「代理」の過去問(権利関係・29問)

1. この分野は何か

自分が直接契約を結ばずに、別の人に代わりに契約を結んできてもらい、その結果(権利と義務)だけを自分が引き受ける制度を「代理」と呼びます。本分野では、代理が有効に成立するための要件や、代理権がないのに勝手に契約を結んでしまった場合(無権代理)、およびその例外として本人が責任を負わされる場合(表見代理)のルールを学びます。

2. 学習のポイント

代理の問題を解く際は、必ず問題用紙の余白に「本人(A)→代理人(B)→相手方(C)」の関係図を描き、誰がどの立場にいるのかを視覚化して考えることが最大のポイントです。

  • 代理の種類:本人の意思で頼む「任意代理」と、法律の規定で決まる「法定代理」(親権者など)があります。どちらの場合も、代理人が「本人のためにすることを示して(顕名)」契約を行わなければ、原則として代理人自身が契約したことになってしまいます。
  • 無権代理と相手方の保護:代理権を持たない者が勝手にした契約(無権代理)は、原則として本人には無効です。しかし、それでは相手方がかわいそうなため、相手方には「催告権(本人に追認するかどうか返事を求める権利)」や「取消権(契約を白紙に戻す権利)」、「無権代理人への責任追及権」などが認められています。
  • 表見代理の成立要件:無権代理であっても、「本人が代理権を与えたように見える」等の特別な事情があり、相手方がそれを信じたことについて「善意無過失」である場合は、表見代理が成立し、本人は契約の責任を負わなければなりません。

3. 実際の出題のされ方

代理も毎年のように出題される最重要テーマです。令和6年(2024年)問8では代理の総合問題が出題されました。また、平成31年(2019年)問5のように、判決文を読解させる形式での出題(無権代理人が本人を単独相続した場合の追認拒絶の可否)も頻出です。

「本人が無権代理人を相続した場合」と「無権代理人が本人を相続した場合」の結論の違いは、超定番のひっかけポイントです。また、代理人がさらに代理人を頼む「復代理」についても、任意代理人と法定代理人で選任できる条件や責任の重さが異なる点がよく問われます。

4. 間違えやすいところ

無権代理人の責任追及
相手方が無権代理人に対して責任を追及(契約の履行または損害賠償)するためには、相手方自身が「善意無過失」であることが大原則です(無権代理人が自分が無権代理であることを知っていた場合は、相手方は善意有過失でも責任追及可能)。「相手方が悪意なら責任追及できない」という基本をしっかり押さえておきましょう。

自己契約と双方代理
代理人が、本人の契約相手になったり(自己契約)、当事者双方の代理人になったり(双方代理)することは原則禁止されており、行った場合は無権代理とみなされます。ただし、「本人があらかじめ許諾した行為」や「単なる債務の履行(登記の申請など)」については例外的に許されています。

  1. 2024年度(R6) 問8 次の記述のうち、民法の条文として規定されていないものはどれか。…
  2. 2021(R3)12月 問5 AがBの代理人として行った行為に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、いずれの行為…
  3. 2020(R2)12月 問2 AがBに対して、A所有の甲土地を売却する代理権を令和2年7月1日に授与した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例…
  4. 2019年度(R1) 問5 次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び判例並びに下記判決文によれば、誤っているものはどれか。 (判決文) 本人が無…
  5. 2018年度(H30) 問 2 Aが、所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し、BがCとの間で、Aを売主、Cを買主とする甲土地の売買契約(以下この…
  6. 2017年度(H29) 問1 代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。…
  7. 2014年度(H26) 問2 代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはいくつか。 ア 代理権を有しない者がした契約を本…
  8. 2012年度(H24) 問2 代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。…
  9. 2012年度(H24) 問4 A所有の甲土地につき、Aから売却に関する代理権を与えられていないBが、Aの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した場合…
  10. 2010年度(H22) 問2 AがA所有の甲土地の売却に関する代理権をBに与えた場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。な…
  11. 2009年度(H21) 問2 AがA所有の土地の売却に関する代理権をBに与えた場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。…
  12. 2008年度(H20) 問3 AがBの代理人としてB所有の甲土地について売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正し…
  13. 2007年度(H19) 問2 Aは不動産の売却を妻の父であるBに委任し、売却に関する代理権をBに付与した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定に…
  14. 2006年度(H18) 問2 AはBの代理人として、B所有の甲土地をCに売り渡す売買契約をCと締結した。しかし、Aは甲土地を売り渡す代理権は有していな…
  15. 2005年度(H17) 問3 買主Aが、Bの代理人Cとの間でB所有の甲地の売買契約を締結する場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいもの…
  16. 2004年度(H16) 問2 B所有の土地をAがBの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、…
  17. 2002年度(H14) 問2 Aが, Bの代理人としてCとの間で, B所有の土地の売買契約を締結する場合に関する次の記述のうち, 民法の規定によれば,…
  18. 2001年度(H13) 問8 Aが, B所有の建物の売却(それに伴う保存行為を含む。) についてBから代理権を授与されている場合に関する次の記述のうち…
  19. 2000年度(H12) 問1 Aが, Bに代理権を授与してA所有の土地を売却する場合に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 正しいもの…
  20. 1999年度(H11) 問 7 Aが, A所有の1棟の賃貸マンションについてBに賃料の徴収と小修繕の契約の代理をさせていたところ, Bが, そのマンショ…
  21. 1997年度(H9) 問1 Aが, Bの代理人としてB所有の土地をCに売却する契約を締結した場合に関する次の記述のうち, 民法の規定によれば, 正し…
  22. 1996年度(H8) 問2 Aが, Bの代理人として, Cとの間でB所有の土地の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例に…
  23. 1994年度(H6) 問4 Aは、Bの代理人として、Bの所有地をCに売却した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか…
  24. 1993年度(H5) 問2 Aの子BがAの代理人と偽って, Aの所有地についてCと売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例…
  25. 1992年度(H4) 問2 Aが未成年者Bに土地売却に関する代理権を与えたところ, Bは, Cにだまされて, 善意のDと売買契約を締結したが, Aは…
  26. 1992年度(H4) 問3 Aの所有する不動産について, Bが無断でAの委任状を作成して, Aの代理人と称して, 善意無過失の第三者Cに売却し, 所…
  27. 1991年度(H3) 問3 AがBから代理権を与えられて, 契約を締結し, 又は締結しようとする場合に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によ…
  28. 1990年度(H2) 問5 Aは, Bの代理人として, C所有の土地についてCと売買契約を締結したが, その際次に掲げるような事情があった場合, 民…
  29. 1988年度(S63) 問2 代理に関する次の記述のうち, 民法の規定によれば, 正しいものはどれか。…