「建物賃貸借の更新・終了」の過去問(権利関係・32問)

1. この分野は何か

アパートやマンションの部屋、店舗などを借りる(借家)ときのルールです。「借地」と同じく、借りる側(借家人)を大家さん(貸主)から強く保護するために「借地借家法」が適用されます。

本分野では、建物賃貸借における契約期間のルール、契約の更新や大家さんからの解約(追い出し)を制限するルール、そして借家人が設置したエアコンなどを退去時に買い取らせる権利などについて学びます。

2. 学習のポイント

1. 借家権の存続期間
建物の賃貸借契約の期間は、民法では最長50年ですが、借地借家法では最長の制限はありません(何年でも可)。
一方、期間を「1年未満(例:6ヶ月)」と定めた場合は、借り主の生活が不安定になるため、法律上「期間の定めのない契約」として扱われます。

2. 契約の更新と解約(正当事由)

  • 期間の定めがある場合:大家さんが更新を拒絶するには、期間満了の「1年前から6ヶ月前まで」の間に、更新しない旨の通知をしなければなりません。さらに、その拒絶には「正当事由(大家さん自身が住む必要がある等)」が必要です。
  • 期間の定めがない場合:大家さんはいつでも解約の申し入れができますが、やはり「正当事由」が必要です。また、申し入れから6ヶ月が経過しないと契約は終了しません。

3. 借家権の対抗力
アパートの大家さんが変わり、新しい大家から「出ていけ」と言われた場合。借家人は、賃借権の登記がなくても「建物の引渡し(鍵をもらって入居している状態)」を受けていれば、新しい大家に「私には借りて住む権利がある」と対抗できます。

3. 実際の出題のされ方

宅建試験では、借地借家法の借家に関する問題として毎年1〜2問出題されます(定期建物賃貸借との比較等で出題されることも多いです)。

「期間の定めのない契約」に関する引っかけが頻出です。「期間を6ヶ月と定めた建物賃貸借契約は無効となる」(正解:誤り。無効になるのではなく、「期間の定めのない契約」として扱われるだけです)。

また、「造作買取請求権」もよく問われます。借家人が大家さんの「同意」を得て設置したエアコンや畳(造作)がある場合、退去時に大家さんに「時価で買い取ってくれ」と請求できる権利です。ただし、この権利は「特約で排除(買取り請求はできないという契約)することが可能」です。借地借家法は借主に有利な法律ですが、造作買取りについては特約排除が認められている点(任意規定である点)がよく狙われます。

4. 間違えやすいところ

解約申し入れの効力発生時期
「期間の定めのない契約」において、解約を申し入れた後の終了時期は誰が申し入れたかで異なります。

  • 大家さん(貸主)からの解約:正当事由が必要で、申し入れから6ヶ月経過で終了。
  • 借家人(借主)からの解約:正当事由は不要で、申し入れから3ヶ月経過(民法の原則)で終了します(※契約で1ヶ月前予告とする等の特約も有効です)。

転借人の保護(大家と借主が合意解除した場合)
大家さんAから部屋を借りたBが、さらにCにまた貸し(転貸)している場合。AとBが話し合って賃貸借契約を「合意解除」したとしても、Aはその解除を、転借人Cに対抗(主張)することはできません。Cをいきなり追い出すことはできないというルールです。

賃料増減額請求権
経済事情の変動などで家賃が不相当になった場合、当事者は将来に向かって家賃の増減を請求できます。このうち、「借主からの減額請求をしない」という特約は、借主に不利であるため無効となります。逆に「大家からの増額請求をしない」という特約は有効です。

  1. 2025年度(R7) 問12 Aを賃貸人、Bを賃借人とする甲建物の賃貸借契約(定期建物賃貸借契約及び一時使用目的の建物の賃貸借契約を除く。以下この問に…
  2. 2023年度(R5) 問12 令和5年7月1日に締結された建物の賃貸借契約(定期建物賃貸借契約及び一時使用目的の建物の賃貸借契約を除く。)に関する次の…
  3. 2021(R3)12月 問12 賃貸人Aと賃借人Bとの間で令和3年7月1日に締結した一時使用目的ではない建物賃貸借契約(以下この問において「本件契約」と…
  4. 2021(R3)10月 問12 Aを賃貸人、Bを賃借人とする甲建物の賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)が令和3年7月1日に締結された場…
  5. 2020(R2)12月 問12 賃貸人Aと賃借人Bとの間で令和2年7月1日に締結した居住用建物の賃貸借契約に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規…
  6. 2019年度(R1) 問12 AがBに対し、A所有の甲建物を3年間賃貸する旨の契約をした場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、…
  7. 2018年度(H30) 問12 AとBとの間で、Aが所有する甲建物をBが5年間賃貸する旨の契約を締結した場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の…
  8. 2017年度(H29) 問12 Aが所有する甲建物をBに対して3年間賃貸する旨の契約をした場合における次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいも…
  9. 2016年度(H28) 問 12 AはBと、B所有の甲建物につき、居住を目的として、期間3年、賃料月額20万円と定めて賃貸借契約(以下この契約において「本…
  10. 2015年度(H27) 問11 AがBとの間で、A所有の甲建物について、期間3年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約を締結した場合に関する次の記述のうち…
  11. 2010年度(H22) 問12 Aは、B所有の甲建物につき、居住を目的として、期間2年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約(以下この問において「本件契約…
  12. 2009年度(H21) 問12 A所有の甲建物につき、Bが一時使用目的ではなく賃料月額10万円で賃貸借契約を締結する場合と、Cが適当な家屋に移るまでの一…
  13. 2006年度(H18) 問 14 AはBとの間で、平成16年4月に、BがCから借りている土地上のB所有の建物について賃貸借契約(期間2年)を締結し引渡しを…
  14. 2005年度(H17) 問6 BはAに対して自己所有の甲建物に平成15年4月1日に抵当権を設定し、Aは同日付でその旨の登記をした。Aと甲建物の賃借人と…
  15. 2005年度(H17) 問15 動産の賃貸借契約と建物の賃貸借契約(借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借、同法第39条に規定する取壊し予定の建物の…
  16. 2004年度(H16) 問14 貸主A及び借主B間の建物賃貸借契約に関する次の記述のうち, 賃料増減請求権に関する借地借家法第32条の規定及び判例によれ…
  17. 2002年度(H14) 問14 建物賃貸借契約(以下この問において「契約」という。) の終了に関する次の記述のうち, 借地借家法の規定によれば, 正しい…
  18. 2001年度(H13) 問13 賃貸人A(個人)と賃借人B(個人)との間の居住用建物の賃貸借契約に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば…
  19. 2000年度(H12) 問12 Aが, B所有の建物を賃借している場合に関する次の記述のうち, 借地借家法の規定によれば, 正しいものはどれか。…
  20. 1999年度(H11) 問14 賃貸人Aと賃借人Bとの間の居住用建物の賃貸借契約に関する次の記述のうち, 借地借家法の規定及び判例によれば, 正しいもの…
  21. 1998年度(H10) 問12 Aが、Bに対し期間2年と定めて賃貸した建物を、BはCに対し期間を定めずに転貸し、Aはこれを承諾した。この場合、借地借家法…
  22. 1997年度(H9) 問12 家屋の賃貸人Aと賃借人Bの間の家賃に関する次の記述のうち, 借地借家法及び民法の規定によれば, 誤っているものはどれか。…
  23. 1996年度(H8) 問12 AがBに対してA所有の建物を期間を定めないで賃貸した場合に関する次の記述のうち, 借地借家法の規定及び判例によれば, 誤…
  24. 1995年度(H7) 問13 Aを賃貸人, Bを賃借人とするA所有の居住用建物の賃貸借に関する次の記述のうち, 民法及び借地借家法の規定によれば, 正…
  25. 1994年度(H6) 問12 AがBから賃借している建物をCに転貸した場合に関する次の記述のうち, 民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば, 誤っ…
  26. 1993年度(H5) 問12 平成5年10月Aがその所有する住宅をBに新たに賃貸した場合に関する次の記述のうち,借地借家法の規定によれば,誤っているも…
  27. 1992年度(H4) 問11 建物の賃貸借に関する次の記述のうち、民法及び借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。…
  28. 1991年度(H3) 問13 AがBからBの所有する建物を賃借している場合に関する次の記述のうち, 民法及び借家法の規定によれば, 誤っているものはど…
  29. 1990年度(H2) 問12 不動産の賃貸借に関する次の記述のうち、民法、借地法及び借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。…
  30. 1990年度(H2) 問13 Aは, BからB所有の建物を賃借して, 居住しているが, Bがその建物をCに売却し, 登記も移転した。この場合, 民法及…
  31. 1989年度(H1) 問13 Aは, その所有する建物をBに賃貸した。この場合, 借家法の規定によれば, 次の記述のうち誤っているものはどれか。…
  32. 1988年度(S63) 問12 居住の用に供する建物の賃貸借に関する次の記述のうち, 借家法の規定によれば, 正しいものはどれか。…