IPA 著作権・ソフトウェアライセンス — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

人が書いた文章やプログラム、描いた絵は、作った時点で著作権によって作者の表現として守られ、出願や登録を経なくても、他人が勝手に写したり公開したりできなくなります。ソフトウェアの仕事では、その権利が発注した会社と作った会社のどちらにあるか、譲り渡せない人格的な権利がどう残るか、許諾なしで使える場面がどこまでかが、契約書を書く場面や利用する場面で表に出てきます。

2. 実際の出題のされ方

著作物に当たるものと当たらないものを、ソフトウェアを作る過程で生まれるものや身近な情報を並べて判定させる問いがあります。この判定はITパスポートと応用情報技術者の午前の両方で求められ、どちらの区分でも、生成AIで作った曲や画像を公開したり手元に保存したりする場面で許諾が要るかを考えさせる問題が出ています。

用語と場面を結び付ける問いには、シュリンクラップ契約について適切な記述を選ぶものや、選手のサイン姿を写した写真を無断で売る行為で選手のどの権利が侵害されるかを選ぶものがあり、ITパスポートで用語の意味を確かめる形になっています。OSSのライセンスやコピーレフトについて適切な記述を選ぶ問題と、著作権と特許権についての記述の正誤を組み合わせて答える問題もあります。

委託や再委託で開発したプログラムの著作権の帰属先を、取決めのない事例から選ばせる問題は、応用情報技術者の午前では作業が子会社から協力会社へ渡る事例と、要求仕様を示して作成を任せる事例で問います。高度試験の午前IIでは、請負契約での帰属先のほか、帰属先を書かずに開発を任せた発注者に起きる不都合を選ぶ問題があり、応用情報技術者の午前には、著作権を移す契約に著作者人格権を行使しない旨を書く目的を選ぶ問題もあります。

午前IIでは、条文が置く条件の細部まで選ばせます。職務著作の要件でプログラムなら満たさなくてよいもの、他人の著作物をAIの学習に使える条件、米国の著作権法の考え方であるフェアユースの説明を選ぶ問題があります。プログラムの著作権管理として不適切な行為を選ぶ問題や、AGPLのソフトウェアを改変して社外向けのサービスにするとき開示が要るソースコードの範囲を判断させる問題もあります。

3. 学習のポイント

著作権が守るのは、考えや感情を形にした具体的な表現で、その表現を作るための道具や手順、決まりごとは、誰でも使えるように守る対象から外されています。

権利が生まれるのは、費用を出した側ではなく実際に作った側で、作業が再委託されれば、再委託を受けて作った会社の側に生まれます。

著作者人格権は作った人から離れない権利で、著作権を契約で移しても作った人の側に残ります。

日本の著作権法は、許諾なしで使える場面を、私的な複製や、プログラムの複製物を持つ人が自分のコンピュータで動かすために必要な複製のように、個別の規定で定めています。

生成AIで作ったものが既存の作品の権利を侵すかどうかは、既存の作品に似ているかと、その作品をもとにしたかの両方で判断されます。

4. 間違えやすいところ

プログラムの職務著作で不要になる要件を選ぶ問題では、法人の発意に基づくことを挙げた誤答肢がありました。発意は、仕事が会社の企画や指示から始まったかを見る要件で、プログラムでもそれ以外の著作物でも欠かせません。

AIの学習に他人の著作物を使う行為については、商業利用なら許諾なしには使えないとする誤答肢がありました。営利かどうかで扱いを分けるのは、営利を目的としない上演や演奏を認める規定のような、別の権利制限の考え方です。

フェアユースの説明を選ぶ問題では、著作者の意に反して内容や題号を勝手に変えてはならないという考え方を挙げた誤答肢がありました。これは、日本の著作権法が著作者人格権の一つとして定める同一性保持権の中身です。

写真を無断で売られた選手について、その選手の著作権が侵害されるとする誤答肢がありました。写真の著作権は、写された人ではなく撮影した人の側に生まれる権利です。

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