- 0点: `{}` による括りがない、または誤った括り方をしている。
解説
候補キーの導出
関係「商談参加従業員」において、一つの商談は案件コードと商談開始年月日時分で一意に特定されます。さらに、一つの商談には複数の従業員が参加するため、どの従業員かを特定するために従業員コードが必要です。
したがって、この関係の候補キーはこれら3つの属性の組み合わせ となります。
高得点のポイント
- 候補キーを構成する3つの属性(案件コード、従業員コード、商談開始年月日時分)を過不足なく挙げていること
- 問題文の指示に従い、複数の属性からなる候補キーを
{}で括って解答していること
(2)
関係“商談参加従業員”は、次のどれに該当するか。該当するものを、選べ。
模範解答
選択肢イ: 第1正規形
配点 3点
解説
正規形の判定
関係「商談参加従業員」は、すべての属性が単一値をとっているため、第1正規形の条件を満たしています。
しかし、候補キーは であり、このうちの一部である「従業員コード」に対して「従業員氏名」が関数従属(部分関数従属)しています。
部分関数従属が存在するため、第2正規形ではありません。したがって、この関係は第1正規形に該当します。
各選択肢の解説
- ア: 全ての属性が単一値をとるため、非正規形ではありません。
- イ: 正解です。
- ウ: 部分関数従属が存在するため、第2正規形ではありません。
- エ: 第2正規形でないため、第3正規形でもありません。
(3)
(a)の根拠を、具体的な属性名を挙げて70字以内で答えよ。
模範解答
全ての属性が単一値をとり,候補キーの一部である“従業員コード”に関数従属する“従業員氏名”があるから
採点基準(配点 5点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: すべての属性が単一値であること(第1正規形の要件)と、部分関数従属が存在すること(第2正規形でない理由)の両方を正確に理解している。
- 1点: 単一値であること、または部分関数従属の存在のいずれか一方のみに言及している。
- 0点: 正規形の定義について誤った解釈をしている、または無解答。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 「従業員コード」から「従業員氏名」への関数従属を具体的な属性名を挙げて論理的に説明している。
- 1点: 属性名の記述が不正確、または論理の飛躍があるが、おおむね意味は通じる。
- 0点: 具体的な属性名が挙げられていない、または説明が論理的に破綻している。
解説
根拠の解説
関係が第1正規形に該当し、第2正規形に該当しない理由を説明します。
- 第1正規形の要件: 繰り返し項目を持たず、全ての属性が単一値をとる必要があります。
- 第2正規形でない理由: 候補キーの一部に対して他の属性が関数従属する「部分関数従属」が存在するためです。この関係では、候補キーの一部である「従業員コード」に関数従属する「従業員氏名」が存在します。
高得点のポイント
- 「全ての属性が単一値をとる」という第1正規形の条件を満たしていることを明記する
- 具体的な属性名(「従業員コード」「従業員氏名」)を用いて、部分関数従属の存在を指摘する
- 指定された70字以内で簡潔かつ論理的にまとめる
(4)
第3正規形でない場合は、第3正規形に分解した関係スキーマを示せ。ここで、分解後の関係の関係名には、本文中の用語を用いること。また、主キーを表す実線の下線、外部キーを表す破線の下線も示すこと。
模範解答
従業員 (従業員コード, 従業員氏名)
案件担当従業員 (案件コード, 従業員コード, 案件担当開始年月日, 案件担当終了年月日, 担当業務内容)
商談参加従業員 (案件コード, 商談開始年月日時分, 従業員コード)
採点基準(配点 6点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 部分関数従属を解消し、「従業員」「案件担当従業員」「商談参加従業員」の適切な関係スキーマに分解できている。
- 2点: 一部の分解が不十分、または属性の所属に誤りがあるが、正規化の意図は理解できている。
- 0点: 適切な正規化が行われていない、または無解答。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 関係名に本文中の用語を正しく用い、主キーと外部キーの指定を適切に行っている。
- 1点: 用語の使用やキーの指定に軽微なミスがある。
- 0点: 指定された記法(実線・破線など)や用語が守られていない。
解説
第3正規形への分解手順
「商談参加従業員」関係に存在する部分関数従属を排除し、第2正規形、さらに第3正規形へと分解します。
「従業員氏名」は「従業員コード」に関数従属するため、これを独立した関係「従業員」として切り出します。
また、システム全体の実体関係を考慮し、案件と従業員の担当関係を表す「案件担当従業員」や、商談への参加履歴を表す「商談参加従業員」へ正しく属性を配置します。
高得点のポイント
- 部分関数従属の対象となる属性を適切に切り出し、新しい関係を作成していること
- 主キー(実線下線)と外部キー(破線下線)を正確に定義していること
- 分解後の関係名に「従業員」「案件担当従業員」「商談参加従業員」など、本文中の用語を正しく使用していること
設問1では,(2)(b)において,第3正規形でない根拠を答える正答率は高かったが,その根拠を踏まえて第3正規形に正しく分解できていない解答が多かった。正規化は,データベース設計において非常に重要な考え方である。状況記述を基に,属性間の関数従属性を理解し,適切に正規化できる技術を身に付けてほしい。
設問2
〔現状業務の概念データモデルと関係スキーマ〕について答えよ。
(1)
図1の概念データモデルは未完成である。欠落しているリレーションシップを補って図を完成させよ。ただし,次のリレーションシップは対象としない。
① 得意先納品要求に関するトランザクションの領域のエンティティタイプとの間のリレーションシップ
② 図1中に表示されていないエンティティタイプとの間のリレーションシップ
模範解答
模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: 業務記述に基づき、欠落しているリレーションシップ(案件と得意先、案件と製品など)を正確に把握している。
- 0点: 必要なリレーションシップを把握できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: エンティティ間のリレーションシップを矛盾なく論理的に接続できている。
- 0点: リレーションシップの接続先や構造が論理的に誤っている。
解説
概念データモデルの完成
図1の概念データモデルにおける欠落したリレーションシップを推測します。
現状の業務要件から、「案件」エンティティは特定の得意先や対象となる製品に関連づけられる必要があります。したがって、「案件」と「得意先」、および「案件」と「製品」の間に適切なリレーションシップ(1対多など)を設定することが求められます。
高得点のポイント
- 業務要件に基づき、「案件」と結びつくべき主要なエンティティ(得意先、製品など)を正確に抽出していること
- エンティティ間の関連(リレーションシップ)の多重度を論理的に正しく捉えていること
(2)
図2中の a に入れる一つ又は複数の適切な属性名を補って関係スキーマを完成させよ。なお,主キーを表す実線の下線,外部キーを表す破線の下線も示すこと。
模範解答
公表仕様
採点基準(配点 4点)
正確性(内容)(4点)
- 4点: 正解となる属性名「公表仕様」を正確に記述している。
- 0点: 誤った属性名を記述している、または無解答。
解説
属性の補完
関係スキーマに欠落している属性を特定します。製品に関する情報を保持する関係において、本文の記述から製品ごとの仕様情報を示す属性が必要であることが読み取れます。
高得点のポイント
- 本文中の状況記述から製品モデルに関連する「公表仕様」という属性を正確に抽出すること
(3)
図2中の b に入れる一つ又は複数の適切な属性名を補って関係スキーマを完成させよ。なお,主キーを表す実線の下線,外部キーを表す破線の下線も示すこと。
模範解答
得意先コード, 製品型番
採点基準(配点 4点)
正確性(内容)(4点)
- 4点: 「得意先コード, 製品型番」の両方を正確に記述している。
- 2点: いずれか一方の属性のみを記述している。
- 0点: 誤った属性名を記述している、または無解答。
解説
属性の補完
関係「案件」において、その案件が「どの得意先」に対するもので、「どの製品」を対象としているかを記録する必要があります。したがって、外部キーとして「得意先コード」および「製品型番」が必要です。
高得点のポイント
- 業務を遂行するために案件が保持すべき対象(得意先と製品)を正確に理解していること
- 両方の属性を過不足なく挙げていること
(4)
図2中の c に入れる一つ又は複数の適切な属性名を補って関係スキーマを完成させよ。なお,主キーを表す実線の下線,外部キーを表す破線の下線も示すこと。
模範解答
案件コード, 商談開始年月日時分
採点基準(配点 4点)
正確性(内容)(4点)
- 4点: 「案件コード, 商談開始年月日時分」の両方を正確に記述している。
- 2点: いずれか一方の属性のみを記述している。
- 0点: 誤った属性名を記述している、または無解答。
解説
属性の補完
商談履歴を管理する関係において、どの案件のどのタイミングの商談であるかを特定するためのキーが必要です。ここでは「案件コード」と「商談開始年月日時分」の組み合わせが主キーを構成します。
高得点のポイント
- 商談を一意に特定するための属性の組み合わせを正確に導出していること
(5)
図2中の d に入れる一つ又は複数の適切な属性名を補って関係スキーマを完成させよ。なお,主キーを表す実線の下線,外部キーを表す破線の下線も示すこと。
模範解答
案件コード, 合計金額
採点基準(配点 4点)
正確性(内容)(4点)
- 4点: 「案件コード, 合計金額」の両方を正確に記述している。
- 2点: いずれか一方の属性のみを記述している。
- 0点: 誤った属性名を記述している、または無解答。
解説
属性の補完
見積りなどの金額関連情報を保持する関係において、対象となる「案件コード」に紐づく形で、全体の金額を表す「合計金額」の属性が必要となります。
高得点のポイント
- 状況記述や帳票サンプルから、記録すべき金額関連の属性を正確に読み取っていること
設問2では,(2)bの正答率が低かった。関係“案件”の属性として,得意先コードと製品型番の両方が正しく記述できていない解答が多かった。業務を遂行するためには,案件の対象となる得意先と製品型番を記録する必要があると判断できる。状況記述を基に正確に属性を追加してほしい。
設問3
〔指摘事項への対応〕について答えよ。
(1)
図4の概念データモデルは未完成である。欠落しているリレーションシップを補って図を完成させよ。ただし,図4中に表示されていないエンティティタイプとの間のリレーションシップは対象としない。
模範解答
模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。
採点基準(配点 5点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: 納期調整業務に関するデータモデルの構造を正しく理解し、必要なリレーションシップをすべて補完できている。
- 1点: 一部のリレーションシップが欠落している。
- 0点: 適切なリレーションシップが設定されていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 追加されたリレーションシップが他のエンティティと論理的な整合性を保っている。
- 0点: 論理的な整合性が取れていない。
解説
納期調整のデータモデル
指摘事項の対応として、図4の未完成な概念データモデルにリレーションシップを追加します。納期調整は、得意先との契約に基づく納品要求に対して実施されるため、「契約」や「要求」などのエンティティと適切に関連付ける必要があります。
高得点のポイント
- 納期調整がどのエンティティ(契約や納品要求)に依存しているかを業務記述から読み取ること
- 関連するエンティティ間に正しい多重度でリレーションシップを結ぶこと
(2)
本文中の字句を用いて,関係“納期調整”と“出荷”の関係スキーマを示せ。なお,主キーを表す実線の下線,外部キーを表す破線の下線も示すこと。
模範解答
納期調整 (契約番号, 要求番号, 納期調整番号, 出荷番号, 納品可能年月日時分, 納品可能数量, 確定フラグ)
出荷 (出荷番号, 出荷数量, 出荷年月日時分)
採点基準(配点 5点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: 納期調整と出荷の関係スキーマにおいて、必要な属性(契約番号などの主キーを含む)を網羅できている。
- 1点: 主キーの一部(契約番号など)が漏れているなど、属性の抽出が不完全である。
- 0点: 大きく誤っている、または無解答。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 主キーと外部キーの指定が正確であり、本文中の字句を用いた表現規則に従っている。
- 1点: キーの指定方法や表現に軽微な誤りがある。
- 0点: 指定された記法(実線・破線など)に従っていない。
解説
関係スキーマの構築
「納期調整」は契約ごとの納品要求に対して行われるため、主キーとして契約番号を含める必要があります。帳票サンプルからも、契約番号ごとに納期調整が行われていることがわかります。
また、「出荷」関係は出荷業務の実績を記録するものであり、出荷番号や出荷実績に関する属性を持つ必要があります。
高得点のポイント
- 納期調整の親となる概念(契約)を認識し、主キーとして「契約番号」を漏らさず記述すること
- 外部キーや主キーの表記ルール(実線・破線下線)を遵守すること
- 本文中の状況記述や帳票サンプルを的確に読み取り、必要な属性を過不足なく定義すること
設問3では,(2)納期調整の関係スキーマが正しく書けていない解答が多かった。特に,主キーの一つである契約番号が漏れている解答が散見された。納期調整は,得意先と結んだ契約ごとの納品要求に対して実施する業務であり,帳票サンプルでも契約番号ごとに納期調整を行っていることが分かる。本文中の状況記述や帳票サンプルをきちんと読み取り,必要となる主キーを的確に捉えるようにしてほしい。