令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後 I 問題 問2 部門横断プロジェクトのマネジメント組織設計
マネジメントプロジェクト計画ステークホルダー・要員
この問題は2024(R6)秋 プロジェクトマネージャ 午後Iに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
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学習ガイド
プロジェクト作業と保守作業が混在する体制で、複数の部門システムを並行開発するプロジェクトのマネジメント計画を扱った問題です。全部門を一つのプロジェクトとして束ねる判断、PMOの組成、各課長に担わせる管理活動など、マネジメント組織の設計判断が連続して問われます。この記事では、F氏が何の情報をどこに集めようとしたのかという観点で各下線部の意図をたどり、制約字数に収める要約手順も添えます。
この記事で押さえる論点
- 複数部門・複数課が関わるプロジェクトを単一マネジメントに統合する理由を説明する
- PMOと各課長の役割分担からマネジメント組織の設計意図を読み取る
- 共通のプロジェクトマネジメント方法(PMM)を定める際の考慮点を整理する
出題情報
- 出題
- 2024(R6)秋 プロジェクトマネージャ 午後I 問2
- 配点
- 50点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
ステークホルダの特性,システム開発における役割分担など,プロジェクトマネジメントの方法が異なる部門を横断して実行するプロジェクトにおいて,プロジェクトマネージャ(PM)は,目標や制約などを考慮して,最適なプロジェクトマネジメントの方法を採用しなければならない。本問では,プロジェクト作業と保守作業とがシステム部の各課内に混在し,かつ,複数の部門システムを各課が連携しながら並行して開発するプロジェクトを題材として,最適なプロジェクトマネジメントを実施していく上でのプロジェクトマネジメント組織の組成,マネジメント計画の作成について,PMとしての実践的な能力を問う。
問2では,プロジェクト作業と制度改正作業とが並行して実施されるプロジェクトを題材に,プロジェクトマネジメントの方法(以下,PMMという)を決めていく際の計画の作成について出題した。全体として正答率は平均的であった。
問題本文
問2 プロジェクトマネジメントの計画に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。
E社は,営業部門,工事部門,管理部門など複数の部門をもつ通信事業者である。E社では,共通基盤上に仮想化技術によって部門の業務に最適化した部門ごとのシステム(以下,現部門システムという)を構築しており,現部門システム間は疎な関係で連携していた。しかし,共通基盤の老朽化と現部門システムの保守性の低下でシステム投資が増え,E社の課題となっていた。そこで,共通基盤にPaaSを採用し,現在と同様に部門ごとに新しいシステム(以下,新部門システムという)を再構築する計画を決定した。この計画では,現在の共通基盤の保守期限切れとなる計画時点の2年後に,全部門の新部門システムを同時稼働させることになっていた。
新部門システムの再構築は,6か月間で要件定義を行い,その後の18か月間で開発を行う計画であったが,要件定義の期間中にE社の事業に影響する制度改正が決まり,現部門システムを制度改正の施行までに改修することが必須となった。そこで,新部門システムの要件定義を開始後3か月の時点で中断し,現部門システムの定常の保守作業も中止して,現部門システムの制度改正対応の保守作業(以下,制度改正作業という)に一時的に注力することになった。その結果,図1に示すように,新部門システムの要件定義は計画より3か月遅れで完了した。なお,制度改正は,現時点から9か月後,新部門システムの稼働の6か月前に施行される。現在の共通基盤は保守期限切れとなるので新部門システムの稼働時期を守ることが必須であり,新部門システムの再構築計画の見直しを行った結果,新部門システムの開発は,要件を優先度の高いものに絞ることによって,計画より3か月間短縮した15か月間で実施するスケジュールとなった。

図の説明テキスト
図1 新部門システムの再構築と制度改正作業のスケジュール
横軸に「経過月(か月)」をとり、各作業のスケジュールを矢印で示した表。
| 経過月(か月) | 1-3 | 4-6 | 7-9 | 10-12 | 13-15 | 16-18 | 19-21 | 22-24 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| マイルストーン | ▼計画時点(3か月目末) | ▼現時点(9か月目末) | ▼制度改正の施行(18か月目末) | ▼新部門システムの稼働(24か月目末) | ||||
| 新部門システムの再構築(計画時点のスケジュール) | 要件定義(1-6) | 要件定義(1-6) | 開発(7-24) | 開発(7-24) | 開発(7-24) | 開発(7-24) | 開発(7-24) | 開発(7-24) |
| 新部門システムの再構築(現時点のスケジュール) | 要件定義(1-3) | 中断(4-6) | 要件定義(7-9) | 開発(10-24) | 開発(10-24) | 開発(10-24) | 開発(10-24) | 開発(10-24) |
| 制度改正作業(現部門システム) | 要件定義(4-9) | 要件定義(4-9) | 開発(10-18) | 開発(10-18) | 開発(10-18) |
E社のシステム部には,担当する部門ごとに課が置かれている。システム開発は,担当する課がプロジェクトを立ち上げて実施している。各課では,営業部門向けでは変化への適応スピード重視,工事部門向けでは安定性重視など,担当する部門の業務特性や状況に合わせた部門ごとの“プロジェクトマネジメントの方法”(以下,PMMという)によって部門に協力していたので,各課のメンバーと担当する部門のステークホルダーとの間には信頼関係が築かれていた。一方で,課ごとのPMMの違いによって,システム部のメンバーの育成の共通化や他の課への柔軟な異動ができず,システム部内で他の課と情報を共有して共同作業を行うことが難しくなっていた。制度改正作業の要件定義では,ある現部門システムでの課題への対応方針と他の現部門システムでの課題への対応方針がPMMの違いで対立するなど,部門を担当する課の間で課題への対応の合意に時間を要し,制度改正の施行に間に合わないリスクの要因となっていた。また,開発成果物の構成管理は,担当する現部門システムの品質と信頼性を維持するために,担当する各課が,それぞれ異なるプロセス,ツールを適用するなど個別のやり方で実施しており,システム部全体としての開発効率が悪化する原因にもなっていた。
〔プロジェクトの立ち上げ〕
現在E社システム部の副部長で,長く管理部門を担当する課の課長であったF氏は,新部門システムの再構築に要件定義から参加してきた。新部門システムの開発は,要件定義の結果を基に,担当する各課でスコープを定義して作業する。F氏は,部門ごとに稼働時期を決めていた現部門システムとは異なり,①全部門の新部門システムの同時稼働が必須であることから,全部門の新部門システムの開発の作業を一つのプロジェクト(以下,本プロジェクトという)としてマネジメントすることにし,自らがプロジェクトマネージャ(PM)を担うこととした。
F氏は,自身の経験が豊富な管理部門を担当する課のPMMを本プロジェクトに全面的に適用することを考えたが,②特定の課のPMMを本プロジェクトに全面的に適用すると,スケジュール遅延のリスクが高まると判断した。そこで,各課のPMMを生かしつつ,一つのプロジェクトとしてマネジメントするために,共通化したPMM(以下,共通PMMという)を適用するマネジメントプロセスと,各課のPMMを適用するマネジメントプロセスを区分けすることにした。新部門システムの開発において,複数の課の開発に影響するマネジメントプロセスには共通PMMを適用し,それ以外の課ごとに異なっていても問題のないマネジメントプロセスには,各課のPMMを適用する。
〔共通PMMのマネジメント組織の検討〕
F氏は,共通PMMを導入して実行するためのマネジメント組織を検討することにし,プロジェクトの特性を次のように整理した。
- 本プロジェクトのPMであるF氏自身は,担当してきた管理部門のステークホルダーとの信頼関係は築けているが,それ以外の部門のステークホルダーとの関係性は薄い。
- 本プロジェクトの開発のメンバーはシステム部の各課から選任するが,メンバーの多くは,制度改正作業も兼任して稼働する。
- 各課長は,課内の各メンバーの本プロジェクトと制度改正作業との稼働割合を設定し,設定した稼働割合を基に,新部門システムの開発スケジュールを作成する。
- 本プロジェクトの円滑な推進には,部門のステークホルダーとの信頼関係の維持・構築が欠かせない。
F氏は,上記を踏まえて,共通PMMの実行組織として,F氏の下にシステム部内の関係する全課長をメンバーとするPMOを設置することにし,各課長に次の活動を指示した。
(a) PMOのメンバーとして,課の垣根を越えてプロジェクト全体を見て共通PMMを用いたマネジメント活動を行う。これに加えて,本プロジェクトを担当する課の長として,各課のPMMを用いたマネジメント活動を行う。
(b) 各課長は,課の個々のメンバーの稼働状況について問題があれば,本プロジェクトに関する事項はF氏に,制度改正作業に関する事項はシステム部長に報告し,必要な調整をした上で対応を行う。
(c) 本プロジェクト及び制度改正作業を担当する課の長として,これまでと同様に担当する部門のステークホルダーとの信頼関係の維持に努める。
また,F氏は,本プロジェクト又は制度改正作業のいずれかで作業の進捗遅れが発生し,課内の本プロジェクト及び制度改正作業の中での対応が困難な場合には,システム部長,F氏,各課長が出席する③毎週の部会において全員で対策を協議することとし,システム部長の承認を得た。
〔共通PMMのマネジメント計画の検討〕
本プロジェクトの最大のリスクは,新部門システムの開発スケジュールの遅延である。F氏は,課題管理について,制度改正作業で課題の対応の合意に時間を要したことから,新部門システムの開発においても,担当する課固有の課題以外に,課を横断する課題が発生し,対応に時間を要する可能性があると考えた。そこでF氏は,④全部門の新部門システムの進捗会議にPMOの全メンバーの参加を必須とし,課題対応の調整をPMOの責務とすることを,共通PMMとして定めることにした。
F氏は,共通PMMの適用による,本プロジェクトでの開発効率の改善を図るために,⑤各課が個別のやり方で開発成果物の構成を管理している方法を見直すことにした。
設問と解答・解説
設問1
〔プロジェクトの立ち上げ〕について答えよ。
(1)
本文中の下線①について,F氏が,全部門の新部門システムの開発の作業を一つのプロジェクトとしてマネジメントすることにした背景にある,現在のシステム部の組織としての問題は何か。35字以内で答えよ。
模範解答
システム部内で他の課と情報を共有して共同作業を行うことの難しさ
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: システム部内で他課と情報共有し共同作業を行う難しさを的確に捉え記述している。
- 3点: 他課との情報共有または共同作業のいずれかの難しさに明確に言及できている。
- 2点: 他部門との連携の課題に触れているが、記述がやや抽象的である。
- 1点: 組織的問題に触れているが、内容が不十分である。
- 0点: 該当する問題に言及していない。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 制限文字数内で、背景にある問題点を簡潔かつ論理的に説明している。
- 2点: 制限文字数内で説明しているが、やや冗長または言葉足らずな部分がある。
- 1点: 意味は通じるが、文脈としての繋がりが不自然である。
- 0点: 論理的な文意をなしていない。
解説
解説
本設問は、複数の部門システムを各課が連携しながら並行して開発するプロジェクトにおいて、PMが直面する組織的な問題を問う問題である。
プロジェクト立ち上げにおいて、F氏は各課が個別にPMMを適用して開発することの限界を感じていた。
その背景には、各課が独立して業務を行っており、他課との情報共有や共同作業が困難であるという現状のシステム部の組織的課題が存在する。
したがって、これらの課題を克服するために、全システムを統合した一つのプロジェクトとしてマネジメントする必要があった。
高得点のポイント
システム部内での他課との情報共有が困難であることに言及していること
共同作業を行うことの難しさという課題の本質を的確に捉えていること
(2)
本文中の下線②について,F氏が,特定の課のPMMを本プロジェクトに全面的に適用すると,スケジュール遅延のリスクが高まると判断した理由は何か。30字以内で答えよ。
模範解答
不慣れなPMMを適用して生産性が低下する課があるから
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 不慣れなPMMの適用により、特定の課の生産性が低下することを明確に記述している。
- 3点: PMMの不慣れさ、または生産性の低下のいずれかに明確に言及している。
- 2点: スケジュール遅延の一般的な要因に触れているが、PMMや生産性の観点が弱い。
- 1点: リスクの要因に触れているが、文意が曖昧である。
- 0点: スケジュール遅延の理由として不適切である。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 理由として因果関係を論理的に記述している。
- 2点: 因果関係はわかるが、記述がやや不自然である。
- 1点: キーワードの羅列に留まり、理由としての構造が弱い。
- 0点: 非論理的である。
解説
解説
F氏が特定の課のPMMを全面的に適用した場合のリスクについて問われている。
各課は独自のPMMで業務を行っているため、他課のPMMを強制されると、不慣れなPMMを適用することになる。
その結果、作業効率が悪化し、生産性が低下する課が発生するため、全体のスケジュール遅延のリスクが高まると判断された。
サブ設問講評にもある通り、課題への対応方針の対立などではなく、PMM適用時の実務的な問題点に着目する必要がある。
高得点のポイント
不慣れなPMMの適用という原因に言及していること
それによって生産性が低下するという結果に結びつけていること
設問1(2)は,正答率が低かった。“課題への対応方針の対立”や“課題対応の合意に時間を要する”と誤って解答した受験者が多かった。実際に特定の課のPMMを適用する際に対応しなければいけない事項や時間の掛かる要素など,PMMを適用する際の問題点に着目して,正答を導き出してほしい。
設問2
〔共通PMMのマネジメント組織の検討〕について答えよ。
(1)
F氏は,各課長に(b)の活動を行わせることによって,個々のメンバーの何を管理させようとしたのか。30字以内で答えよ。
模範解答
本プロジェクトと制度改正作業の稼働割合と作業進捗
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 本プロジェクトと制度改正作業の稼働割合と作業進捗の両方を管理させることを明確に示している。
- 3点: 稼働割合と作業進捗のいずれか一方を具体的に示している。
- 2点: メンバーの作業状況や負荷など、抽象的な表現にとどまっている。
- 1点: 管理すべき対象を漠然と述べているのみである。
- 0点: 管理すべき対象を正しく捉えられていない。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 2つの作業における管理項目を対比または並列して分かりやすく記述している。
- 2点: 管理項目を挙げているが、修飾関係がやや不自然である。
- 1点: 要素の羅列にとどまっている。
- 0点: 意味をなさない。
解説
解説
マトリクス型組織におけるプロジェクトマネジメントとラインマネジメントのコンフリクトに関する問題である。
各メンバーは、本プロジェクトと並行して制度改正作業にも従事している。
コンフリクトによる作業の進捗遅れを防ぐため、各課長はメンバーごとの稼働割合を適切に設定し、両方の作業進捗を管理する必要がある。
高得点のポイント
管理対象である本プロジェクトと制度改正作業の両方を挙げていること
管理すべき指標として稼働割合と作業進捗に言及していること
(2)
F氏が,各課長に(c)の活動を行わせることによって補うことにした,自らに不足していた点は何か。25字以内で答えよ。
模範解答
管理部門以外のステークホルダとの信頼関係
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 管理部門以外のステークホルダとの信頼関係が不足している点を正確に指摘している。
- 3点: ステークホルダとの信頼関係に触れているが、管理部門以外という限定が抜けている。
- 2点: 業務部門との関係性など、類義の表現で不足事項を説明している。
- 1点: 他部門との関係など、漠然とした記述にとどまっている。
- 0点: F氏の不足事項を正しく指摘できていない。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 制限文字数以内で、不足している対象と内容を端的に表現している。
- 2点: 要素は含まれるが、やや冗長な表現になっている。
- 1点: 文としてのまとまりに欠ける。
- 0点: 意味をなさない。
解説
解説
PMとしてのF氏に不足していたスキルや要素を、各課長の協力を得ることで補完する意図を問う問題である。
F氏は管理部門のシステム開発の経験は豊富だが、業務部門など管理部門以外のステークホルダとの関わりが少なかった。
そのため、各課長がこれまでに築いてきたステークホルダとの信頼関係を活用し、プロジェクトを円滑に進める必要があった。
高得点のポイント
不足していた対象が管理部門以外のステークホルダであることを明記していること
その対象との信頼関係であると述べていること
(3)
本文中の下線③について,F氏が,毎週の部会において全員で対策を協議することにした理由は何か。25字以内で答えよ。
模範解答
本プロジェクトと制度改正作業の間で調整するため
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 本プロジェクトと制度改正作業の間の競合や進捗遅れを調整するためであることを正確に記述している。
- 3点: 二つの作業の調整であることはわかるが、名称が不正確である。
- 2点: 部全体での稼働調整など、抽象的な目的を記述している。
- 1点: 対策を協議する理由として不十分な記述にとどまっている。
- 0点: 理由を正しく捉えられていない。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 制限文字数以内で、調整の対象と目的を明確に記述している。
- 2点: 目的はわかるが、理由を示す文末表現になっていない。
- 1点: 要素の羅列にとどまっている。
- 0点: 非論理的である。
解説
解説
マトリクス型組織において、課内の調整だけでは解決できない稼働のコンフリクトへの対応を問う問題である。
課内での稼働割合の見直しで対応が困難な場合、課の垣根を越えた部全体での調整が必要となる。
そのため、毎週の部会で本プロジェクトと制度改正作業の間の稼働や進捗について、全員で対策を協議し調整することが求められた。
高得点のポイント
調整の対象が本プロジェクトと制度改正作業の間であることを示していること
対立を解消し調整するためという目的が記述されていること
設問2(3)は,正答率が平均的であった。本問は,マトリクス型組織における,プロジェクトマネジメントとラインマネジメントのコンフリクトの解消に関する設問である。コンフリクトの結果が,本文中の“本プロジェクト又は制度改正作業のいずれかで作業の進捗遅れが発生”であり,この原因は“各課長が設定した各メンバーの稼働割合”である。解決に向けた一次的な対策は“課内での調整(稼働割合の見直し)”だが,それでも対応が困難な場合には“課の垣根を超えた(部としての)稼働調整”を行う必要があることを理解し,正答を導き出してほしい。
設問3
〔共通PMMのマネジメント計画の検討〕について答えよ。
(1)
本文中の下線④について,F氏が,全部門の新部門システムの進捗会議にPMOの全メンバーの参加を必須とし,課題対応の調整をPMOの責務とした狙いは何か。30字以内で答えよ。
模範解答
課を横断する課題の早期検知と,対応方針の早期合意
採点基準(配点 8点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 課を横断する課題の早期検知と対応方針の早期合意の両方に言及している。
- 3点: 課題の早期検知、または対応方針の早期合意のいずれかについて明確に記述している。
- 2点: 課題対応の迅速化など、抽象的な表現で狙いを述べている。
- 1点: PMOの役割に触れているが、狙いとしては不十分である。
- 0点: 狙いを正しく捉えられていない。
論理性(構造)(4点)
- 4点: 二つの目的を簡潔かつ論理的に並列させて記述している。
- 3点: 並列関係がやや不明瞭だが、意味は通じる構造である。
- 2点: 要素は含まれているが、冗長または不自然な文脈である。
- 1点: キーワードの羅列にとどまる。
- 0点: 非論理的である。
解説
解説
PMOが横断的な進捗会議に参加し、課題対応の調整を責務とする目的を問う問題である。
複数課が関与する大規模プロジェクトでは、課間の連携ミスや課題への対応方針の対立が発生しやすい。
サブ問題講評にもある通り、対応方針の合意に時間を要することが問題となるため、PMOが介入することで課を横断する課題の早期検知を図る。
さらに、利害調整を行って対応方針の早期合意を形成することがPMOに期待される狙いである。
高得点のポイント
課を横断する課題の早期検知に言及していること
対応方針の早期合意という目的に触れていること
(2)
本文中の下線⑤について,F氏が,各課が個別のやり方で開発成果物の構成を管理している方法をどのように見直すのか。30字以内で答えよ。
模範解答
新システムに関する全ての開発成果物を一元管理する。
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 新システムに関する全ての開発成果物を一元管理する方針への見直しであることを明確に記述している。
- 3点: 開発成果物の一元管理に言及しているが、対象の限定が不足している。
- 2点: 共通のルールで管理する等、一元管理に近い表現にとどまる。
- 1点: 管理方法の統一に触れているが、具体性に欠ける。
- 0点: 見直しの内容を正しく捉えられていない。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 制限文字数以内で、対象と見直し後の状態を端的に記述している。
- 2点: 内容は理解できるが、やや回りくどい表現になっている。
- 1点: 意味は通じるが、文としてのまとまりに欠ける。
- 0点: 非論理的である。
解説
解説
各課が個別に管理している開発成果物の構成管理手法を、プロジェクト全体でどのように統一するかを問う問題である。
個別管理のままでは、課間の連携作業においてバージョン不整合や最新版の共有漏れなどのリスクが生じる。
これを防ぐため、F氏は新システムに関する全ての開発成果物を対象とし、それらを一元管理する仕組みへと見直す方針とした。
高得点のポイント
管理対象が新システムに関する全ての開発成果物であると特定していること
見直し後の状態として一元管理する旨が記述されていること