「相続」の過去問(権利関係・43問)
1. この分野は何か
人が亡くなったときに、その人が持っていた財産(不動産や預金、借金などすべて)を、残された家族がどのように引き継ぐかというルール(民法の相続編)です。
宅建試験では権利関係の分野で毎年1〜2問が出題され、特に「誰が、どれだけの割合で財産をもらえるか(法定相続人と法定相続分)」の計算問題や、トラブルを防ぐための最低限の取り分(遺留分)に関する問題が頻出です。
2. 学習のポイント
1. 法定相続人と法定相続分
亡くなった人(被相続人)の「配偶者」は常に相続人になります。それ以外の人には順位があり、上の順位の人がいれば下の順位の人は相続できません。
- 第1順位(子):配偶者 1/2、子 1/2(子が複数いれば均等割り)。
- 第2順位(直系尊属:親など):配偶者 2/3、親 1/3。第1順位がいない場合のみ。
- 第3順位(兄弟姉妹):配偶者 3/4、兄弟姉妹 1/4。第1順位も第2順位もいない場合のみ。
2. 代襲相続
相続人となるはずだった子や兄弟姉妹が、被相続人よりも「先に死亡」していたり、「欠格(相続人の殺害等)」や「廃除(著しい非行による権利剥奪)」によって相続権を失っている場合、その者の子が代わりに相続する制度です。
3. 遺留分
被相続人が「全財産を愛人に遺贈する」といった遺言を残した場合でも、残された家族(配偶者、子、直系尊属)の生活を保障するため、最低限請求できる取り分(遺留分)が法律で守られています。原則として、法定相続分の「1/2」(直系尊属のみが相続人の場合は「1/3」)です。
3. 実際の出題のされ方
宅建試験では、複雑な家系図の事例が示され、「法定相続分はいくらか」を計算させる問題が定番です。
特に「代襲相続」と「相続放棄」の引っかけが頻出です。「子Aが相続を放棄した場合、Aの子であるBが代襲相続する」(正解:誤り。相続放棄をした場合、代襲相続は発生しません。放棄とは「初めから相続人ではなかった」ことになるため、その子供も代わりに出てくることはできません)。
また、「遺産分割」の効果についても問われます。遺産分割協議がまとまると、その効力は「相続開始の時(被相続人が死亡した時)にさかのぼって」生じます。協議が成立した時から分割されるわけではありません。
4. 間違えやすいところ
兄弟姉妹の遺留分
法定相続人の中で、「兄弟姉妹(およびその代襲者)」には遺留分がありません。被相続人が「全財産を寄付する」と遺言した場合、配偶者や子は遺留分を主張できますが、兄弟姉妹は1円ももらうことはできません。
半血の兄弟姉妹の相続分
第3順位(兄弟姉妹)が相続する場合、父母の「一方のみ」を同じくする兄弟(異母兄弟など)の相続分は、父母の「双方」を同じくする兄弟の相続分の「2分の1」となります。
特別受益と寄与分
被相続人から生前に多額の贈与を受けていた者(特別受益者)がいる場合は、その分を遺産の前渡しとみなして計算上持ち戻し、相続分を減らします。逆に、被相続人の療養看護などを無償で特別に行った者(寄与者)がいる場合は、その貢献分(寄与分)を相続分に上乗せします。これらは遺産の公平な分配のための制度です。
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- 2017年度(H29) 問 9 1億2,000万円の財産を有するAが死亡した。Aには、配偶者はなく、子B、C、Dがおり、Bには子Eが、Cには子Fがいる。…
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- 2015年度(H27) 問10 遺言及び遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。…
- 2014年度(H26) 問10 Aには、父のみを同じくする兄Bと、両親を同じくする弟C及び弟Dがいたが、C及びDは、Aより先に死亡した。Aの両親は既に死…
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- 2000年度(H12) 問10 被相続人A, 相続人B及びC(いずれもAの子)として, Aが遺言をし, 又はしようとする場合に関する次の記述のうち, 民…
- 1999年度(H11) 問3 相続に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 誤っているものはどれか。…
- 1998年度(H10) 問10 相続人が, 被相続人の妻A と子B のみである場合(被相続人の遺言はないものとする。) の相続の承認又は放棄に関する次の…
- 1997年度(H9) 問10 遺留分に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 誤っているものはどれか。…
- 1996年度(H8) 問10 〔問 10〕 居住用建物を所有するAが死亡した場合の相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。…
- 1995年度(H7) 問11 Aには, 妻B, 子C・Dがあり, A及びBは, CにA所有の資産全部を相続させAの事業も承継させたいと考えているが, …
- 1994年度(H6) 問13 遺言に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 正しいものはどれか。…
- 1993年度(H5) 問13 Aが, 5,000万円相当の土地と5,500万円の負債を残して死亡した。Aには, 弟B, 母C, 配偶者D及びDとの間の…
- 1992年度(H4) 問13 遺言に関する次の記述のうち, 民法の規定によれば, 誤っているものはどれか。…
- 1990年度(H2) 問11 Aが死亡し、相続人として、妻Bと嫡出子C・D・Eがいる。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれ…
- 1989年度(H1) 問11 Xは, 9,000万円の遺産を残して死亡した。Xには, 配偶者YとYとの間の子Aがいる。XとYとの間には, Aのほかに子…
- 1988年度(S63) 問8 相続に関する次の記述のうち, 民法の規定によれば, 正しいものはどれか。…