IPA スケジュールネットワーク・短縮技法 — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

作業どうしの前後のつながりと日数を図に描き、最も長くかかる道筋から全体の日数と、作業ごとに遅らせてよい日数を求める分野です。人や設備が足りずに同時に進められない作業があると、全体の日数は、図の上で最も長い道筋の日数より延びることがあります。

2. 実際の出題のされ方

ネットワーク図や作業一覧表から全体の最短所要日数を求める計算や、日程計画の技法名を選ぶ問題が、幅広い試験区分で繰り返し出題されています。アローダイアグラムで一部の作業が遅れたり早まったりしたときの全体の日数の変化、遅れを取り戻すために後続の作業へ足す要員数、全体を遅らせずに開始を最も遅らせられる結合点を選ぶ問いは、いずれもITパスポートのものです。手作業の合間の自動処理中に移動を重ねる最短時間や、スケジュール作成に使う技法の組を選ぶ問題も同じ区分です。

作業の開始条件を並べた表から最短の期間を求める問題、結合点の最早結合点時刻を求める問題、プレシデンスダイアグラムをダミー作業を使ったアローダイアグラムに描き直す問題が出ているのは、応用情報技術者の午前です。作業を分けて一部を並行させたときに全体が何日縮むかを求める問題、クラッシングやファストトラッキングに当たる例を選ぶ問題、クリティカルチェーン法のバッファの名前を選ぶ問題もあります。

プロジェクトマネージャやITサービスマネージャの午前IIでは、リードやラグの付いたプレシデンスダイアグラムの最少日数、1台の試験設備や1つの専門チームを取り合う条件での最少日数、クリティカルチェーン法でプロジェクトバッファを含めた全体の日数を計算させます。アローダイアグラムから作業の最遅開始日や総余裕時間を読み取る問題と、作業を縮めたときに別の作業の総余裕日数がどれだけ減るかを求める問題もあります。ITサービスマネージャの午前IIには休憩の条件を付けた3人でのシステム切替え作業の最短時間を求める問題が、プロジェクトマネージャの午前IIにはガントチャートの特徴とクリティカルチェーン法の実施例を選ぶ問題があります。

3. 学習のポイント

結合点時刻は、前から日数を足していく計算と、後ろから引いていく計算の二つで求めます。アローダイアグラムでは、開始点から所要日数を足して各結合点へ最も早く到達できる時刻を出し、全体の完了予定日から所要日数を引いて逆算した最も遅い許容時刻との差から余裕を確かめます。開始から終了までで所要日数の合計が最も長い経路がクリティカルパスであり、この経路上の作業は最遅開始日と最早開始日の差である総余裕日数(トータルフロート)が0になります。ダミー作業は、二つの作業が同じ先行作業を待ち、そのうち一方だけが別の先行作業も待つときに、そのつながりだけを描き足すための所要日数0の矢印です。

プレシデンスダイアグラム法(PDM)では、作業を四角いノードで表し、依存関係を矢印で結びます。先行作業が終わってから後続作業を始める終了-開始関係(FS)のほか、開始-開始関係(SS)や終了-終了関係(FF)があり、そこに前倒しを表すリード(FS−n\text{FS} - n など)や待ち時間を表すラグ(FS+n\text{FS} + n など)が加わります。例えば、所要15日の先行作業と所要10日の後続作業を終了-開始関係のリード3日でつなぐと、後続作業は先行作業が終わる3日前から始められ、両方が終わるのは22日目です。複数の制約が1つの作業に集まる場合は、すべての開始条件や終了条件を満たす最も遅い日程を採用します。資源の制約がある問題では、資源を使う順番の組合せを入れ替えて、全体の日数を比べます。余裕のない経路の作業に先に資源を回すと決めてかかると、最短にならないことがあります。

クラッシングとファストトラッキングは、日程を縮めるために何を差し出すかに違いがあります。クラッシングは費用を足して作業そのものを速め、ファストトラッキングは本来は前の作業を待つ後の作業を早めに始めて、やり直しが起きる危険を引き受けます。

4. 間違えやすいところ

作業を分けて一部を並行させたときに全体が何日縮むかを求める問題では、分けた作業の経路だけが縮んだ日数を、そのまま全体の短縮日数とする誤答肢がありました。その値は、ほかの経路が新たに最も長くなる場合を考えていない日数です。

作業の開始条件を並べた表から最短の期間を求める問題では、全作業の日数を足しただけの値を置いた誤答肢がありました。その値は、すべての作業を一つずつ順に行ったときの日数です。

アローダイアグラムから読み取れることを選ぶ問題では、ある作業を最も遅く開始できる日として、その作業の最早開始日を書いた誤答肢がありました。最早開始日は先行作業が予定どおりに終わったときに最も早く始められる日で、後ろから逆算した期限とは別の値です。

ファストトラッキングの例を選ぶ問題では、仕様の確定の遅れを受けて完了予定日を延ばしたとする誤答肢がありました。完了予定日を延ばすのは、日程を縮めるのではなく納期そのものを動かす変更です。

クリティカルチェーン法で設けるバッファの名前を選ぶ問題では、「フレームバッファ」とする誤答肢がありました。フレームバッファは、画面に表示する画像を一時的に置いておくメモリの領域です。

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