平成4年度 宅地建物取引主任者資格試験 問6

Aは, BのCに対する債務を担保するため, Aの所有地にCの抵当権を設定し, その旨の登記も完了した後, 建物を新築して, Dに対し当該土地建物を譲渡した。この場合, 民法の規定によれば, 次の記述のうち正しいものはどれか。

解答・解説

正解: 4. Dは, B及びCの反対の意思表示のないときは, Bの債務を弁済して, 抵当権を消滅させることができる。

正解は 4 です。

本問は抵当権と第三取得者に関する民法の規定を問う問題です。
抵当不動産を譲り受けた第三取得者(D)は、弁済をするについて正当な利益を有する第三者に該当するため、債務者や債権者の意思に関わらず第三者弁済を行い、抵当権を消滅させることができます。

各選択肢の解説

  • 選択肢1(誤り※出題当時)
    出題当時の旧民法(旧381条)では、抵当権を実行する前に第三取得者へ通知する義務がありましたが、平成15年の民法改正によりこの規定は削除されました。したがって、現行法では第三取得者(D)への事前通知なく抵当権を実行することが可能であり、現行法下では正しい記述となります。本問は過去の出題時の基準に基づいて誤りの選択肢として作られています。

  • 選択肢2(誤り)
    抵当権設定後に抵当地に建物が築造された場合、抵当権者(C)は土地とともにその建物を競売することができます(一括競売、民法389条1項)。しかし、抵当権の効力はもともと土地にしか及んでいないため、優先権を行使できるのは土地の代価についてのみであり、建物の売却代金から優先して弁済を受けることはできません。したがって誤りです。

  • 選択肢3(誤り)
    出題当時の民法では、売買の目的物に抵当権が設定されている場合、買主(D)は、抵当権の行使(実行)によって所有権を失ったとき等に売買契約を解除することができました(旧民法567条1項)。抵当権が設定されているという事実だけで、実行前に直ちに解除することはできなかったため誤りです。

  • 選択肢4(正しい)
    抵当不動産の第三取得者(D)は、弁済について正当な利益を有する第三者に該当します(民法474条2項)。そのため、債務者(B)や債権者(C)の意思に反しても弁済することができます。反対の意思表示があっても弁済できる以上、「反対の意思表示のないとき」に弁済できるのは当然であり、正しい記述となります。

現行法での扱い(2026年4月1日時点)

出題当時は抵当権実行前の第三取得者への通知が必要でしたが、2004年4月1日施行の改正で不要となり、選択肢1は正しい記述に変わりました。また、出題当時は実行前の契約解除は不可でしたが、2020年4月1日施行の改正で可能になりました。ただし、解除の可否は催告の有無等に左右されるため、選択肢3は問題文だけでは正誤が決まりません。

Spineチーム