IPA 法務・標準 — 頻出論点と過去問

この分野の学び方

1. この分野の全体像

法務・標準は、権利と契約、働き方、個人情報、サイバー犯罪、規格と環境規制にわたって、ITを使う事業が守るべき法令と標準を指します。個々の法律の目的や規制される行為を見分ける問題がITパスポートにある一方で、応用情報技術者の午前では、委託契約の条項や再委託のときの権利関係、法令ごとの事業者の義務といった実務の判断が試されます。この分野の論点は、権利を守る法律、取引と働き方の決まり、情報の扱いと不正な行為を規制する法律の三つの組にまとまっています。

2. 配下の論点の案内

  • 著作権・ソフトウェアライセンス: プログラムやAI生成物に対する著作権の保護範囲、委託開発での権利の帰属、OSSなどのライセンス条件を扱います。ITパスポートでは保護対象や用語の判別、応用情報技術者では委託・再委託時の帰属先や著作者人格権の不行使特約の目的を選ぶ問題が出ています。

  • 産業財産権・不正競争防止法: 出願と登録で生じる特許権・実用新案権・意匠権・商標権と、営業秘密や限定提供データなどを守る不正競争防止法の二つの系統があります。応用情報技術者で各法律の保護対象や不正競争行為の該当例が問われ、エンベデッドシステムスペシャリストの午前IIでは専用実施権や半導体IPのライセンス範囲を判断させます。

  • 労働関連法規(派遣・請負): 労働者派遣と請負における雇用関係・指揮命令関係の所在や、労働基準法の36協定、公益通報制度などが、この論点の範囲です。応用情報技術者やプロジェクトマネージャの午前IIでは、作業形態から偽装請負を判定させたり、派遣元と派遣先の義務や36協定の特別条項の適用条件を選ばせたりします。

  • 取引関連法規(契約・消費者・決済): 請負契約と契約不適合責任、下請法と特定商取引法、資金決済法など、企業間・消費者間の取引と決済のルールを扱います。システム監査技術者やシステムアーキテクトの午前IIで、契約不適合責任の権利内容やインボイス制度、政府調達協定の目的を確かめる問題が出ています。

  • 個人情報保護・プライバシー: 個人情報保護法における要配慮個人情報や匿名加工情報の扱い、マイナンバー、EUのGDPR、プライバシー影響評価(PIA)などが並びます。ITパスポートでは第三者提供で同意が要らない場合を選ぶ問題が出ており、システム監査技術者の午前IIではGDPRの権利や管理台帳の監査での指摘事項を選ばせます。

  • セキュリティ関連法規: サイバーセキュリティ基本法、不正アクセス禁止法、特定電子メール法、プロバイダ責任制限法、刑法のコンピュータ関連犯罪の規定が、ここで学ぶ法律です。ITパスポートと応用情報技術者では、具体的な不適切行為がどの法律の規制対象になるかを、組合せの形と単一の選択の形の両方で問います。

3. 学習の順序の提案

「労働関連法規(派遣・請負)」で偽装請負かどうかを判定するには、契約の上で誰が誰に指示できるかを決める請負契約の当事者の関係が要り、その関係は「取引関連法規(契約・消費者・決済)」の内容です。「著作権・ソフトウェアライセンス」の権利は作品を作った時点で生じ、「産業財産権・不正競争防止法」のうち特許権や商標権は出願と登録で生じ、不正競争防止法は登録の有無にかかわらず不正な行為そのものを禁じるので、プログラムやデータの守り方は三通りに分かれます。「個人情報保護・プライバシー」の情報の扱いの決まりと、「セキュリティ関連法規」の不正な行為への罰則は、守る側の義務と攻める側の禁止という向きの違う決まりです。電子署名法やRoHS指令、ISO規格やフォーラム標準のような規格・環境規制の問題も、ITパスポートと応用情報技術者の午前に出ています。

受ける区分 先に学ぶ論点 次に学ぶ論点
ITパスポート 著作権・ソフトウェアライセンス、産業財産権・不正競争防止法、セキュリティ関連法規 個人情報保護・プライバシー、取引関連法規(契約・消費者・決済)、労働関連法規(派遣・請負)
応用情報技術者 / 高度試験の午前I 著作権・ソフトウェアライセンス、労働関連法規(派遣・請負)、産業財産権・不正競争防止法 セキュリティ関連法規、個人情報保護・プライバシー、取引関連法規(契約・消費者・決済)
高度試験の午前II プロジェクトマネージャ・ITサービスマネージャは労働関連法規(派遣・請負)とセキュリティ関連法規、システムアーキテクトとシステム監査技術者は取引関連法規(契約・消費者・決済)、エンベデッドシステムスペシャリストは産業財産権・不正競争防止法、情報処理安全確保支援士とITストラテジストは著作権・ソフトウェアライセンス システム監査技術者は個人情報保護・プライバシー、エンベデッドシステムスペシャリストとシステム監査技術者は著作権・ソフトウェアライセンス

午後では、ITストラテジストの午後Iで気象予測の新事業の企画における法制度の調査結果を受けた組織体制の対策が、システム監査技術者の午後Iで法改正を踏まえた個人情報保護の監査手続と証拠の確かめ方が問われています。

4. 分野をまたいで間違えやすいところ

ソフトウェアの請負開発の問題では、着目する関係ごとに当てはまる論点が別々です。成果物の権利がどちらに残るかは「著作権・ソフトウェアライセンス」、納めた物に欠陥があったときや代金の支払の決まりは「取引関連法規(契約・消費者・決済)」、現場の作業者に誰が指示を出せるかは「労働関連法規(派遣・請負)」の問いです。また、請負か準委任かといった契約形態の選択や調達の手順そのものを問うのは、調達・契約の分野です。

不正な行為をどの法律が規制するかは、何を守るための法律かで分かれます。不正競争防止法に当たる行為を全て選ぶ問題では、応募者の個人情報を無断で別の目的に使う行為が、当てはまらない記述として含まれていました。これは事業者どうしの競争の公正さではなく本人の情報の扱い方の問題で、個人情報保護法が受け持つ問題です。

技術的な制限を外す行為は、事業者どうしの公正な競争を損なうのか、権利者の許した使い方を超えるのかで、関わる論点が変わります。

OSSのライセンスの問題は、OS・ソフトウェアの分野にも入っています。この分野の側では、ライセンスを著作権に基づく利用の許諾と捉え、権利が誰に残り、許諾の条件がどこまで及ぶかに着目します。

特許を経営に生かす考え方は経営戦略の分野と重なりますが、この分野で問われるのは、特許を取ったことで他社に何を禁じられ、自社がどこまで使えるかという権利の効力と実施の許諾の範囲です。

法務・標準の論点別の過去問

著作権・ソフトウェアライセンス29問 産業財産権・不正競争防止法23問 労働関連法規(派遣・請負)17問 取引関連法規(契約・消費者・決済)20問 個人情報保護・プライバシー13問 セキュリティ関連法規15問

法務・標準の理解度チェック

法務・標準の過去問一覧

この分野の午後問題(記述式・読み物)

  1. 2022(R4)秋 システム監査技術者 午後I 問1 個人情報保護の監査に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。…
  2. 2022(R4)春 ITストラテジスト 午後I 問4 問4 AIを利用した気象予測システムに関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。…

法務・標準の用語

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