IPA 業務分析・OR — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

在庫をいつ、どれだけ補充するか、部品をいくつ手配するか、限られた材料で何をいくつ作るか、競合の出方をどう読むかといった判断を、表や式に置き換えて数値で答えを出す手法がこの分野にまとまっています。業務の問題点を図に描いて原因と結果のつながりを探る手法も、勘に頼らずに判断するための道具です。

2. 実際の出題のされ方

在庫補充の仕組みや部品の手配の時期、利得表から戦略を決める計算が、幅広い区分で出題されています。表を読み取って数値を出す問題と、方式の特徴を選ぶ問題が組になっています。ITパスポートの計算は、定期発注方式の発注量の式の空欄を埋めるもの、週ごとの生産計画と手持在庫の表から部品を遅くとも何週目に発注すべきかを求めるもの、予想利益の表からマクシミン戦略を採ったときの好転時の利益を求めるものです。計算のほかに、需要が安定しているときの定量発注方式について適切な記述を選ぶ問題もあります。

応用情報技術者の午前では、表や連立不等式を使った計算と手法の選択が出ます。年間需要量・保管費・発注費の表とグラフから経済的発注量を求める問題、2種類の製品と2種類の部品の制約条件から線形計画法で最大利益を計算する問題、4つの仕事間の移動時間の表から合計段取り時間の最小値を求める問題が出ています。構成表と在庫表から部品の正味所要量を求める問題と、4つの株式の予想値上がり幅の表からマクシミン原理で投資先を選ぶ問題もあります。さらに、2社の市場シェア予想の表からナッシュ均衡の組合せを選ぶ問題、ナッシュ均衡について適切な説明を選ぶ問題、複雑に絡み合う要因の因果関係を明らかにする図を選ぶ問題も出ています。

生産管理の方式や指標の定義と、計画生産量の式の導き方まで問う出題もあります。ITストラテジストの午前IIでは、ダブルビン方式の特徴、操業度について適切な説明、3階層の部品表と在庫残からの下位部品の正味所要量、月ごとの予想販売量と予想在庫量の手続から翌月分の計画生産量を表す式を選ばせています。

3. 学習のポイント

在庫の発注方式では、発注する時期と1回の量の一方を固定し、もう一方をその都度決めます。1回の発注量を増やすと発注の回数が減って年間の発注費は下がり、平均在庫が増えて年間の保管費は上がるので、需要が一定なら両者の合計が最も小さくなる発注量があり、これを経済的発注量と呼びます。

部品表から正味所要量を求めるときは、上の階層で在庫を差し引いた後の数を、次の階層の必要数の計算に使います。線形計画法では、資源の制約を表す不等式をすべて満たす範囲のうち、境界の角に当たる点のどれかで利益が最大になります。

マクシミン原理は、選べる手ごとに最も悪い結果を取り出し、その中で最も良いものを与える手を選ぶ考え方です。ナッシュ均衡は、表の上で確かめられます。

利益(万円。左がA社、右がB社) B社 y1 B社 y2
A社 x1 7, 3 2, 6
A社 x2 4, 1 3, 8
A社 x3 6, 2 1, 9

この表のx2とy2の組では、どちらの社も相手の手をそのままにして自分の手だけを変えると利益が減ります。このように、どちらにも手を変える理由がない組がナッシュ均衡です。

4. 間違えやすいところ

部品の発注時期を週単位の表から求める問題では、在庫が足りなくなる週の直前の週に発注すれば間に合うとした誤答肢がありました。これは調達期間の短い部品だけを見て決めた週で、調達に時間のかかる部品の手配が間に合いません。

「発注点と発注量は調達リードタイムに関係しない」を、ダブルビン方式の特徴とする誤答肢がありました。箱の容量は、発注してから届くまでの間に使う量をまかなえるように決めるので、調達リードタイムと無関係には決められません。

複雑に絡み合う要因の因果関係を明らかにする図として、パレート図を挙げた誤答肢がありました。パレート図は、項目を出現の多い順に並べた棒グラフに累積比率の折れ線を重ね、重点的に手を打つ項目を絞り込む図です。

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