令和元年度 宅地建物取引士資格試験 問2

AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

解答・解説

正解: 4. Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失があったとしても、AはBに対して、錯誤による当該意思表示の無効を主張して、甲土地の返還を請求することができる。

本設問は、意思表示の瑕疵(詐欺・錯誤)と第三者との関係などを問う問題です。正解は 選択肢4 です。

出題当時の民法では、表意者(A)に 重大な過失 がある場合、錯誤による無効を主張することはできませんでした。したがって、AはBに対して無効を主張して甲土地の返還を請求することはできないため、この記述は誤りとなります。

各選択肢の解説

  • 選択肢1(正しい): 詐欺による取消し 後 に現れた第三者(C)と、取消しをした者(A)との関係は、対抗問題(二重譲渡に類似した関係)となります。したがって、先に登記を備えた方が優先されます。Cが背信的悪意者でなければ、Aは登記なくしてCに返還を請求することはできません。
  • 選択肢2(正しい): 詐欺による取消し 前 に現れた第三者(C)に対し、詐欺による取消しは 善意無過失の第三者 には対抗できません。しかし、本肢のCは 悪意 であるため、Aは詐欺による取消しを対抗でき、甲土地の返還を請求することができます。
  • 選択肢3(正しい): 出題当時の民法では、錯誤による意思表示について、表意者(A)に重大な過失がない場合、錯誤による無効を主張することができました。これを第三者(C)に対しても主張できたため、AはCに対して返還を請求することが可能でした。
  • 選択肢4(誤り): 上記「正解の根拠」で述べた通り、表意者に 重大な過失 がある場合は、原則として錯誤による無効を主張することができません。

現行法での扱い(2026年4月1日時点)

出題当時は重過失があれば相手方に無効を主張できず、なければ第三者に無効を主張できました。2020年4月1日施行の民法改正により、重過失があっても相手方の認識等で取消しが可能となり、取消しは善意無過失の第三者に対抗できなくなりました。問題文にCの善意無過失やBの認識の記載がなく選択肢 3と選択肢 4の正誤が決まらないため、問題文だけでは正解が一つに定まりません。

Spineチーム