宅建 債権総論 — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

人と人との間の約束(契約など)によって生じる、「ある人が特定の人に対して一定の行為を要求する権利」を債権といいます(要求される側の義務を債務といいます)。本分野では、約束が守られなかった場合(債務不履行)のペナルティや、複数の人で一緒に借金を背負う場合(連帯債務)、お互いの借金を帳消しにする方法(相殺)、債権を他人に譲り渡す方法(債権譲渡)などを学びます。

2. 学習のポイント

  • 債務不履行の2つのパターン:約束の期日に遅れる「履行遅滞」と、約束を果たすことが不可能になる「履行不能」があります。どちらの場合も、債権者は損害賠償を請求したり、契約を解除したりすることができます。
  • 連帯債務の絶対効と相対効:連帯債務者の一人に生じた事由(例えば、A・B・Cの連帯債務で、Aが借金を全額返済した等)が、他の連帯債務者にも影響を及ぼす場合(絶対効)と、影響を及ぼさず他の人は引き続き責任を負う場合(相対効)を区別して覚えることが重要です。2020年の民法改正で「絶対効」となる事由が大幅に減りました(相殺、更改、混同、弁済など)。
  • 相殺の要件と禁止:お互いが同種の債権(お金など)を持っており、少なくとも自分から相手に請求する側の債権(自働債権)の支払時期がきている(弁済期にある)場合に相殺が可能です。自分が払う側の債権(受働債権)は、期限の利益を放棄して先に払ってしまえばよいので、弁済期が来ていなくても相殺できます(民法505条1項・136条2項)。「双方の弁済期の到来が必要」と覚えると誤ります。ただし、悪意による不法行為の損害賠償債権など、相殺が禁止されているケースを覚える必要があります。

3. 実際の出題のされ方

宅建試験では、債務不履行、連帯債務、保証、債権譲渡、相殺の中から、毎年2問程度が出題されます。特に連帯債務と保証(連帯保証)の違いを問う問題や、相殺ができるかできないかを判断させる事例問題が頻出です。

「AはBに対して100万円の債権を有しており、BもAに対して100万円の債権を有している。Aから相殺できるか?」といった事例で、どちらの債権が不法行為によるものか、どちらが時効にかかっているか等で結論が変わる論点がよく狙われます。

4. 間違えやすいところ

債務不履行による損害賠償(帰責事由)
債務不履行によって損害賠償を請求するためには、原則として「債務者の責めに帰すべき事由(故意や過失など)」が必要です。不可抗力で履行不能になった場合は損害賠償請求はできません。(※ただし、金銭債務の場合は不可抗力であっても免責されず、常に損害賠償責任を負います)

相殺の「自働債権」と「受働債権」
相殺の問題を解く際は、相殺を「する側」の債権を自働債権、相殺を「される側」の債権を受働債権といいます。
「悪意による不法行為に基づく損害賠償債権」は、被害者保護のため「受働債権」として相殺することは禁止されています(加害者から「慰謝料の代わりに俺の借金をチャラにしろ」とは言えない)。しかし、被害者の方から「自働債権」として相殺することは可能です(被害者が「慰謝料をもらう代わりに私がそっちに借りてるお金をチャラにする」と言うのは自由)。

債権総論の理解度チェック

債権総論の過去問一覧

債権総論の用語

権利関係のほかの分野

民法総則9問 意思表示・錯誤26問 制限行為能力12問 代理29問 時効19問 物権変動30問 物権総論・占有5問 相隣関係・地役権13問 共有14問 区分所有法37問 抵当権・担保物権51問 保証・連帯債務24問 契約の成立・解除25問 売買28問 賃貸借(民法)30問 借地借家法82問 不法行為21問 相続43問 親族5問 不動産登記法53問 請負・委任等35問