IPA 損益分岐点・原価計算 — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

売上が増えると一緒に増える費用と、売上がなくても出ていく費用の割合は、赤字を抜けるまでに売る量や、売上が落ちたときの利益の減り方に表れます。製品1個の原価も、原価に入れる費用の範囲と、複数の製品に共通する費用を配る基準とを決めたうえで出す数字です。

2. 実際の出題のされ方

表や条件の数値から、損益が0になる販売量や、目標の利益に届く販売量を計算させる問いがあります。ITパスポートで問われたのは、販売単価を下げたあとに赤字を出さない最低の個数と、今の実績から目標の利益までに追加で売る個数で、ほかに製造に関わる費用のうち間接費だけを全て選ぶ問いが出ています。

応用情報技術者の午前では、同じ計算に条件が足されます。損益計算の資料から損益分岐点売上高を、固定費と変動費率から目標の利益に要る売上高を出す問いに加え、来年度に固定費が増えて単価が下がっても今年度と同じ営業利益を残す台数を出させます。売上高の違う二つの時点の損益から変動費を逆算する問いや、価格ごとの予測需要の表から利益が最大になる価格を選ぶ問い、機械の使える時間に上限がある中で2製品の利益の最大値を出す問いもあります。

計算をせずに費用の性質を読ませる問いとしては、2社の費用構造の比較表から一方の会社の特徴を選ぶものと、原価計算基準に照らして製造原価の経費に入る費用を選ぶものがあります。活動基準原価計算で、業務時間を減らすシステムによる人件費の削減額を出す計算も問われています。

費用の分け方を事業計画に使う問いもあり、ITストラテジストの午前IIでは、活動基準原価計算を導入して何が実現できるかを選ぶ問題と、新規設備の減価償却費の増加を織り込んで目標の売上総利益に要る売上高の増加額を出す問題が出ています。

3. 学習のポイント

損益分岐点の販売量は、固定費を1個当たりの限界利益で割った個数です。例えば販売単価960円、1個当たりの変動費672円、固定費1,872,000円の製品は、1個売るごとに288円ずつ固定費を埋め、6,500個で利益も損失も出なくなります。

目標の利益があるときは、その額を固定費に足してから同じように割ります。上の製品で576,000円の利益を目指すなら、2,448,000円を288円で割った8,500個が要ります。

使える量に上限のある資源が一つだけなら、製品は1個当たりの限界利益ではなく、その資源1単位当たりの限界利益の大きいものから作ります。仕入れられる原材料の重さに上限があるなら、原材料1kg当たりで比べるということです。

直接費と間接費の境目は、労務費か経費かといった費目ではなく、特定の製品のために使ったと言い切れるかどうかにあります。また、製造原価に入るのは、製品を作る活動の中で、ふだんの状態で使われた価値だけです。

4. 間違えやすいところ

目標の利益に要る販売個数の全体を、目標に届くまでにあと何個売ればよいかの答えとした誤答肢がありました。この値は、すでに売った個数を含んだままの総数です。

2つの売上高の時点での損益から特定の売上高における変動費を求める問題で、売上高から変動費を差し引いた金額とした誤答肢がありました。この額は、固定費と利益を合わせた額に等しい限界利益です。

2社の売上高・変動費・固定費を並べた表から一方の会社の特徴を選ぶ問題では、固定費の重い会社のほうを、売上が落ちても損失が広がりにくいとする誤答肢がありました。売上の減少に合わせて費用も大きく縮み、赤字に転じにくいのは、費用に占める変動費の割合が大きい会社の性質です。

頻繁に使い単価も高い材料に絞って在庫を管理することを、活動基準原価計算の導入で実現できることとした誤答肢がありました。品目を重要度でA・B・Cの組に分け、上位の組に管理の手間をかけるのはABC分析という在庫管理の手法で、活動基準原価計算とは呼び名の3文字が重なるだけです。

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