平成9年度 宅地建物取引主任者資格試験 問40
宅地建物取引業者Aが, 売主B, 買主Cとする建物の売買の媒介をした場合に関する次の記述のうち, 宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。
解答・解説
正解: 3. Aは, 建物の引渡しの時期についてBとCの合意が不確定であったので, 売買契約が成立するまでの間に, 当該事項をCに説明しなかった。
正解の根拠
本問は、宅地建物取引業法(以下、宅建業法)における重要事項説明(第35条)や契約締結等の制限(第47条)に関する理解を問う問題です。
正解は 選択肢3 です。建物の「引渡しの時期」は、売買契約成立後に交付する 37条書面(契約書面) の必要的記載事項ですが、契約成立前に説明すべき 35条書面(重要事項説明) の対象事項ではありません。したがって、契約成立前に説明しなかったとしても宅建業法には違反しません。
各選択肢の解説
選択肢1:違反する
宅建業者が、手付金について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為は、宅建業法第47条第3号により固く禁じられています。手付金の立て替えはこれに該当するため、違反となります。選択肢2:出題当時は違反する
宅建業者は、代金に関する金銭の貸借のあっせん(住宅ローンなど)を行う場合、そのあっせんの内容だけでなく、「当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置」 についても、契約成立前に重要事項として説明しなければなりません(宅建業法第35条第1項第12号)。したがって、説明しなかったことは違反となります。選択肢3:違反しない(正解)
建物の「引渡しの時期」は、37条書面には必ず記載しなければなりませんが、35条書面(重要事項説明) の記載事項(説明義務の対象)には含まれていません。そのため、契約成立前に当該事項を説明しなかったとしても、宅建業法の規定には違反しません。選択肢4:出題当時は違反する
「契約の解除に関する事項」は、重要事項説明において必ず説明しなければならない事項です(宅建業法第35条第1項第8号)。重要事項説明義務は絶対的な義務であり、説明をしなかったことについて故意がなく過失であったとしても、免責されず宅建業法違反となります。
現行法での扱い(2026年4月1日時点)
出題当時は相手方の属性にかかわらず重要事項の説明が必要で、選択肢 2と選択肢 4は誤りでした。2017年4月1日施行の「宅地建物取引業法の一部を改正する法律」により、買主が宅地建物取引業者の場合は説明が不要となりました。本問は買主Cの属性の記載がないため、現行法では選択肢 2と選択肢 4は問題文だけでは正誤が決まりません。そのため、正解も一つに定まりません。