平成3年度宅地建物取引主任者資格試験 問6
権利関係保証・連帯債務
A及びBは, Cの所有地を買い受ける契約をCと締結し, 連帯して代金を支払う債務を負担している。この場合, 民法の規定によれば, 次の記述のうち誤っているものはどれか。
解答・解説
正解: 2. CがAに対して期限の猶予をしたときは, Bの債務についても, 期限が猶予される。
本問は、連帯債務における 絶対的効力(絶対効) と 相対的効力(相対効) について問う問題です。連帯債務者の一人に生じた事由が他の連帯債務者にも影響を与えるものを絶対効、影響を与えないものを相対効と呼びます。
※本解説は出題当時の旧民法(2020年4月施行前の改正前民法)を前提としています。現行民法では絶対効の範囲が縮小されている点に注意してください。
正解の根拠
連帯債務においては、原則として連帯債務者の一人に生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じません(相対的効力の原則)。
債権者が連帯債務者の一人に対して行った 期限の猶予 は、相対的効力しか持ちません。したがって、CがAに対して期限を猶予したとしても、Bの債務については期限が猶予されるわけではありません。よって、選択肢2は誤りとなります。
各選択肢の解説
選択肢1(正しい)
旧民法下では、連帯債務者の一人のために 消滅時効 が完成したときは、その者の負担部分の割合に応じて、他の連帯債務者も義務を免れるとされていました(時効の絶対効)。したがって、Aの債務が時効消滅すれば、BはAの負担部分について支払いを免れます。
(※現行民法では、時効の完成は相対効へと変更されています)選択肢2(誤り・正解)
前述の通り、期限の猶予 は相対的効力しか持ちません。CがAに対して期限の猶予を与えても、Bの債務の期限は猶予されません。選択肢3(正しい)
旧民法下では、連帯債務者の一人に対する 履行の請求 は、他の連帯債務者に対してもその効力を生じるとされていました(請求の絶対効)。したがって、CがBに請求して時効が中断(現行法での更新)すれば、Aの時効も中断されます。
(※現行民法では、履行の請求は原則として相対効へと変更されています)選択肢4(正しい)
債務者による 債務の承認 は、旧民法下であっても相対的効力しか持ちません。したがって、Aが債務を承認して時効が中断しても、その効力はBには及ばず、Bの債務の時効は中断されません。
補足:現行民法(2020年施行)における絶対効
現行民法では連帯債務における絶対効が大きく縮小され、当事者間に別段の合意がない限り、絶対効が生じるのは 更改・相殺・混同 の3つのみとなりました。履行の請求や時効の完成、免除などはすべて相対効とされています。
現行法での扱い(2026年4月1日時点)
2020年4月1日施行の民法改正により、連帯債務における「時効の完成」と「履行の請求」の効力が変更されました。出題当時は、連帯債務者の一人について生じたこれらの事由は、他の債務者にも効力が及ぶ絶対効とされていました。しかし現行法では、これらは他の者に効力が及ばない相対効へと変更されています。そのため、現行法では正解が複数になります。