令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問3 不動産仲介システムの再構築とAI活用

テクノロジシステム開発技術

この問題は2025(R7)春 システムアーキテクト 午後Iに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

本ページの問題文・選択肢は、原本の体裁を Web 表示用に正規化しています(改行・記号・数式・図表参照の調整)。設問の趣旨および正解に影響する変更は加えていません。

学習ガイド

不動産売買仲介システムの再構築を題材に、業務要望をシステム機能へ落とし込む力を試す問題です。AI技術による工数削減の検証対象、物件ステータスの自動遷移の条件、法定の報告期限から残日数を算出する方法、ダッシュボードに表示する指標の計算式など、方針レベルの記述を具体的な設計に翻訳する設問が並びます。この記事では、新システムの方針と各設問の対応を明示しながら、記述解答の組み立てを解説します。

この記事で押さえる論点

  • 新システムの方針(AI・自動化・可視化)を個別機能へ展開する
  • 物件ステータスの遷移条件を業務の流れから特定する
  • ダッシュボードの指標(成約率など)の計算式を定義する

問題本文

問3 不動産売買仲介システムの再構築に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。

K社は不動産会社である。業務で利用している不動産売買仲介システム(以下,現行システムという)の老朽化に伴い,新システムを構築することにした。

〔K社の不動産売買仲介の概要〕

K社は,不動産売買仲介業務として,不動産物件(以下,物件という)の調査,評価,売却希望の顧客(以下,売主という)と購入希望の顧客(以下,買主という)の仲介及び売買契約のサポートをしている。売却と購入の申込みは,電話又はWebサイトで受け付けており,専任の営業担当者が顧客と電話又は電子メール(以下,メールという)で連絡を取り合う。売主は,物件の売買を仲介するようにK社に依頼(以下,媒介依頼という)し,媒介契約を締結する。この媒介契約によって,K社は売主に代わって買主を探し,売買を成立させるための活動を行う。媒介契約には,一般媒介契約,専任媒介契約,専属専任媒介契約の3種類があり,複数社との契約の可否及び売主への営業活動報告の頻度が異なる。K社では,この報告頻度を契約別報告間隔として管理しており,一般媒介契約は20日以内に1回,専任媒介契約は14日以内に1回,専属専任媒介契約は7日以内に1回としている。
K社は,他の不動産会社と物件情報を共有できる不動産情報ネットワークに加盟している。物件情報は,自社のWebサイト(以下,自社サイトという)だけでなく,この不動産情報ネットワークのシステム(以下,不動産情報システムという)にも適切なタイミングで連携し,他の不動産会社と共有している。

〔現在の業務とシステムの概要〕

K社は,現行システムを利用し,売主と買主の顧客情報,媒介契約情報及び物件情報を管理している。また,営業担当者は,電話又はメールでやり取りした内容を折衝履歴情報として登録し,過去のやり取りを確認できるようにしている。現在の主な業務とシステムの概要は,次のとおりである。

(1) 媒介依頼
売主から媒介依頼を受けると,カスタマーセンターの担当者が氏名,住所,電話番号,メールアドレス,勤務先などの顧客情報を登録する。また,物件の所在地,マンション又は一戸建てなどの物件の種類,売却理由などを媒介依頼の情報として登録する。

K社では,物件の所在地によって営業担当者が一意に決まっており,新規に媒介依頼があった場合,マネージャが現行システムに登録された媒介依頼の情報を確認し,適切な営業担当者を割り当てる。また,マネージャは,営業担当者ごとの媒介契約数を日々確認し,実績を把握している。営業担当者は,売主に電話又はメールで連絡を取り,詳細な情報を確認して現行システムに登録する。

営業担当者は,まず売主との初回面談を設定し,物件の詳細情報,売却希望価格,売却スケジュール,媒介契約の種類などを確認する。次に,外部の不動産登記情報提供サービスを利用して不動産登記情報を取得し,名義人及び抵当権を確認した上で物件の現地調査を行う。その後,営業担当者は社内の簡易査定システムを利用して簡易な査定を実施し,査定結果を基に売主に売却価格を提案する。売主の承諾を得た後,更に詳細な情報を収集し,外部の査定サービスを利用して正式な査定を実施する。査定結果を現行システムに登録し,査定書を出力して売主にメール及び郵便で送付する。

(2) 媒介契約
営業担当者は,現行システムに必要事項を登録し,媒介契約書を作成して売主と媒介契約を締結する。媒介契約締結後,物件の基本情報,販売価格,物件の写真,間取り情報,物件地図などを現行システムに物件情報として登録する。この際,営業担当者は,過去のセールス内容を検索し,魅力的で効果的な紹介文を作成している。物件情報を登録後,売却許可の承認をマネージャに申請する。マネージャは,申請内容を確認し,紹介文にK社として不適切な記載がないかどうかを目視でチェックしている。マネージャの承認後,物件情報を現行システムから自社サイト及び不動産情報システムに連携する。これによって,自社サイトで公開し,不動産情報システムで他の不動産会社と共有する。現行システムでは,媒介契約の状況を物件ステータスとして管理しており,状況に応じて営業担当者が物件ステータスの値を変更している。営業担当者は,各物件の物件ステータスの値から成約率を計算し,確認している。成約率は,過去も含め担当した媒介契約がどれだけ売買契約の締結に至ったかを示し,営業担当者の長期的な業績や成果を評価するのに用いられる。マネージャは,営業担当者ごとに各物件の物件ステータスの値の推移を日々確認し,必要に応じて営業担当者に指示を出している。営業担当者は,物件への問合せ件数,紹介件数,自社サイトへのアクセス件数,類似物件の販売状況などを現行システムに登録し,営業活動報告書として売主へ定期的に報告する。

(3) 購入依頼
買主から物件の購入依頼を受けると,カスタマーセンターの担当者が氏名,住所,電話番号,メールアドレス,勤務先などの顧客情報を登録する。また,物件の希望地域,物件の種類,購入検討理由などを購入依頼の情報として登録する。
K社のマネージャは,購入依頼の情報を確認し,適切な営業担当者を割り当てる。営業担当者は,買主に電話又はメールで連絡を取り,詳細な希望条件を確認して現行システムに登録する。その後,希望条件に基づいて適した物件を検索し,提案する。

(4) 購入申込み
買主が購入を決定した場合,営業担当者は購入申込みの準備をする。購入申込書を作成し,買主に確認と署名を依頼する。購入申込書を受領後,現行システムに申込内容を登録する。その後,売買契約の締結に向けて売主と買主を仲介し,契約日,価格などの条件を調整する。

(5) 売買契約
条件合意後,売主と買主の営業担当者は,必要書類を収集し,現行システムに契約条件などの情報を登録する。その情報を基に,重要事項説明書と売買契約書を作成し,社内の審査部門へ申請する。審査部門の承認後,売買契約手続を調整し,売主と買主が契約書に署名と押印をして契約を締結する。契約締結後,買主から売主へ購入代金を支払い,所有権移転の手続きを進める。

(6) 仲介手数料
省略。

〔新システムへの要望〕

新システムに対して,利用部門から次のような要望が出された。

  • 簡易査定では,現行システムに登録した内容を簡易査定システムに入力している。正式な査定でも,現行システムに登録した内容を査定サービスに入力している。さらに,それぞれの査定結果も現行システムに入力しているので,作業の負担を軽減したい。
  • 現在の業務を踏まえ,新規の媒介依頼があった場合にシステムで営業担当者を割り当ててほしい。
  • 媒介契約書及び営業活動報告書をメールと郵便で送っているので,売主から一元的に管理しにくいという不満が生じている。売主が一元的に管理できるようにしてほしい。
  • 営業担当者は,媒介契約の状況が変わるたびに現行システムで物件ステータスの値を変更している。手動で変更していることによる対応漏れを防止し,作業の負担を軽減したい。
  • 物件情報に関する業務において,営業担当者とマネージャの作業の負担を軽減したい。
  • 現行システムを照会しながらグループウェアで顧客宛てのメールを作成しているので,入力誤りが発生している。入力誤りを減らし,作業の負担を軽減したい。
  • 営業担当者の実績を可視化し,目標管理及び計画立案に活用させたい。また,マネージャが現在の業務で確認している営業担当者ごとの営業活動の状況を効率的に確認できるようにしたい。

〔新システムの方針〕

K社情報システム部のL課長は,現行システムの機能を踏襲しつつ,新システムへの要望を踏まえ,新システム構築の方針を次のように定め内容を検討した。

(1) 社内システム及び社外サービスとの連携強化

  • 新システムと社内システム及び社外サービスとのデータ連携を自動化する仕組みを導入する。取得した情報を即時に新システムに反映させることによって,手動でのデータ入力の工数を削減し,業務効率の向上を目指す。

(2) AI技術の導入

  • K社の業務ルールに沿ったAIによる文章作成及び校正支援サービスを導入し,物件情報に関する工数の削減効果を検証してから業務への適用を決定する。

(3) 売主との接点強化

  • 売主との接点を強化するために,売主が取引状況を確認できる売主専用のWebページ(以下,売主マイページという)を作成する。媒介契約を電子契約で実施し,媒介契約書及び媒介契約の情報を売主マイページ上で表示できるようにする。また,営業活動報告書を売主マイページで報告できる機能を追加する。営業担当者が営業活動報告書を作成して送付すると,売主マイページに表示されるようにする。

(4) 業務自動化

  • 新規の媒介依頼登録時に自動で営業担当者を割り当てる。
  • 新システムにメールを送受信できる機能を導入し,顧客とのメールのやり取りを一元管理できるようにする。また,メールでのやり取りを自動である情報として登録し,経緯の追跡に役立てる。
  • 営業活動報告書の報告漏れを防ぐために,直近の営業活動報告書の提出日を基に報告期限までの残日数を算出し,報告期限の3日前時点で営業活動報告書が未報告であった場合,営業担当者へアラートを通知する。
  • 処理内容に基づいて自動で物件ステータスの値を更新する機能を導入し,対応漏れを防止する。物件ステータスの値を更新した際,必要に応じて自社サイト及び不動産情報システムに情報を連携する。

新システムで検討している物件ステータスを表1に示す。

[図表: bb_18_1]

(5) データの可視化

  • 営業担当者とマネージャが視覚的にデータを確認できるように,ダッシュボード機能を導入する。営業担当者には,媒介契約数,折衝履歴件数及び成約率を確認できるようにし,マネージャには現在の業務で確認している営業担当者ごとの状況を確認できるようにする。

(6) マスター管理

  • 地域マスターを管理し,営業担当者の担当地域を登録する。
  • メールテンプレートマスターを管理し,顧客とメールでやり取りする際のテンプレートとして活用する。
表1 新システムで検討している物件ステータス
図の説明テキスト

表1 新システムで検討している物件ステータス

物件ステータスの値 説明
物件登録中 物件を新規に登録している状態
公開中 物件が一般に公開されており,購入希望者が閲覧可能な状態
商談中 購入希望者と商談が進行中の状態
購入申込済 商談が成立し,売買契約書の準備などの手続が進行中の状態
成約済 売主と買主との間で売買契約が締結された状態
決済済 売買契約が完了し,買主から売主へ購入資金が支払われた状態
売却済 最終的に売主から買主に引き渡され,取引が完了した状態
媒介契約終了 成約に至らず媒介契約の契約期間が満了した状態
キャンセル 媒介契約が解除された状態
成約率の計算式
図の説明テキスト

成約率を求める計算式。
成約率 = (物件ステータスの値が“a”と“決済済”と“売却済”の媒介契約数の合計)÷ 担当した全媒介契約数

設問と解答・解説

設問1

〔新システムへの要望〕の本文中の下線①について,新システムでどのように営業担当者を割り当てるかを〔新システムの方針〕に基づき40字以内で答えよ。

模範解答

物件の所在地と地域マスターの担当地域から該当する営業担当者を割り当てる。

採点基準(配点 8点)

知識・理解度(内容)(4点)

  • 4: 割り当て基準となる情報(物件の所在地と地域マスターの担当地域)を正しく理解し、記述できている。
  • 2: 割り当て基準の一部が欠けている、または現在の業務の内容と混同しているが、おおよその理解は示されている。
  • 0: 割り当て基準が記述されていない、または現在の業務の内容をそのまま解答している。

論理性(構造)(4点)

  • 4: 割り当て基準を用いてどのように営業担当者を割り当てるかが、新システムの方針に沿って論理的かつ明確に記述されている。
  • 2: 記述がやや不十分であるか、論理的つながりがやや不明確である。
  • 0: 論理的に意味をなさない、または無関係な内容である。

解説

本問は、現行業務を正しく把握した上で、新システムにおいて営業担当者の割り当て機能をどのように設計するかを問う問題です。

現行業務では属人的な割り当てが行われている可能性がありますが、新システムでは業務効率化のためにシステム的な割り当てが求められます。新システムの方針に基づくと、物件の所在地とあらかじめ設定された地域マスターの担当地域を突き合わせることで、自動的かつ適切な営業担当者を決定する仕組みが想定されています。

受験者の解答の中には現在の業務内容をそのまま記述してしまうケースが多く見られましたが、ここでは「新システムでどのように設計するか」を答える必要があります。

高得点のポイント

  • 知識・理解度(内容): 割り当ての基準となる「物件の所在地」と「地域マスターの担当地域」という2つの要素を過不足なく含めていること。
  • 論理性(構造): 現在の業務内容と混同せず、新システムにおける担当者の割り当て方法として論理的かつ簡潔に構成されていること。

設問1は,正答率が低かった。現在の業務とシステムの概要を踏まえ,新システムでどのように営業担当者を割り当てるかを問うたにもかかわらず,現在の業務の内容を解答した受験者が多かった。現在の業務を正しく把握した上で,システムでどのように設計するかを考えて,正答を導き出してほしい。

設問2

〔新システムの方針〕のAI技術の導入について,K社が検証しようとしているのは,物件情報に関して誰が何をすることに関する工数の削減効果か。45字以内で二つ答えよ。

(1)

1つ目の解答を記入せよ。

模範解答

営業担当者が魅力的で効果的な物件情報の紹介文を検討すること

採点基準(配点 6点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 「誰が」(営業担当者)と「何をするか」(紹介文の検討)が正確に把握できている。
  • 2: 「誰が」か「何をするか」のいずれかに軽微な誤りがある。
  • 0: 対象者や行動が正確に把握できていない。

論理性(構造)(3点)

  • 3: AI技術の導入効果としての工数削減の対象が、簡潔かつ論理的に記述されている。
  • 2: 記述にやや冗長な部分があるか、関係性が少し不明瞭である。
  • 0: 論理的な記述になっていない。

解説

本問は、AI技術の導入による工数削減の効果について、対象者(誰が)と業務内容(何をすること)を特定する問題です。

新システムの方針において、AIを活用することで軽減される業務の一つに、物件の魅力を伝えるための紹介文の作成があります。この業務は営業担当者が行うものであり、具体的には「魅力的で効果的な物件情報の紹介文を検討すること」に該当します。

高得点のポイント

  • 知識・理解度(内容): 主体である「営業担当者」と、対象業務である「物件情報の紹介文を検討すること」を正確に把握できていること。
  • 論理性(構造): 工数削減の対象となる業務内容が、簡潔で分かりやすい文脈としてまとまっていること。

(2)

2つ目の解答を記入せよ。

模範解答

マネージャが物件情報の紹介文にK社として不適切な記載がないかどうかチェックすること

採点基準(配点 6点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 「誰が」(マネージャ)と「何をするか」(不適切な記載のチェック)が正確に把握できている。
  • 2: 「誰が」か「何をするか」のいずれかに軽微な誤りがある。
  • 0: 対象者や行動が正確に把握できていない。

論理性(構造)(3点)

  • 3: AI技術の導入効果としての工数削減の対象が、簡潔かつ論理的に記述されている。
  • 2: 記述にやや冗長な部分があるか、関係性が少し不明瞭である。
  • 0: 論理的な記述になっていない。

解説

本問は、設問2の2つ目の解答として、AI技術の導入による工数削減の効果について特定する問題です。

紹介文が作成された後、内容に問題がないかをチェックするプロセスが存在します。これはマネージャの業務であり、「物件情報の紹介文にK社として不適切な記載がないかどうかチェックすること」がAI技術によって代替または支援され、工数が削減される対象となります。

高得点のポイント

  • 知識・理解度(内容): 主体である「マネージャ」と、対象業務である「不適切な記載のチェック」を正確に把握できていること。
  • 論理性(構造): チェック対象と目的が整合しており、論理的な文として構成されていること。

設問3

〔新システムの方針〕の業務自動化について答えよ。

(1)

物件ステータスの値が“物件登録中”の媒介契約のうち,誰が何をした後に物件ステータスの値が“公開中”となるか。現在の業務内容を踏まえ25字以内で答えよ。

模範解答

マネージャが売却許可の申請を承認した後

採点基準(配点 6点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 「誰が」(マネージャ)と「何をした後か」(売却許可の申請を承認)を現在の業務内容から正しく特定できている。
  • 2: 特定した内容に一部不足または曖昧さがある。
  • 0: 担当者や行動が全く正しく特定できていない。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 物件ステータスが“公開中”になる条件としての行動が、因果関係を含め明確に記述されている。
  • 2: 因果関係の記述がやや不自然である。
  • 0: 条件としての論理的構造をなしていない。

解説

本問は、業務自動化に関連し、現在の業務内容を踏まえて物件ステータスの値が“公開中”へと遷移するための条件となる行動を特定する問題です。

物件情報が“公開中”となる前段階には、売却に向けた社内の承認プロセスが存在します。現在の業務内容によれば、営業担当者が申請を行い、最終的にマネージャが売却許可の申請を承認した後に初めて情報が公開される手順となっています。

高得点のポイント

  • 知識・理解度(内容): 主体である「マネージャ」と、必要なアクションである「売却許可の申請の承認」が正しく特定できていること。
  • 論理性(構造): 「〜をした後」というステータス遷移のトリガーとしての条件が明確に記述されていること。

(2)

本文中の下線②のある情報とは何か。10字以内で答えよ。

模範解答

折衝履歴情報

採点基準(配点 6点)

正確性(内容)(6点)

  • 6: 「折衝履歴情報」と正確に記述できている。
  • 3: 情報の特定はできているが、表現にブレがある。
  • 0: 異なる情報を答えている。

解説

本問は、新システムにおける業務自動化の対象となる情報の名称を答える問題です。

自動化や効率化を図るためには、過去の顧客とのやり取りや営業の経緯が記録されている情報源が必要です。この情報は、本文中で「折衝履歴情報」として定義されており、システムが次のアクションを提示するための重要なデータとして用いられます。

高得点のポイント

  • 正確性(内容): 指示語が指し示す情報が「折衝履歴情報」であることを正確に特定し、過不足なく記述できていること。

(3)

本文中の下線③に示す,報告期限までの残日数を算出する方法を45字以内で答えよ。

模範解答

当該契約の直近の営業活動報告書の提出日に契約別報告間隔を加えた日付と当日との差

採点基準(配点 6点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 報告期限の算出に必要な要素(直近の報告書提出日、契約別報告間隔、当日)を正しく理解し記述できている。
  • 2: 必要な要素の一部が欠落しているか、不正確である。
  • 0: 必要な要素が含まれていない。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 抽出した要素を用いた残日数の算出方法(加算や差分など)が論理的かつ明確に説明されている。
  • 2: 算出の論理構造にやや曖昧さがある。
  • 0: 算出方法として成り立たない。

解説

本問は、報告期限までの残日数を算出するロジックをシステム要件として設計する問題です。

残日数を算出するためには、まず「次の報告期限がいつか」を求める必要があります。これは「直近の営業活動報告書の提出日」に「契約別報告間隔」を加算することで求められます。そして、その算出された期限の日付と「当日」との差分を取ることで、残日数が導出されます。

高得点のポイント

  • 知識・理解度(内容): 算出に必要な3つの要素(直近の提出日、報告間隔、当日)がすべて含まれていること。
  • 論理性(構造): 加算と差分という計算の順序・構造が論理的かつ明確に説明されていること。

設問4

〔新システムの方針〕のデータの可視化について答えよ。

(1)

営業担当者のダッシュボードに成約率を表示する際の計算式を表すとしたら,次の式で示すことができる。

[図表: bb_19_1]

空欄aに入れる適切な字句を,表1中の物件ステータスの値を用いて35字以内で答えよ。

模範解答

物件ステータスの値が成約済,決済済,売却済の媒介契約数の合計

採点基準(配点 6点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 成約に該当する物件ステータス(成約済、決済済、売却済)を正確に特定できている。
  • 2: 成約済のみなど、対象ステータスの一部が不足している。
  • 0: 対象ステータスが誤っている、またはステータス値以外を記述している。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 計算式の分子として必要な「媒介契約数の合計」であることが論理的に正しく表現されている。
  • 2: 表現に不足があり、合計値であることがやや伝わりにくい。
  • 0: 計算式の要素として不適切な記述である。

解説

本問は、データの可視化において成約率を計算するための分子に該当する項目を、表中の具体的なステータス値を用いて定義する問題です。

成約率は、全体の媒介契約数に対して「成約に至った契約」がどれだけあるかを示す指標です。ステータス遷移において、「成約」とみなされる状態は「成約済」「決済済」「売却済」の3つが該当します。単に“売買契約が締結された状態”と説明するのではなく、表中の指定された用語を用いて数式の要素として記述する必要があります。

高得点のポイント

  • 知識・理解度(内容): 該当するステータスが「成約済」「決済済」「売却済」の3つであることを正確に特定できていること。
  • 論理性(構造): 分子としての役割を示すため、それらの「媒介契約数の合計」であることを論理的に記述できていること。

(2)

マネージャのダッシュボードに,マネージャが現在の業務で確認している営業担当者ごとの状況を表示する際の内容を35字以内で答えよ。

模範解答

営業担当者ごとの媒介契約数と各物件の物件ステータスの値の推移

採点基準(配点 6点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 現在の業務でマネージャが確認している内容(営業担当者ごとの媒介契約数、物件ステータスの推移)を正しく把握できている。
  • 2: 確認内容の一部が欠落している(契約数のみ、またはステータス推移のみなど)。
  • 0: マネージャが確認する内容を誤って解釈している。

論理性(構造)(3点)

  • 3: ダッシュボードに表示する内容として、要素が過不足なく整理され簡潔に表現されている。
  • 2: 文章構造にやや難があり、表示内容として分かりにくい。
  • 0: 表示内容として意味をなさない記述である。

解説

本問は、マネージャのダッシュボードにおいて、営業担当者ごとの状況を把握するために表示すべき内容を現行業務から抽出・設計する問題です。

マネージャは現在の業務において、各営業担当者がどれだけの案件を抱えているか、そしてそれらがどのような進捗状態にあるかを確認しています。したがって、表示すべき内容は「営業担当者ごとの媒介契約数」と「各物件の物件ステータスの値の推移」となります。これにより、ボトルネックの発見や適切な支援が可能となります。

高得点のポイント

  • 知識・理解度(内容): マネージャが必要とする「媒介契約数」と「物件ステータスの値の推移」の両方を正確に把握していること。
  • 論理性(構造): ダッシュボードの表示項目として、必要な情報が過不足なく整理された文章になっていること。

設問4(1)は,正答率がやや低かった。物件ステータスの値ではなく“売買契約が締結された状態”と成約の説明を誤って解答した受験者が多かった。本文中に記載されている物件ステータスの値の遷移を正しく理解した上で,正答を導き出してほしい。