「法務・標準」の過去問(ストラテジ・48問)

1. この分野は何か

法務・標準分野は、ITエンジニアとして業務を遂行する上で遵守すべき法律(知的財産権、労働法、個人情報保護法など)や、国際的な標準化の動向、そして専門職としての技術者倫理に関する領域です。
ソフトウェアの権利を守る著作権法、開発業務のアウトソーシングに関わる労働者派遣法・下請法、サイバー犯罪を取り締まる不正アクセス禁止法など、システム開発の現場で直面しやすい法的なルールのほか、公益通報(ホイッスルブローイング)に代表される倫理的な課題についても学びます。

2. 実際の出題のされ方

午前問題では、具体的な事例が法令違反になるかどうかを問うケーススタディ形式の問題が多く出題されます。

  • 知的財産権: 「著作権法で保護されるものはどれか」といった対象物の判別や、プログラムの著作物特有のルールとして「職務著作(法人の発意に基づき従業員が職務上作成したプログラムの著作権は、原則として法人に帰属する)」の要件を問う問題が定番です。
  • 労働関連法規: 大規模なシステム開発において、不足する要員を派遣事業者から受け入れた際、派遣先企業の行為が労働者派遣法における禁止事項(例えば、事前の面接による事前面接の禁止や、二重派遣など)に該当しないかを判断させる事例問題が出題されます。
  • 新法とコンプライアンス: 「デジタル社会形成基本法」における基本理念の項目を問う問題や、組織の不正を内部の人間が告発する「ホイッスルブローイング(内部告発)」が技術者倫理においてどのような意味を持つかを問う出題も見られます。

3. 学習のポイント

法律分野は、「誰の権利を守るための法律か」「例外規定は何か」という視点を持つと整理しやすくなります。

  • 著作権法と特許法の区別:
    • 著作権法:創作した時点で権利が発生する(無方式主義)。アイデアそのものではなく「表現されたもの」を保護する。プログラム言語そのものやアルゴリズム、プロトコルは保護されない点に注意。
    • 特許法:出願して登録されることで権利が発生する。自然法則を利用した「技術的思想の創作(アイデア)」を保護する。
  • 不正アクセス禁止法の適用範囲: 不正アクセス行為に該当するためには「アクセス制御機能(ID・パスワード等による認証)が施されていること」と「ネットワーク経由であること」の要件が必要です。画面が開いたままのPCを勝手に操作する行為は、この法律の対象外(別の罪になる可能性がある)であるといった判別基準を押さえておきましょう。
  • 下請法と派遣法: 下請法は「発注者の優越的地位の濫用を防ぐ(買いたたき禁止、支払遅延の禁止など)」ための法律です。また労働関連では「偽装請負(請負契約なのに発注者が直接指示を出すこと)」が違法である点を実務と結びつけて理解してください。

4. 間違えやすいところ

プログラムの著作権に関する「職務著作(法人著作)」の要件において、一般の著作物(文書やイラストなど)とプログラムの著作物の違いを混同するミスがよく起こります。一般の著作物が法人著作となるためには「法人等の名義で公表されること」という要件が必要ですが、プログラムの著作物の場合は公表の要件が免除されています(社内システムなど、公表を前提としないプログラムも法人の権利として保護するため)。この例外規定は試験で頻繁に狙われるため、確実に覚えておきましょう。
また、個人情報保護法において「生存する個人」の情報だけが対象となり、死者の情報は対象外である(ただし遺族の個人情報となる場合は別)といった定義の細かい部分も引っかけ問題になりやすいポイントです。

  1. 2025(R7)秋 応用情報技術者 午前 問50 委託元への著作権の移転に関する条項を含むソフトウェア開発委託契約書に,“委託先は著作者人格権を行使しない”という記載があ…
  2. 2025(R7)秋 応用情報技術者 午前 問78 著作権法において, 保護の対象となり得ないものはどれか。…
  3. 2025(R7)秋 応用情報技術者 午前 問79 意匠法において, 保護の対象となり得るものはどれか。…
  4. 2025(R7)秋 応用情報技術者 午前 問80 労働施策総合推進法に関する記述として,適切なものはどれか。…
  5. 2025(R7)秋 システム監査技術者 午前II 問13 特許法に基づく特許権侵害への対応策に関する記述として,適切なものはどれか。…
  6. 2025(R7)秋 高度試験共通 午前I 問17 委託元への著作権の移転に関する条項を含むソフトウェア開発委託契約書に,“委託先は著作者人格権を行使しない”という記載があ…
  7. 2025(R7)秋 高度試験共通 午前I 問30 意匠法において,保護の対象となり得るものはどれか。…
  8. 2025(R7)秋 プロジェクトマネージャ 午前II 問22 組織において,公益通報制度を運用する際に留意すべきこととして,適切なものはどれか。…
  9. 2025(R7)秋 情報処理安全確保支援士 午前II 問23 商用目的で開発するソフトウェアの開発請負契約書には,企業間で様々な事項を取り決めておく必要がある。この開発請負契約書に取…
  10. 2025(R7)春 応用情報技術者 午前 問78 著作権法及び関連法令によれば,生成AIを利用して画像を生成する行為又はその生成物の利用が著作権侵害にあたるか否かに関して…
  11. 2025(R7)春 応用情報技術者 午前 問79 資金決済法における暗号資産に関する記述として,適切なものはどれか。…
  12. 2025(R7)春 応用情報技術者 午前 問80 欧州へ電子部品を輸出するには,RoHS指令への対応が必要である。このRoHS指令の目的として,適切なものはどれか。…
  13. 2025(R7)春 高度試験共通 午前I 問30 著作権法及び関連法令によれば,生成AIを利用して画像を生成する行為又はその生成物の利用が著作権侵害にあたるか否かに関して…
  14. 2025(R7)春 ITサービスマネージャ 午前II 問25 労働基準法で定める制度のうち,いわゆる36協定と呼ばれる労使協定に関する制度はどれか。…
  15. 2025(R7)春 ITストラテジスト 午前II 問22 フェアユースの説明はどれか。…
  16. 2024(R6)秋 応用情報技術者 午前 問78 著作権法で保護されるものはどれか。…
  17. 2024(R6)秋 応用情報技術者 午前 問79 大規模なシステム開発を受注したA社では,不足する開発要員を派遣事業者であるB社からの労働者派遣によって補うことにした。A…
  18. 2024(R6)秋 応用情報技術者 午前 問80 デジタル社会形成基本法において掲げられている10項目の基本理念に含まれているものはどれか。…
  19. 2024(R6)秋 システム監査技術者 午前II 問13 著作権法及び関連法令によれば,職務著作の要件のうち,プログラムの著作物の場合は満たす必要がなく,プログラム以外の著作物の…
  20. 2024(R6)秋 システム監査技術者 午前II 問14 技術者倫理におけるホイッスルブローイングの説明として,適切なものはどれか。…
  21. 2024(R6)秋 システム監査技術者 午前II 問15 適格請求書等保存方式(インボイス制度)に関する記述のうち,適切なものはどれか。…
  22. 2024(R6)秋 高度試験共通 午前I 問30 大規模なシステム開発を受注したA社では,不足する開発要員を派遣事業者であるB社からの労働者派遣によって補うことにした。A…
  23. 2024(R6)秋 エンベデッドシステムスペシャリスト 午前II 問20 A社は,保有する特許の専用実施権を,組込み機器システムを開発して販売する B社に許諾した。A社又は B社が受ける制限に関…
  24. 2024(R6)秋 エンベデッドシステムスペシャリスト 午前II 問21 小型のセンサーを搭載したモニタリング機器,及びその機器との通信を行ってデータを蓄積し,データを可視化するクラウドサーバの…
  25. 2024(R6)春 応用情報技術者 午前 問57 温室効果ガスの排出量の算定基準であるGHGプロトコルでは,事業者の事業活動によって直接的,又は間接的に排出される温室効果…
  26. 2024(R6)春 応用情報技術者 午前 問78 特許法による保護の対象となるものはどれか。…
  27. 2024(R6)春 応用情報技術者 午前 問79 不正競争防止法の不正競争行為に該当するものはどれか。…
  28. 2024(R6)春 応用情報技術者 午前 問80 個人情報のうち,個人情報保護法における要配慮個人情報に該当するものはどれか。…
  29. 2024(R6)春 高度試験共通 午前I 問30 不正競争防止法の不正競争行為に該当するものはどれか。…
  30. 2024(R6)春 システムアーキテクト 午前II 問14 WTO政府調達協定に関する記述として,適切なものはどれか。…
  31. 2024(R6)春 ITストラテジスト 午前II 問22 公衆への提供などが行われた他人の著作物をAIの学習データとして利用する行為に関して,著作権法に照らして適切なものはどれか…
  32. 2023(R5)秋 応用情報技術者 午前 問78 プログラムの著作物について,著作権法上,適法である行為はどれか。…
  33. 2023(R5)秋 応用情報技術者 午前 問79 匿名加工情報取扱事業者が,適正な匿名加工を行った匿名加工情報を第三者提供する際の義務として,個人情報保護法に規定されてい…
  34. 2023(R5)秋 応用情報技術者 午前 問80 図は,企業と労働者の関係を表している。企業Bと労働者Cの関係に関する記述のうち,適切なものはどれか。…
  35. 2023(R5)秋 システム監査技術者 午前II 問13 フェアユースの説明はどれか。…
  36. 2023(R5)秋 システム監査技術者 午前II 問14 “特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律”における“特定デジタルプラットフォーム提供者”に関す…
  37. 2023(R5)秋 システム監査技術者 午前II 問15 A社は,B社にソフトウェアの開発を委託し,それを稼働させるためのサーバとクライアントPCを購入したところ,目的物となる納…
  38. 2023(R5)秋 高度試験共通 午前I 問30 匿名加工情報取扱事業者が,適正な匿名加工を行った匿名加工情報を第三者提供する際の義務として,個人情報保護法に規定されてい…
  39. 2023(R5)秋 エンベデッドシステムスペシャリスト 午前II 問20 A社が設計及び製造に関する知的財産権を保有する半導体IP(A社半導体IP)を,B社がライセンス導入し,B社はその半導体製…
  40. 2023(R5)秋 プロジェクトマネージャ 午前II 問17 組込み機器用のソフトウェアを開発委託する契約書に開発成果物の著作権の帰属先が記載されていない場合,委託元であるソフトウェ…
  41. 2023(R5)秋 プロジェクトマネージャ 午前II 問21 プロバイダ責任制限法が定める特定電気通信役務提供者が行う送信防止措置に関する記述として,適切なものはどれか。…
  42. 2023(R5)秋 プロジェクトマネージャ 午前II 問22 労働基準法で定める制度のうち,いわゆる 36 協定と呼ばれる労使協定に関する制度はどれか。…
  43. 2023(R5)春 応用情報技術者 午前 問49 日本国特許庁において特許Aを取得した特許権者から,実施許諾を受けることが必要になる場合はどれか。…
  44. 2023(R5)春 応用情報技術者 午前 問79 労働者派遣法において,派遣元事業主の講ずべき措置等として定められているものはどれか。…
  45. 2023(R5)春 高度試験共通 午前I 問30 労働者派遣法において,派遣元事業主の講ずべき措置等として定められているものはどれか。…
  46. 2023(R5)春 システムアーキテクト 午前II 問14 WTO政府調達協定の説明はどれか。…
  47. 2023(R5)春 情報処理安全確保支援士 午前II 問23 プログラムの著作権管理上,不適切な行為はどれか。…
  48. 2023(R5)春 ITストラテジスト 午前II 問22 資金決済法における暗号資産に関する記述として,適切なものはどれか。…