「物権総論・占有」の過去問(権利関係・5問)
1. この分野は何か
民法における権利は、大きく分けて「物権(物に対する権利)」と「債権(人に対する権利)」があります。本分野では、物権全体に共通するルール(物権法定主義など)と、事実上物を支配している状態そのものを保護する「占有権」について学びます。
2. 学習のポイント
- 物権と債権の違い:物権(所有権など)は誰に対しても主張できる強い権利(絶対権)ですが、債権(お金を返してもらう権利など)は特定の相手方にしか主張できない弱い権利(相対権)です。
- 占有権の性質:占有権は「正しい権利(本権)があるかどうか」に関わらず、今現在その物を支配しているという事実状態を保護する権利です。泥棒であっても、盗んだ品物を支配していれば占有権が認められます。
- 自主占有と他主占有:「自分の物だ」と思ってする占有(所有の意思がある占有)を自主占有といい、「他人の物だ」と分かって借りているような占有を他主占有といいます。取得時効が成立するためには「自主占有」であることが必要です。
3. 実際の出題のされ方
宅建試験では、物権総論単独での出題は少なく、時効や物権変動の前提知識として問われることがほとんどです。ただし、占有権については、占有回収の訴え(他人に物を奪われた時に取り返す権利)や、占有の承継(前の占有者の占有期間と瑕疵を引き継ぐルール)が時効の事例問題に絡めて出題されます。
4. 間違えやすいところ
占有回収の訴え
自分が占有している物を「奪われた」場合のみ、占有回収の訴えを起こして物を取り返すことができます。騙されて(詐欺)自ら引き渡してしまった場合や、置き忘れた(遺失)場合には「奪われた」わけではないため、占有回収の訴えは起こせません(この場合は所有権に基づく返還請求など別の方法を検討します)。
即時取得
動産(時計や宝石など)を、他人の物だと知らずに(善意無過失で)取引によって譲り受けた場合、相手が真の所有者でなくても即座に所有権を取得できる制度です。不動産(土地や建物)には即時取得は適用されません。登記には公信力(信じて取引した者を保護する力)がないため、不動産の場合は真の所有者からの返還請求には勝てません。
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