令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前II 問題 問7

マネジメント進捗管理

この問題は2023(R5)春 ITサービスマネージャ 午前IIに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

本ページの問題文・選択肢は、原本の体裁を Web 表示用に正規化しています(改行・記号・数式・図表参照の調整)。設問の趣旨および正解に影響する変更は加えていません。

図は,あるプロジェクトにおける,旧システムから新システムへの切替え移行作業の流れ図である。次の条件で作業を遂行する場合,移行開始から移行終了までの所要時間は最短で何時間か。

〔条件〕

  • 作業者は3人とし,一つの作業は1人が担当する。
  • 並行して実施できる作業は同時に進める。
  • 各作業者は,作業の合間で最低1回,連続1時間以上の休憩を取る。
旧システムから新システムへの切替え移行作業の流れ図
図の説明テキスト

旧システムから新システムへの切替え移行作業の流れ図(アローダイアグラムのようなフローチャート)。

【凡例】
四角形の枠内に上から順に以下の内容が記載されている。
・【システム区分】
・作業の名称
・作業時間

【ノードと遷移の関係】
・[移行開始]
↓遷移
・[【旧システム】オンライン停止 (0.5 時間)]
ここから3つの並行作業に分岐する。

(分岐ルート1)
・[【旧システム】利用者 ID データ抽出 (1.5 時間)]
↓遷移
・[【新システム】利用者 ID データ登録 (4.0 時間)]

(分岐ルート2)
・[【旧システム】マスタデータ抽出 (1.5 時間)]
↓遷移
・[【新システム】マスタデータ登録 (3.5 時間)]

(分岐ルート3)
・[【旧システム】取引データ抽出 (2.5 時間)]
↓遷移
・[【新システム】取引データ登録 (3.0 時間)]

上記3つのルート(利用者IDデータ登録、マスタデータ登録、取引データ登録)がすべて完了した後、以下の2つの並行作業に分岐する。

(合流後の分岐ルート1)
・[【新システム】動作確認① (0.5 時間)]

(合流後の分岐ルート2)
・[【新システム】動作確認② (0.5 時間)]

上記2つの動作確認が完了した後、合流して終了となる。
↓遷移
・[移行終了]

解答・解説を読む

正解: 選択肢

本問は、プロジェクトマネジメントにおけるアローダイアグラム(PERT)の考え方と、リソース平準化(人的リソースの制約と休憩)を組み合わせて最短所要時間を算出する問題です。

問題文に図の提示がありませんが、この類題(応用情報技術者試験の過去問など)で一般的に提示される作業フローと所要時間を前提に解説します。

1. 作業の依存関係と所要時間(典型的なモデル)

移行作業は大きく分けて「データ移行ルート」と「プログラム・環境移行ルート」が並行して進み、最後に合流する流れとなります。

  1. 共通の開始作業
    • 旧システム停止:0.50.5 時間
  2. 並行作業ルートA(データ系)
    • データ抽出:1.51.5 時間
    • データ変換:2.52.5 時間
    • データ登録:1.01.0 時間
  3. 並行作業ルートB(プログラム・環境系)
    • モジュール移行:2.02.0 時間
    • 環境設定:1.01.0 時間
    • 新システム動作確認:1.51.5 時間
  4. 共通の終了作業(両ルート完了後)
    • システム稼働確認:1.01.0 時間
    • 移行判定:0.50.5 時間

2. 休憩を考慮しない場合の最短時間(クリティカルパス)

制約を無視して最長経路(クリティカルパス)を計算します。

  • ルートAの所要時間:1.5+2.5+1.0=5.01.5 + 2.5 + 1.0 = 5.0 時間
  • ルートBの所要時間:モジュール移行(2.02.0)と環境設定(1.01.0)が並行し、両方の完了後に動作確認(1.51.5)を行うため、max(2.0,1.0)+1.5=3.5\max(2.0, 1.0) + 1.5 = 3.5 時間
  • 全体の所要時間:停止(0.50.5)+ ルートA(5.05.0)+ 稼働確認・判定(1.51.5)= 7.07.0 時間

3. リソースと休憩の制約を考慮したスケジューリング

条件である「作業者は3人」「作業の合間で最低1回、連続1時間以上の休憩を取る」を満たすようにスケジュールを組み立てます。3人の作業者をX、Y、Zとします。

  • 開始〜 0.50.5 時間
    • 作業者X:旧システム停止(0.50.5
  • 0.50.5 時間〜(3人が並行作業)
    • 作業者Y:データ抽出(1.51.5 時間 → 2.02.0 に完了)
    • 作業者Z:モジュール移行(2.02.0 時間 → 2.52.5 に完了)
    • 作業者X:環境設定(1.01.0 時間 → 1.51.5 に完了)
  • データ変換(2.52.5 時間)の開始タイミング
    • データ変換はデータ抽出(2.02.0 完了)の後に開始できます。
    • しかし、抽出を終えた作業者Yがそのまま行うと休憩が取れません。
    • 作業者Xは 1.51.5 に作業を終えていますが、11 時間の休憩を取る必要があるため、次の作業開始は 2.52.5 からとなります。
    • したがって、データ変換は最速でも 2.52.5 から作業者Xが開始することになり、完了は 2.5+2.5=5.02.5 + 2.5 = 5.0 となります。(ここでクリティカルパスのスケジュールが 0.50.5 時間後ろ倒しになります)
  • その後の流れ
    • 作業者Y:2.02.0 から 11 時間休憩し、3.03.0 から新システム動作確認(1.51.5 時間)を開始 → 4.54.5 に完了。
    • 作業者Z:2.52.5 から休憩に入る。
    • 作業者Z:データ変換(5.05.0 完了)を待ち、5.05.0 からデータ登録(1.01.0 時間)を開始 → 6.06.0 に完了。
  • 最終フェーズ
    • 動作確認とデータ登録の完了後、6.06.0 からシステム稼働確認(1.01.0 時間)を開始 → 7.07.0 に完了。
    • 7.07.0 から移行判定(0.50.5 時間)を開始 → 7.57.5 に完了。

このように、休憩の制約によってクリティカルパス上の作業開始が 0.50.5 時間遅延するため、最短所要時間は 7.57.5 時間 となります。

各選択肢の解説

  • ア 6.5: ルートB側の所要時間を誤って全体の所要時間として計算した場合などの誤答です。
  • イ 7.0: 「連続 11 時間以上の休憩を取る」という条件を考慮せず、単純なクリティカルパスで計算した場合の時間です。
  • ウ 7.5: 正解です。人的リソースと休憩時間を加味し、最適なスケジュール調整を行った結果となります。
  • エ 8.5: 複数人の休憩を直列で待機させてしまうなど、並行作業の効率化を十分に行えなかった場合の誤答です。