平成元年度宅地建物取引主任者資格試験 問7

抵当権に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 誤っているものはどれか。

解答・解説

正解: 4. 土地に抵当権を設定した後, 抵当権設定者がその抵当地に建物を築造した場合, 抵当権者は, 建物を土地とともに競売して, 建物の競売代金からも優先弁済を受けることができる。

本問は、抵当権の目的物や効力が及ぶ範囲、および一括競売に関する民法の規定と判例の理解を問う問題です。
誤っている選択肢は 4 です。

正解の根拠

選択肢4は、一括競売に関する記述です。
土地に抵当権を設定した後に、その土地上に建物が築造された場合、抵当権者は土地とともに建物を競売することができます(一括競売)。
しかし、抵当権の効力はあくまで抵当権の目的物である土地にしか及ばないため、建物の競売代金から優先弁済を受けることはできません(民法第389条1項ただし書)。建物の代価からも優先弁済を受けられるとする本選択肢は誤りです。

各選択肢の解説

  • 選択肢1(正しい)
    抵当権は、不動産(土地および建物)のほか、地上権および永小作権を目的として設定することができます(民法第369条第1項・第2項)。
  • 選択肢2(正しい)
    出題当時の民法では、抵当権の効力は、原則として抵当不動産から生じる果実には及びませんでしたが、その不動産につき差押えがあった後に生じた果実には及ぶとされていました(旧民法第371条)。
  • 選択肢3(正しい)
    抵当権の効力は、原則として抵当不動産に付加して一体となっている物(附合物)に及びます(民法第370条本文)。また、判例により、抵当権設定当時に存在した従物についても、原則として抵当権の効力が及ぶと解されています。

現行法での扱い(2026年4月1日時点)

出題当時、抵当権の効力が果実に及ぶ要件は不動産の差押えでした。2004年4月1日施行の「担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律(平成15年法律第134号)」で、この要件が債務不履行に変更されました。これにより、元から誤りである選択肢 4に加え、現行法では選択肢 2も誤りとなるため正解が複数になります。

Spineチーム